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【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第六部 第八十五話「王妃の話」

第八十五話「王妃の話」

【私たちの住む世界には、

大国の中に小国がいくつもあり、

いつの世も権力争いとは無くなることはなく、

我が国も長いことその争いに巻き込まれていました。

その中でもいつ現れたのか、

謎に包まれた人物がおり、

それがナリア王国の王カイドーでした。

彼は突然現れ、

いつの間にか小国を取り込み、

近隣国は王の独裁に諍いながらも潰されていきました。

カイドーは謎に包まれていましたが、

彼をよく知る側近達は、

子供が大人になったような人物だと。

思い通りにならないと癇癪を起し、

手に入れたいものは強引に征服し、

気が付いた時には多くの国が

カイドー王に飲み込まれていました。

中でも大きな被害を受けたのが、

フェアリーストーンです。

多くの妖精が殺害され、

残ったものも奴隷となり、

長きに苦しむこととなりました。

それを助けたのが我が国の王なのです】

瑠璃はその告白に驚きとともに、

黙って聞いていた。

妖精たちも男性封印の術の話をしていた。

それまではやはり男性王のいる時代があったのだ。

【当時のリソス王国を収めていたのは、

我が夫のステラ王でした。

彼は傍若無人なカイドーのやり方に我慢ができずに、

裁きを与えることとしたのです。

それが魔法の刃と言われる闇へと葬る魔法です。

魔法使いが誰でも持てるものではなく、

選ばれしものがその魔力を持って誕生する、

特殊な能力魔法なのです。

近隣諸国で魔法王国はリソスだけ。

大国でありながら、

その存在を外に漏らすことなく、

ひっそりと暮らしていたのも、

魔法という能力は人を狂わせ、恐れさせるものだと、

分かっていたからです】

女王の話に瑠璃も唇を噛んだ。

この国でも、

三種の神器で人生を狂わせた者達がいた。

女王の話は続いた。

【ステラ王はフェアリーストーンの現状に、

我が国の危険も顧みず助けてしまったことが、

悲劇の始まりとなってしまいました。

あの魔法は見たものを狂わせます。

魔法国のものですら、

恐怖に身動きできないほどのもの。

魔法を知らないものがそれを目にしたのです。

脅威の何ものでもなかったでしょう。

その瞬間を見たフェアリーストーンのジェイド王は、

助けられたにもかかわらず、

恐ろしさの余り、

リソス王に毒を与え死亡させたのです】

何てこと………

瑠璃は言葉も出ずに、目の前にいる女王を見つめた。


『あれも魔王だ。

カイドーと何も変わらん。

生かしておけば、

再びこの島は狙われてしまう』


【そんな思いから起こった短絡的な事件でした。

王族は毒の耐性を持っています。

それは竹林の中に輝くジオード。

そこから生まれてくることで、

毒や病気から守られているのです。

それは国民も同じで、

我が王国はそれによって、

国民の総数が管理されています】

これを聞くと宝石王国は、

その世界の中でも異質な国という訳だ。

宝石が湧き出て、魔法で国を守ることで、

荒らされずに生活を守ってきたのか。

瑠璃は考えながら話を聞いていた。


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八雲翔
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