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「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」のか?融資を受ける秘訣

「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?


実際に銀行は、
『金を稼ぐ能力のない相手には融資せず、金を稼ぐ能力のある先に融資する。』と言えるでしょう。

一見ひどいような気もしますが、
銀行側からすれば「当たり前」です。

今回は、『融資を受けられる企業』になるための心得をお話ししようと思います。

1.銀行の「融資」は「投資」の一環

『融資』とは、大きく括れば『投資』の一種です。

そのため、銀行は、増える見込みがある先にお金を投資します。

大前提、銀行は、100万円を貸して、年間1万円(1%の場合)の利息を儲けるビジネスモデルです。

言い換えると、1万円を儲けるために100万円のリスクを負います。

そこに人件費などの経費も掛かってくるのですから、1件たりとも貸し倒れることは許容できない構造になっているのです。

このため、融資は「返済可能性」が最優先され、稼ぐ力のない企業に対してはリスクが高すぎるため融資が難しくなります。

ここまで聞けば、
『金を稼ぐ能力のない相手には融資せず、金を稼ぐ能力のある先に融資する。』のは当たり前のことだとわかるはずです。

銀行が、粉飾を見破ろうとするのも、金を生まない設備投資に消極的なのもビジネスモデル上当たり前のことだとわかっていただけると思います。

2.返済能力を示す「根拠」の重要性

銀行が融資を借り入れる際には、単に「お金が必要」という理由だけではなく、「返済できる能力がある」ことを証明する具体的な根拠が必要です。

この「根拠」は、過去の実績、財務諸表、事業計画書など、定量的なデータによって示されるべきです。

「多分返せると思います!」ではダメです。

そして、その『根拠』の信頼性が高いほど、もちろん融資を受けやすくなります。

わかりやすく説明すると、
もしも『絶対に一年で100万円が150万円に増える』株式があれば、みんなお金を借りてでも投資しますよね。

利息が掛かったとしても、それ以上に絶対増えるので問題ありません。

しかし、その『増える根拠』が重要です。

「友達から絶対増えると聞いた!」と言ってもお金は借りられません。

しかし、
例えば、官公庁からの受注や大型契約が成立している場合ならどうでしょう?

その収入が確実に発生する根拠を示すことで、銀行側はリスクを低く見積もり、融資の審査が通りやすくなります。

自社がどのようにして利益を生むのか、根拠となる具体的なシナリオを描き、銀行は、その『根拠』をもとに融資を決定するのです。


運転資金・設備資金とは


運転資金・設備資金とは企業の投資資金です。

当たり前のことなのですが、意外と理解していない経営者も多いです。

銀行員ですらきちんと理解できていない人もいます。

実際に、銀行に入ったばかりの頃の私は、『運転資金』を『事業者版フリーローン』くらいに捉えていました。

そのため、営業時にはあろうことが「お金がないから借りたい」お客様を探してしまっていたのです。

そんな私だからこそ、運転資金についての、正しい認識についてのお話ができます。

繰り返しますが、運転資金も設備資金も、いわゆる企業にとっての『投資』です。

前述と同様『絶対に一年で100万円が150万円に増える』株式があれば、投資するでしょう。

それと同じで、100万円で仕入れして150万円で必ず売れるものがあるなら先行投資すべきなのです。

そのために必要な資金が運転資金になります。

また、

「この設備を導入すれば、これまで1日100個しか作れなかったものが1,000個作れるようになる。そしたら利益が10倍に増えるから投資金額も早期に回収できる!だから設備を買おう!」

というのが設備投資です。

両方に共通するのが、『利益のために投資する』ということです。

「不景気でお金が足りないから借入したい。」というケースで必要な資金は、『運転資金』ではなく『赤字補填資金』であり、その違いを明確に区別することが大切です。

担保・保証

もしも、『根拠』の信憑性が弱い場合に重要なのがこの『担保・保証』です。

簡単に説明します。

「100万円を貸して欲しい。もしも、返せなくなった場合は、代わりにこの100万円の家を渡します。」

「返せなくなった場合は、私のお父さんが代わりに返します。」

などが『担保・保証』です。

連帯保証、物的保証など色々種類はありますが、ここでは簡単なイメージをつかんでもらえれば良いので割愛します。

もしも返せなくなっても、代わりに補償してくれる人・物があれば、お金を借りやすくなるのは当然ですね。

まとめ

超低金利時代において、銀行もリスクを最小化しながら利益を上げる必要があります。

そのため、『返済できる見込みのない企業』に融資を行う余裕はほとんどありません。

融資を受けたい企業は、「銀行は雨の日に傘を取り上げる」という批判的な見方ではなく、自己のビジネスモデルや収益力をしっかりとアピールすることが求められます。

銀行からの融資を受けるためには、収益力を裏付ける具体的な根拠を提示し、また必要に応じて担保や保証を用意することが、融資承認への近道です。

企業としては、しっかりとしたビジネスプランを立て、利益を生み出す確固たるシナリオを銀行に示すことが、成功への鍵となるでしょう。

以上、ありがとうございました。


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