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「パルムの僧院」読書感想文

著者

スタンダール(1783~1842)
11月18日読み始め12月7日読了。

訳者

大岡昇平

あらすじ

 頭は悪いが美男子の貴族ファブリスが、彼を溺愛する叔母から助け舟を出されまくって、甘ったれたまま大きくなって、周囲に迷惑をかけまくる話。

印象に残った人物

サンセヴェリーナ公爵夫人ジーナ(ファブリスの叔母)。今で言う美魔女。パルム国の王でさえも、その美しさに頭が上がらない。そのうえ社交的で、狡知にも長け、なんとも魅力的な女性。ただ、甥であるファブリスを恋愛対象として見ているのが気持ち悪かった。


感想

 自身の無学が原因ではあるが、ワーテルローの闘いの描写が全くピンと来ない。叔母と甥の恋愛感情も、さすがに肉体関係こそはないものの、ちょっと生理的に受け付けない。それでもまあ物語に勢いがあるので、そこそこ楽しく読み進められた。特にファブリスが牢獄に軟禁(と監禁の中間くらい)され、牢獄の長官の娘クレリアと暗号みたいなやり取りをするあたりや、その牢獄から脱出するシーンなんかは手に汗握るものがあって、その後にどんな展開が繰り広げられるのかドキドキワクワクした。ところがところが、なんとファブリスは、クレリアとのやりとりが懐かしくなり、自ら牢獄に戻ってしまう。その後、二人は結ばれはするものの、子供は死んでしまい、クレリアも自害、ファブリスもほどなくして死に、さらには叔母も死去。
 なんだか救いのない話だった。「赤と黒」が面白かっただけに、ちょっと残念。

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