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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第五部  第六十六話「お店に来たお客様」


第六十六話「お店に来たお客様」

「リモートで仕事してるし、

うちの会社はそういう所は融通が利くので、

どうしても行かなきゃならない時は連れて行こうと思って」

「だったら私が預かるわよ。

私こう見えても、

親の会社を継ぐ前までは保育士だったから」

「えっ? そうなんですか? 」

瑠璃が驚くと、

「そうよ。私も孫ができたみたいで嬉しいし」

と伍代は笑いながらお茶をすすった。

そしてフォスを見て、

「ママがいない時はばあばと遊ぼう」

と声をかけた。

「ばあば? 」

フォスが嬉しそうに走って来た。

妖精もいるし、

何かあっても問題はないだろう。

瑠璃は伍代と楽しそうに話してる姿に笑顔になった。

――――――――

そして太一たちに報告する前に、

ドッグランで会った女性がお店を訪れた。

丁度瑠璃が留守にしていた時で太一が対応をした。

女性は店に入ると、

「こんにちは。HPを見てきたんですけど、

こちらの女性社員さんにドッグランで教えていただいて」

ドッグラン? 

じゃあ、瑠璃ちゃんかな?

「何かお探しのものがありますか? 」

太一が笑顔で聞いた。

「えっと、この石なんですけど、

お写真で見てから気になって、

こちらにも置いてあるという事だったので、

見たくて来たんです。

ペンダントトップで欲しいんですけど」

彼女はそういうとスマホの写真を見せた。

「あぁ、フォスフォシデライトですね。

ありますよ」

太一はそういうとケースから取り出した。

「あら、本当に綺麗。

ピアスもあるんですね。

これも素敵。

お値段も………本当リーズナブル」

女性は驚いて笑うと太一を見た。

「サイズはこれだけですか? 」

「三サイズご用意できます。

金具はゴールドとシルバーとありますけど」

「どうしようかしら………でもこのお色だと、

ゴールドの方が素敵ですね」

彼女はそういって鏡に当てて考えてから、

「これにします。

あとこのピアスも」

と太一に渡した。

「お名前聞くのを忘れてしまったんですけど、

ここの動画を見たら蒼川瑠璃さんと名前があって。

アクセサリー講座を開かれているのを知って、

私も作ろうと思って今練習中なんです。

こんなに色んな天然石があるって知らなくて、

動画を見てたら夢中になってしまって」

女性が笑顔で話した。

「蒼川も喜びますよ。

今日はイベントで忙しくてここにいないんですけど、

伝えておきますね」

「有難うございます。

フォス君にも宜しくと言っておいてもらえますか? 

うちの子があれ以来よく話しているので」

フォス君?

太一は首を傾げたが、

「はい、分かりました」

と言った。



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八雲翔
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