【Project Focus】国内・国際輸送の基盤道路を強靭化し沿線住民の生活改善と向上に貢献< 無償資金協力 >
プロジェクト名:ボリビア 国道7号線道路防災対策計画
コンサルティング:セントラルコンサルタント(株)・(株)地球システム科学
施 工:岩田地崎建設(株)
ボリビアは南米のほぼ中央に位置する内陸国で、人や物資輸送の70~80%を道路輸送が担う。
本プロジェクトの対象となる国道7号線は物流の根幹となる重要な道路で、ボリビア第二の都市サンタクルスとコチャバンバ県をつなぐほか、西はチリ、東はブラジルに接続し、国際輸送を支えている。その一方で、斜面の表層部分の風化が進み、集中豪雨による斜面崩壊、落石などで頻繁に通行止めが発生。人命や経済活動にも多大な影響を与え、災害に強い安全な道路の建設が急がれていた。このため、ボリビア政府は日本政府に無償資金協力による道路防災対策工事を要請。これを受けて、2011~12年にはまず現地状況の調査を実施し、その結果をもとに22年4月~23年12月の工期で斜面崩落・落石防護対策を目的とする工事を行うこととなった。
工法の選定にあたっては、同国への技術普及に配慮し、できる限り多様な道路防災対策工法を採用。既存の樹木の維持・保全、植栽などによる樹木の復旧にも努めた。
使用する資機材は現地で入手できる材料を積極的に採用し、同国の資金や技術、人材で完成後の運営・維持管理が可能となるよう配慮した。施工は国道の道路交通を維持しながら行われ、工事中の再崩壊による二次災害や道路規制に伴う交通事故などが発生しないよう施工方法にも配慮し、工事期間の短縮や安全性を追及した。施工中に国内の経済情勢などに対する抗議を目的とした道路封鎖が度々行われ、現場への資機材の搬入に影響が出たが、適切な施工管理や入念な輸送計画の検討などにより乗り切り、計画工期内で竣工した。
本プロジェクトの完成によって、主要都市間道路および国際幹線道路の交通の円滑化と安定化、これによる社会経済の安定成長、沿線住民の貧困削減効果などが期待され、住民の生活改善と向上に大きく貢献すると考えられる。
本記事掲載誌のご案内
本記事は国際開発ジャーナル2024年6月号に掲載されています。
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