#5 【納期に追われる方へ】ハチャトゥリアン「剣の舞」誕生秘話 | 音楽おもしろ豆知識
連載「明日誰かに話したくなる音楽おもしろ豆知識」
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えらい人の無茶振りで誕生した名曲 − ハチャトゥリアン「剣の舞」
先日「音の世界地図」の担当者さんから「そろそろ記事お願いします…」「次の記事まだですか…」の連絡をいただいてしまいました(ごめんなさい)
というわけで、納期に追われている際にオススメ(?)の一曲、ハチャトゥリアン「剣の舞」の作曲エピソードをご紹介します。
ハチャトゥリアン バレエ音楽「ガイーヌ(ガヤネー)」より 「剣の舞」
クラシック音楽の中でも特に有名な作品の一つに挙げられる、「剣の舞」。
作曲者のアラム・ハチャトゥリアンは、現在のジョージア(当時はロシア帝国領)に生まれたアルメニア人で、ソビエト連邦を代表する作曲家です。
運動会やバラエティ番組のBGMなどとしても聴く機会の多い「剣の舞」ですが、この曲の誕生には、なかなかスリリングなエピソードがあります。
本番前日の「もう一曲ください!」
「剣の舞」は、バレエ「ガイーヌ」の中で演奏される音楽です。
しかし、初演の前日までこのバレエに「剣の舞」のシーンは存在しませんでした。
1942年、ハチャトゥリアン39歳の冬。
バレエ「ガイーヌ」の初演前日、次のような内容の緊急連絡が入ります。
※もう一度書きますが、本番の前日です。
プレッシャーの中、一夜にして生まれた名曲
さすがに無茶振りが過ぎませんか…、と思いますが、時は1942年、当時ソビエト連邦は、スターリンによる大粛清時代です。
上からの指令を断ることなんて不可能どころか、前日だろうが何だろうが、音楽が初演に間に合わなければ、そしてその曲が評価されなければ、 たぶん「おそロシア」な未来が待っています…。
…というわけで、ハチャトリアンは(渋々)依頼を了承し、一晩中、机を指で叩いてダンスにふさわしいリズムを考え続けました。
そして苦労しながらも、一夜にして、後世まで残る名曲「剣の舞」を書き上げたのでした。
我々の想像も及ばないほどの厳しいプレッシャーの中、一夜にして書き上げられた名曲。
過酷な状況でも心を折らずに素晴らしい成果を上げるハチャトゥリアンの実力と精神力に感服です。
ハチャトゥリアン「剣の舞」の作曲エピソードをご紹介しました。
短い曲ですので、締切に追われる夜の気分転換や、断れない無茶振りが飛んできてしまったときの脳内BGMにも是非。
緊急の仕事は急いで、でも焦らずに。
急がせたいけど焦らせない…「元祖・発車音」(JR新宿駅・渋谷駅の音)は、「注意を喚起しつつ、不快感を与えない」という矛盾を音で解決しました。(元祖発車音 開発秘話「新宿駅の音」)
TOKYO MORNING 1989(井出 音 研究所)
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