見出し画像

【Podcast まとめ】第1回 初めての大規模な発車ベルの刷新。どうやってプロジェクトは始まった?| 発車ベルチャンネル

元祖発車ベル35周年を祝して鉄道の日に開始したPodcast チャンネル「発車ベルチャンネル」の各放送の書き起こしを読みやすく仕上げたテキストになります。音の体験は是非Podcast にてお楽しみください!
各種音声配信サービスへのリンクはこちら

タイトル
第1回 初めての大規模な発車ベルの刷新。どうやってプロジェクトは始まった?

概要

鉄道の日を祝し、今日からチャンネルがスタートしました。初回のテーマは、「そもそも発車ベルを刷新することになった経緯」について。企画書やコンペの様子、JR様の抱えていた課題、そして早速直面した問題とは?



チャンネル開設の経緯

元祖発車ベルチャンネル!

このチャンネルでは、井出 研究所 所長、私、井出祐昭が、元祖発車ベルを開発したスタッフを代表して、当時のこと、秘蔵のお話、まだ表に出ていないお話の数々を10回ぐらい続けてお話ししてみたいと思います。

まず第1回目は、今日は鉄道記念日ということ。それからこの発車ベルは35年も前のことになります。その後、世界も含めていろんな取材があったおかげで、色々な記憶がまだ残っているので、忘れないうちに皆さんにお伝えしようと思っています。
本当にまだ表に出ていない製作秘話、どういう流れでやったのか等を中心に、音を聴きながら行ってみたいと思います。

第1回目は、「どのような経緯でこれをやることになったか?」というお話。

JR主催のコンペへの参加

オリエンというんですけれども、JRから「こういう音響系の各社に放送設備を買いたい」ということで、説明があったんですね。
それでコンペということになって、みんなが企画書を出してきます。私はその当時はヤマハにいて、そのコンペに参加したわけです。

最初は放送設備というハードの方の色が強いコンペだったんですけれども、私たちは発車ベルも含めて、色々なソフト系も含めて提案しました。
その時はちょっと面白いタイトルで、「新宿ルネッサンス」なんていうタイトルで出してみたりしました。
こちらの記事でも振れています。

殺到していた「音の苦情」と「駆け込み乗車」

一方、JRさんの方にも今までの発車ベルの「プルルルル」って音がやかましいという苦情が結構殺到していて、お客様相談室みたいなところに集中していました。
その前のジリリーってやつは、あるいはミュージシャンはその下に行っちゃいけないと言われているぐらい、けたたましいものだったんですね。
そういう流れがあって、そこを何とかしたいと。

あとは駆け込み乗車が新宿駅ぐらいになってくるとかなり多くなっていて、非常に危険だと。これを何とかしたいということが、JRの方にもありました。

解決の糸口は2つ

まずはその放送設備の方、特にスピーカーを、ホームをいろいろなメーカーで4分割して、どれがいいかを実際にJRの方々がアンケート調査を行いました。そこで決まったのが、私たちのチームです。

その中で私は、一番のポイントはアナウンスだという風に思っていました。
「この声がどういうふうに綺麗にはっきり聞こえるか」ということを非常に重視していました。
その次に、発車ベル。これが焦ってしまう、駆け込んでしまうということを起こしていて、じゃあここをちょっと変えてみようということになったわけですね。

ハードの工夫

この2本立てでやったんですけども、ハードの方も路線によってホームの右左に違う音が出るわけですけども、スピーカーの角度とか指向性を調整したり。
スピーカーとスピーカーの間にいても同じ音量が聴こえるよう計算したり、特別なスピーカーを作ったり。座布団とか言われてたんですけども、そんなようなものを作りました。

前例のなかった発車ベルの探訪

次に発車ベルの探訪になるんですけども、最初は非常に簡単に「シンセか何かでやればできるかな?」とか、「今あるものをもっとソフトにすればいいのかな?」という形でやり始めたんですけども、やってみたらこれが沼にはまったという。
まさにその通りで、これを1年かけて300種類以上の音を作ったわけですね。

何が一番大変だったかというと、例えば海外の事例を調べてもないということがほとんど。
また、「こういうふうに発車を知らせるということはどういうことなのか?」「どういう音がそれなのか?」ということがまだ世の中に理論として確立してなかったんですね。

10秒のための概念づくり

これは偉いことになったと。やればやるほど。簡単なようなものなんですけども、たかが10秒とか20秒とかそのぐらいの音なんですけどもね。
入ってみるとこれが偉い深いもので、それからはまず「発車ベルというのはどういうものか」という概念を作る、理論を作るというところから始まりました。

これが大苦心の始まりで、やらせていただくことは嬉しかったんですけども、その反面えらいところにはまったなというような感じがしました。

次回からはその模様を一個一個音を交えながらどうやって作っていったのかを説明したいと思います。

調和を生かした空間オーディオ

この発車ベルは調和するように実はできているんですね。
その模様はiTunesにも既に出してるんですけども、それを立体化しようということでやってみたらですね、すごく切ない、その当時青春の思い出がある人にとっては、ちょっと泣いちゃうんじゃないかみたいな。
そういう面白いものができました。
空間で新宿駅のその当時を体験するみたいなね。
それも今日の鉄道の日、14日に合わせて出せるといいなという風に思っています。
それではまた来週。

空間オーディオはこちらより!

次回のPodcast放送は本日10月21日(月)0:00公開中!
タイトルは「第2話 発車ベル"10段活用?" 信号からの変遷ドキュメンタリー その①

下記URLより各種サービスへどうぞ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?