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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第五部  第六十五話「瑠璃の家族」


第六十五話「瑠璃の家族」

妖精たちも周りには見えなかったが、

多くの犬相手に遊んでいる様子があった。

犬にも慣れ、楽しかったのだろう。

興奮して瑠璃に話す様子に笑いながら聞いていた。

車に乗せると既にフォスとシアンはぐっすり寝ていて、

その周りで妖精たちも熟睡する姿に、

瑠璃も笑顔になった。

フォスを連れて出かけると、

どうしてもその存在はごまかしがきかなくなる。

いっそ自分の養子にしてしまうか。

遠縁の子とすれば魔法でいくらでも誤魔化せる。

今日フォスの様子を見て、

瑠璃は真剣に考えるようになった。

王国から何かあればその時考えればいい。

瑠璃は気持ちよさそうに眠るフォス達を見て、

「夜はバーガーにしよう。

さすがに私も疲れた」

とドライブスルーに入った。

――――――――

ドッグランから戻ってすぐに、

瑠璃はフォスを養子にした。

フォスフォシデライトは八月十九日が誕生石。

という事で八月十九日で登録した。

皆でお誕生日会でも開くか。

全ての手続きを魔法で簡単に済ませたので、

これこそ世間で騒ぎになっている脱アナログ?

まぁ、ちょっとズルしてるけど。 

瑠璃は笑うとフォスに、

「今日から瑠璃はフォスのママね」

と言った。

「ママ? 僕のママ? 」

「そうよ」

そういって笑うと、

意味が分かっているのか否か、

飛び跳ねて喜んでいた。

それから伍代が遊びに来た時に、

事のいきさつを簡単に説明した。

「まぁ、じゃあ、あの手紙にはそんなことが書かれてたの? 」

伍代は磁石の積み木で遊ぶフォスを見て、

驚くと笑顔になった。

「祖母の遠縁にあたる人のお子さんだそうで、

両親が事故で亡くなって、

親戚でも引き取り手がいなくてもめていたらしくて」

「小さな子を育てるって大変ですものね。

自分の所にお子さんがいれば尚更ね………」

伍代もフォスを見ながら言った。

「祖母が引き取りたかったそうですけど、

年だったでしょう? 

本当はその時私にも、

連絡しようと思ったらしいんです。

でも私の結婚の妨げになると考えて」

未だ読めない手紙だが、

こういう所で役に立った。

瑠璃は内心ごめんなさいと祖母に謝ると、

「私は一度婚約破棄してるので、

結婚は考えてなかったんです。

もう年も年だし、

だったら養子にしても問題ないかなと思って」

と説明した。

「私にも懐いてくれて、

ママができて嬉しいみたいなんで、

引き取ってよかったです」

瑠璃の話に、

伍代もフォスを見ながら、

「でも、あの子もあなたによく似てるから、

子供って言ってもだれも疑わないわ。

保育園はどうするの? 」

と聞いた。



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八雲翔
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