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#10 音の2つの勝負どころ その2| 音の建築 -空間にはすでに音がある-

前回は音の二つの勝負どころのうちの一つ目「音が出た瞬間」についてお話しました。

今回は、「音の二つの勝負どころその2」についてお話します。


その2 音に包み込まれる

ずばり、もう一つは「音に包み込まれる」ということです。
例えば、頭の上からはっきり自分に向かう音があると、「怒られている」という感じがしてしまします。そういう音の出し方は、大嫌いです。

しっかり聴く場合は別ですが、空間的なことをやる場合には、どこから出ているか良く分からない、「音に包まれる」っていう空気をつくる、みたいなことがすごく大事です。

包み込まれるにはどうすればいいか

包み込むっていうのは、別の言い方をすると、その空間に音で新たなエネルギー空間を作り出すということ。
キャラクターや色彩感のある空間を、建築空間の中に創り上げるということです。

その為には、まず一番大事なのが、部屋(空間)の形状。それと、床壁天井等の材質。そのことによって、反射面と、吸音面を知り、その反射率、吸音率を知る。

その上で、その空間の全体が均一の音圧になるか、小さい空間が沢山あるような風にするかを決め、スピーカーの選択、取付位置、角度を設計する。

一般的に言って、小さいスピーカーを数多くつけていくか、指向性の広い大中型のスピーカーをつけていくかということになるかと思います。

自分としては、音響的なことに加えて、空間がどんなエネルギー空間になるかという絵をよく描いています。

とある大規模ビルの設計時に描いたエネルギー空間の絵

「ここにきたな」という印象はこうして生まれる

このように、音量やスピーカーの配置を行うことによって、音に包まれるということが出来ていきます。
ただ出しただけ、ただ響いているだけでも難しい。
そうすると、その空間にはいると「ここにきたな」という印象を持つことが出来る。

全体的には、さりげなくやっていくのが特殊技術といってもいいと思います。


空間といえば、先日初めて空間オーディオをリリース!

Podcast 番組「発車ベルチャンネル」もにぎわっています!


井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。



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