【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第三部 第四十七話「予言の鏡」
第四十七話「予言の鏡」
「ねえ、魔法で鏡を見つけた時の状態を再現できない?
侵入者が来た時にも見せてくれたでしょ」
「いいけど、多分無理だと思う」
「どうして? 」
瑠璃が聞く間に、
エメがあの時間の再現をした。
見ると………
上からの映像で室内が映っているので、
肝心の鏡が見えない。
「ねっ? 私達の魔法は空間全体を再現するから、
ポイントでは無理なの」
「私の手元をアップにすることはできない? 」
「無理」
スミレの説明に瑠璃が言うと、首を振った。
「そうだ。瑠璃はコピー空間魔法も使えるし、
その時を思い出して、
鏡の言葉を蘇らせてみたら? 」
レモンの言葉に、
瑠璃は目を閉じて思い浮かべてみた。
だが………
そうだった。
私は夢の国も思い出せないくらい、
記憶の再現が苦手な人間だった………
それでも所々言葉は聞こえる。
瑠璃たちは耳を傾け、
なんとか聞き取ろうと試みた。
だが、肝心な部分が消えていて、
どうつながるのか想像するしかない。
この国に狙われているのはなんとなくわかるが、
宝石王国がどんな国なのか、
妖精に聞いた話だけでは国民性も分からない。
瑠璃が悩んでいると、
「国に帰れるが邪魔が入って帰れないってことかな? 」
「うんうん。女王は王と契約をしてるから、
王子は殺さなきゃならないから、
女王から王子を守れって事よ」
「鏡をはめ込むって、
もしかしたらそれで国に戻れるって事? 」
ネルとピュア、フェーンが楽しそうに話した。
う~ん、そんな簡単な事なのかな~
生まれた私に与えたって何を?
それをお父さんは知ってたのかな?
もし戻れることを知っていて邪魔が入ったなら、
やっぱり王国には、
この空間を知っているものがいるって事じゃない。
王との契約は男性誕生の封印だというけど、
なんか引っかかる。
はめ込むって鏡だよね。どこに?
はぁ~手紙が読めれば解決できるのに、
なんで読めないんだろう………
それとも手紙には、
本当に大したことは書かれていないんだろうか。
でも、お祖母さんは読めと言った。
う~ん………
瑠璃はその事を思い出しながら、
開いた鏡をじっと見つめた。
念じても何も変化はない。
瑠璃はシアンと楽しそうにお散歩する、
フォスと妖精たちに視線を戻すと鏡を消した。
見張りを続けていた石橋が、
犬を連れて出かける瑠璃の姿を見て言った。
「あの女、犬を飼ったんですね」
「防犯の為だろう?
この所怪しいのがうろついていたからね。
田舎の女性の一人暮らし。
しかも戸建てだからね。
玄関にも防犯カメラを設置してたし、
何かを疑い始めてるのかもしれないな」
高木も映像を見ながら話した。
ピッキングされたことも分かって、
鍵の交換もしていた。
「警察に通報したんですかね」
石橋がカップ麺を食べながら言った。
「お前その機械壊すなよ。
大倉さんの顔で予算が下りてるんだからな」
「大倉さんて元検事長の? 」
「そう。天下りってのはそうやって出来上がってんのさ。
お前も警察に通報なんて馬鹿なことを言ってるから、
こんな部署に回されたんだよ」
「は? 」
「国旗が目の前で揺れてるのが見えないとは、
出世したいなら靴の舐め方を覚えたほうがいいぞ」
高木が笑った。