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【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第一部ー42ー
「冥界婚」
花村とまり子の結婚式が行われたのは、
工房とギャラリーが完成してから、
更に半年後――――
ギャラリーには多くの冥界人が集まり、
ささやかどころか華やかな式となった。
冥界結婚式がみられることは滅多にあることではないので、
特例も死神も時間を作って参列していた。
だが、そこに牧野と安達の姿だけがなかった。
その理由が――――
「ええ~なんで今日に限って悪霊が増えるんだよ!!
昨日のうちにあれだけ除去したのに、
なんで? ねえ、なんで? 」
「それは、悪霊さんに聞いていただかないと」
セイが言う。
「倉田も岸本も来てるんだろう? ちょっと手伝ってよ~」
「嫌だよ。たまの息抜きくらいさせろよ。
どっさり悪霊持ってきてやったろ? 」
「俺達からのご祝儀だからね」
倉田と岸本は笑いながら、
「ほら、行ってこいよ」
と追い立てた。
牧野はぶつくさ文句を言うと、
安達とエナトと一緒に出動していった。
「おや? 若い二人は参加しないのかい? 」
マントを羽織って仰々しくギャラリーにやってきた冥王が、
牧野たちの姿を探しながら言った。
「今日は朝から悪霊が騒ぎを起こしてて、
牧野君たちは参加できなくなったんですよ。
あんなに楽しみにしてたのに」
「それは気の毒だな」
「大丈夫ですよ。我々撮影隊がVTR作りますから」
セイがカメラマンを連れてやってきた。
「写真は加納先生が撮ってくれるので、
ギャラリーに飾ろうと思って」
「それはいいね~
このギャラリーは世界中どこを探しても、
見ることのできない特別な場所だからね」
冥王は自慢げに言うと、
「では、冥界婚を執り行いましょう」
両手を広げてギャラリーに入っていった。
「誰が主役なのか、分かっているんだろうか」
向井は苦笑いすると、後に続いた。
数時間後――――
結婚式も無事終わり、
誰もいなくなった静かなギャラリーを向井は一人見て回っていた。
花村とまり子は消去課に進み、
二人仲良く再生へと進んでいった。
冥界で結ばれた魂は、
来世でも結ばれる運命は高いのだそうだ。
閻魔帳の記載で証明されているらしい。
彼らが再び亡くなった時、
俺は延長されてまだ働いているんだろうか……
向井はそんなことを考えながら、
作品を一つ一つ見ていた。
ギャラリーは明日から、
誰でも見ることができる場所となる。
妖怪には冥界で悪さをすれば消滅させられてしまう、
開発室が作ったナンバーブレスの装着が決まった。
ギャラリーを見るのは自由なので、
虎獅狼も千乃も楽しみにしていた。
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