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国連 普遍的定期的レビューに関する作業部会報告書(案)

 日本経済新聞(2023年2月2日付)は、「日本に人権機関設置を勧告 死刑廃止も、国連作業部会」と題する記事で、国連人権理事会の作業部会が2日、国連全加盟国を対象に人権状況を定期的に検証する「普遍的審査」制度に基づく日本の報告書を公表したと報じました。
 NHKは2月4日に「国連の人権理事会 日本の人権状況を審査 死刑廃止などを勧告」と題する記事を報道しています。
 日本経済新聞は、国内人権救済機関の設置や死刑制度の廃止、東京電力福島第1原発事故避難者の国内避難民認定、NHKは、死刑制度の廃止、出入国在留管理庁の施設における医療体制の改善や収容の長期化を回避するための措置、人権救済機関の設置、性的マイノリティーへの差別の解消、同性婚を合法化、政治や経済分野における女性の参加促進を記載していますが、「子どもの権利条約と調和する国内法の見直し」「ハーグ条約の遵守」については全く触れていません。
 しかし、フランス、ポーランド、アフガニスタン、ウルグアイ、イタリア、スペイン、チャド、カメルーンの8か国が勧告をしているのです。
 離婚後の家族法制度に関してパブリックコメントを募集している期間の国連発表ですから、この勧告は極めて重要な意味を持つはずです。マスコミは報道しない自由を行使しているようなので、情報伝達範囲は数百名程度ですが、国連報告書を翻訳、公開することにしました。

国際連合 A/HRC/WG.6/42/L.12
総会
未編集版
配布:限定
2023年2月3日
原文:英語
人権理事会
普遍的定期的レビューに関する作業部会
第42回会合
ジュネーブ、2023年1月23日〜2月3日
普遍的定期的レビューに関する作業部会報告書(案
日本

はじめに

1. 人権理事会決議5/1に基づき設置された普遍的定期的レビューに関する作業部会は、2023年1月23日から2月3日にかけて第42回会合を開催した。日本に対するレビューは、2023年1月31日に第13回会合にて行われた。日本代表団は、外務省の今福隆夫副大臣(大使)が団長を務めた。2023年2月3日に開催された第16回会合で、作業部会は日本に関する報告書を採択した。

2. 2023年1月11日、人権理事会は、日本に対するレビューを促進するために、以下の報告者グループ(トロイカ)を選定した。パキスタン、パラグアイ、ウクライナ。

3. 人権理事会決議5/1の附属書15項及び理事会決議16/21の附属書5項に従い、日本に対するレビューのため、以下の文書を発出した。
⒜ 15⒜項に従って提出された/作成された国内報告書
⒝ 15⒝項に従って国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が作成した編集物
⒞ 15⒞項に従ってOHCHRが作成した要約

4. 実施や報告およびフォローアップのための国家メカニズムに関する友好国グループ、スロベニア、スペイン、スウェーデン、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、及びアメリカ合衆国を代表してベルギー、カナダ、ドイツ、リヒテンシュタイン、パナマ、ポルトガルが事前に作成した質問表はトロイカを通じて日本に送付された。これらの質問は普遍的定期的レビューのウェブサイトに掲載されている。

I. レビュープロセスの議事概要

2023年2月10日までに完了予定

A. 被レビュー国によるプレゼンテーション

B. 被レビュー国による対話と回答

5. 双方向対話では、115の代表団が声明を発表した。対話の中でなされた勧告は、本報告書のセクションIIに記載されている。

II. 結論及び/又は勧告

6. 以下の勧告を、日本は検討し、適宜、遅くとも第53回人権理事会までに回答を提供する。
6.1 未批准の国際人権文書の批准を検討すること(シエラレオネ)。
6.2 死刑のモラトリアムを確立し、死刑の廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准すること(フランス);市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准し、死刑廃止への第一歩として死刑のモラトリアムを導入することを検討すること(リトアニア);死刑のモラトリアムを確立し、死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准するよう検討すること(チリ)。
6.3 死刑の正式なモラトリアムを直ちに制定すること。死刑廃止を目的とした市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准すること(ドイツ)。
6.4 死刑廃止を目的とした市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書の批准を検討すること(アルゼンチン)。
6.5 死刑廃止を目的とした市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准すること(スウェーデン)。
6.6 死刑廃止を目的とする市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准すること(ルクセンブルグ)(マルタ)(パナマ)(スロベニア)(スペイン)。
6.7 タバコ製品の不正取引を排除するための議定書を批准すること(パナマ)。
6.8 市民的及び政治的権利に関する国際規約の第一選択議定書を批准すること(キプロス)(マルタ)。
6.9 市民的及び政治的権利に関する国際規約の第一選択議定書の締約国となること(アゼルバイジャン)。
6.10 拷問及びその他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の選択議定書を批准し、マンデラ・ルールを厳格に適用すること(コスタリカ)。
6.11 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の選択議定書を批准すること(オーストリア)(チリ)(チェコ)(デンマーク)(モルディブ)(モンゴル)(スロベニア)。
6.12 イスタンブール条約(女性に対する暴力及びドメスティックバイオレンスの防止及び撲滅に関する欧州評議会条約)を批准すること(デンマーク)。
6.13 ドメスティックバイオレンスの撲滅を強化し、イスタンブール条約を批准することにより、更なる男女平等を推進すること(フランス)。
6.14 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書を批准すること(モンゴル)(スイス)。
6.15 全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約に加入すること(キルギスタン)。
6.16 全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約の批准を検討すること(アルジェリア)。
6.17 全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約を批准すること(ニジェール)。
6.18 全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約及び国際労働機関の1989年の先住民及び種族民条約(第169号)及び女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書を批准すること(コロンビア)。
6.19 先住民及び種族民に関するILO条約第169号を批准すること(ベネズエラ(ボリバル共和国))。
6.20 国際労働機関の1958年の差別(雇用及び職業)条約(第111号)の批准を検討すること(南アフリカ)。
6.21 国際労働機関(ILO)の差別(雇用及び職業)条約(第111号)を批准すること(トーゴ)。
6.22 難民条約を批准し、難民及び亡命者の権利保護に関する政策を実施すること(アフガニスタン)。
6.23 無国籍者の地位に関する1954年条約の批准を検討すること(コートジボワール)。
6.24 無国籍者の地位に関する1954年条約および無国籍者の削減に関する1961年条約を批准すること(トーゴ)。
6.25 ユネスコの教育における差別撤廃条約を批准すること(コートジボワール)。
6.26 ユネスコの教育における差別禁止条約および文化表現の多様性の保護と促進に関する条約を批准することを検討すること(モーリシャス)。
6.27 子どもの権利委員会への個人通報を可能にする児童の権利条約の通報手続に関する選択議定書を批准すること(フランス)。
6.28 児童の権利条約の通報手続に関する選択議定書を批准すること(スロバキア)。
6.29 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の選択議定書を批准すること(ポルトガル)。
6.30 障害者の権利に関する条約の選択議定書に加入すること(スロベニア)。
6.31 国境を越えた養子縁組に関する児童の保護及び協力に関するハーグ条約の批准を検討すること(スロバキア)。
6.32 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約第4条の留保を撤回すること(ナミビア)。
6.33 核兵器の禁止に関する条約と文化表現の多様性の保護と促進に関する条約の可及的速やかな批准を検討すること(ジブチ)
6.34 すべての特別手続に対する常設の招請を拡大し、すべての国連特別手続に全面的に協力すること(バヌアツ)。
6.35 条約機関を含む国連人権機構との協力を継続すること(キルギス)。
6.36 人権勧告の実施、報告およびフォローアップのための常設の国内機構を設立すること(パラグアイ)。
6.37 人権の効果的な実施を監督する独立した監視及び報告機構の確立を検討すること(アルメニア)。
6.38 個別法に基づく保護メカニズムの実施を含む人権の保護に関する分析を継続すること(トルクメニスタン)。
6.39 人権に対する国民の理解を深め、人権尊重の原則を推進するための人権啓発活動を継続すること(ベトナム)。
6.40 特に、社会におけるジェンダーの固定観念や偏見をなくすことを目的とした「人権教育」を促進する努力を継続すること(インドネシア)。
6.41 あらゆる分野における人権に関する教育や訓練を促進する努力を継続すること(エルサルバドル)。
6.42 国全体の法的意識を高めるために、一般市民に対する人権に関する啓発や研修活動を継続すること(トルクメニスタン)。
6.43 人権意識と教育を更に促進するための特別な措置を講じること(アルメニア)。
6.44 第二次世界大戦前および大戦中に日本が行った性奴隷や強制労働などの人道に対する極悪犯罪について、痛切な反省、心からの謝罪、法的賠償を通じて国家責任を問うための具体策を講じること(朝鮮民主主義人民共和国)。
6.45 侵略の歴史に正面から向き合い、反省し、過去の残滓である問題を適切に処理し、被害者に賠償を行うこと(中国)。
6.46 独立した国内人権機関を設置すること(フランス)。
6.47 パリ原則が定める人権の促進と保護のための広範な権限を有する国内人権機関を創設すること(コロンビア)。
6.48 人権の促進及び保護のための国内機構の地位に関する原則であるパリ原則に従って国内人権機関を設置すること(カタール)。
6.49 パリ原則に則り、人権の促進と保護のための広範な権限を有する国内人権機関を設立すること(南アフリカ)。
6.50 パリ原則に則り、人権を促進するための幅広い権限を有する国内人権機関を設立すること(東ティモール)。パリ原則に則り、独立した公平な国内人権機関を設立すること(スペイン)。パリ原則に則り、国内人権機関を設立すること(ナイジェリア)。パリ原則に則り、幅広い権限とそれに見合ったリソースを有する独立した国内人権機関を設立すること(ネパール)。
6.51 パリ原則に沿った独立した信頼できる人権機構を設立すること(フィンランド)。
6.52 パリ原則に沿った独立した国内人権機関を設立すること(カザフスタン)。
6.53 パリ原則に則り、その鍵となる国内人権機関を設立すること(モンゴル)。
6.54 パリ原則に則り、独立した信頼できる国内人権機関を設立すること(モンテネグロ)。
6.55 人権を促進し保護するための独立した国内人権機関を設立すること(ニュージーランド)。
6.56 パリ原則に沿った国内人権機関設立のための人権委員会法案を制定するプロセスを完成させること(ケニア)。
6.57 パリ原則に則り、信頼できる国内人権機関を創設するために必要かつ関連する措置を講じること(ガボン)。
6.58 独立した、パリ原則に沿った国内人権機関の設立に向けた一層の努力を進めること(チリ)。
6.59 パリ原則に則り、人権の促進と保護のための広範な権限を有する国内人権機関の設立を検討すること(トルコ)。
6.60 パリ原則に従った独立した国内人権機関の設置を検討すること(バングラデシュ)。
6.61 パリ原則に従った国内人権委員会の設立を検討すること(モーリタニア)。
6.62 パリ原則に従った独立した国内人権機関の設置を検討すること(ドミニカ共和国)。
6.63 パリ原則に従った独立した国内人権機関の設立を検討すること(カナダ)。パリ原則に従った国内人権機関の設立のための措置を講じることを検討すること(インド)。
6.64 パリ原則に従った独立した国内人権機関の設立に向けた努力を継続すること(リトアニア)。独立した国内人権機関の設立に向けた努力を重ねること(ウクライナ)。
6.65 パリ原則に従った国家人権機関の設立を目指した努力を継続すること(イラク)。
6.66 パリ原則に沿った人権侵害の苦情に対処する明示的な権限を有する国内人権機関の設立に向けた努力を強化すること(フィリピン)。
6.67 権限に基づき国内人権機関の実効性をさらに高めること(キルギスタン)。
6.68 国内人権機関の設立を再開し、パリ原則の完全遵守を確保すること(オーストラリア)。
6.69 パリ原則に沿った国内人権機関の設立に向けた作業を継続すること(レバノン)。
6.70 人種差別撤廃委員会(CERD)が策定した勧告を実施すること(アンゴラ)。
6.71 包括的な法律の採択及び意識向上キャンペーンによるものを含め、あらゆる形態の差別を防止し撲滅する努力を引き続き強化すること(イタリア)。
6.72 この分野における包括的な法律を制定することにより、反差別政策をさらに強化すること(ウクライナ)。
6.73 朝鮮半島出身者が公共の場で自らのアイデンティティを表現できるよう、少数民族を標的としたヘイトスピーチや人種差別的犯罪を禁止する法律を制定すること(朝鮮民主主義人民共和国)。
6.74 特に先住少数民族や移民に対する人種、民族、出身に基づく差別を禁止し、処罰するために、その法律を見直すこと(メキシコ)。
6.75 脆弱な立場にある集団を含むすべてのカテゴリーの人々による人権の享受を確保するために更なる措置を講じること(アゼルバイジャン)。
6.76 人種差別的な暴言、外国人排斥および関連する不寛容を含む、さまざまな形態の差別および人種主義を撲滅する努力を継続すること(アルジェリア)。
6.77 あらゆる形態の差別を撲滅する措置の実施を継続して進めること(スリランカ)。
6.78 差別とヘイトスピーチに関する実施措置を発展させること(シエラレオネ)。
6.79 ヘイトスピーチ、人種差別およびその他の形態の差別に対抗する法律の施行を強化する可能性をさらに探究すること(アルメニア)。
6.80 ヘイトスピーチおよび人種、宗教、民族、その他の所属に基づく差別を防止することを目的とした公共政策を強化すること(ベラルーシ)。
6.81 人種差別とヘイトスピーチを撲滅するための効果的な立法上および行政上の措置を講じること(中国)。
6.82 差別とヘイトスピーチの問題、特に社会におけるマイノリティに対する問題に取り組む努力を強化すること(ガーナ)。
6.83 マイノリティに対するヘイトスピーチを排除する努力を継続すること(イラク)。
6.84 暴力、差別、迫害のいずれからも脆弱な立場にある集団に法的保護を提供すること(クウェート)。
6.85 関連する法律に沿って、人種差別とヘイトスピーチの撲滅を目指す努力を行うこと(レバノン)。
6.86 包括的な反差別法を制定すること(モンテネグロ)。
6.87 人種差別とヘイトスピーチを防止し、撲滅し、禁止するための効果的な措置を講じること(ナミビア)。
6.88 政治家やメディア関係者を含む個人および公務員による憎悪と人種差別の扇動、言論、犯罪に終止符を打つための行動を強化すること(ベネズエラ(ボリバル共和国))。
6.89 ヘイトスピーチの禁止とその行為に対する処罰を同法に導入することにより、ヘイトスピーチ法をより効果的に実施する努力を継続すること(大韓民国)。
6.90 国民的民族的マイノリティに対するあらゆる差別の顕在化に対処することを目的とした一連の立法上および実務上の措置を講じること(ロシア連邦)。
6.91 「授業料無償化措置」、「授業料支援基金制度」およびその他の朝鮮学校への補助金支給をいかなる差別もなく適用し、平等な扱いを確保するための措置を講じること(朝鮮民主主義人民共和国)。
6.92 死刑廃止の可能性を視野に入れた刑法改正の努力を継続すること(ウズベキスタン)。
6.93 死刑のモラトリアムの実施を視野に入れ、死刑犯罪の数を減らすこと(キプロス)。
6.94 死刑を廃止すること(アンゴラ)。
6.95 死刑を廃止する(アイスランド)(パラグアイ)。
6.96まずすべての死刑を禁固刑に減刑し、死刑執行の公式なモラトリアムを導入し、死刑を廃止すること(アイルランド)。
6.97 死刑の廃止を検討すること(東ティモール)。
6.98 死刑廃止を視野に入れた死刑執行のモラトリアムの確立を再検討すること(ウルグアイ)。 死刑の完全廃止を視野に入れた死刑執行のモラトリアムの導入を検討すること(イタリア)。
6.99 死刑を廃止し、それに代わる刑罰を導入することを検討すること(カザフスタン)。
6.100 死刑廃止への第一歩として、死刑執行のモラトリアムの導入を前向きに検討すること(フィジー)。
6.101 正式な死刑執行のモラトリアムを導入し、死刑の全面的な廃止に向けた具体的な措置を講じること(ノルウェー)。死刑廃止への第一歩として、死刑のモラトリアムを導入すること(スロバキア)。死刑廃止を視野に入れた死刑のモラトリアムを導入すること(ポルトガル)。死刑執行の公式モラトリアムを即刻確立し、死刑の完全廃止に向けた具体的な措置を講じること(エストニア)。死刑執行のモラトリアムを確立し、最終的に死刑を廃止すること(フィンランド)。死刑の完全廃止に向けた第一歩として、死刑の執行に関するモラトリアムを確立すること(ニュージーランド)。死刑廃止の第一歩として死刑執行の公式モラトリアムを宣言し、すべての刑を禁錮刑にすること(スペイン)。モラトリアムを導入し、死刑廃止のための公開討論を行うとともに、被害者とその家族をどのように支援するかを取り上げること(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)。死刑廃止への第一歩として死刑執行のモラトリアムを確立し、死刑判決に対する強制的な上訴制度を実施すること(オーストラリア)。
6.102 死刑廃止を意図した政策見直しを開始すること(ポーランド)。
6.103 死刑に直面した者の権利保護を保証するすべての保障措置が尊重され、手続が市民的及び政治的権利に関する国際規約、特に第14条に適合していることを確認すること(ベルギー)。
6.104 移民収容施設内の医療制度を改善し、収容基準の定義、司法審査の導入、収容期間の制限の設定、仮放免の付与により、移民の不必要な長期収容を回避するための具体的措置を講じること(オランダ)。
6.105 刑務所と拘置所の条件を、ネルソン・マンデラ規則などの国際人権規範と基準に一致させること(オーストリア)。
6.106 関連する国際基準に従って、医療・精神医療の改善、冬季の適切な暖房、囚人の食事の量を増やすなど、拘禁条件を改善すること(カナダ)。
6.107 マンデラ規則を適用することにより、虐待的行為をなくすために、拘禁中の行動に関する最低基準を導入すること(ドイツ)。
6.108 被拘禁者の権利の保証に関しても、司法行政の国内システムの改善を継続すること(ロシア連邦)。
6.109 日本の裁判所における国際人権諸条約の適用に対処するための実務指針の実施を検討すること(シエラレオネ)。
6.110 司法行政、特に容疑者を起訴なしに最長23日間拘束することを可能にする「代用監獄」制度の使用について見直しを行うこと(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)。
6.111 市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条、第7条及び第14条に基づき、秘密処刑を停止し、公正な裁判を受ける権利を保障すること(スイス)。
6.112 権利の侵害に対する適切な救済を提供するための法律を強化し、そのような法律の見直しの際に受益者の参加を確保すること(ボツワナ)。
6.113 宗教団体への強制的な寄付の慣行を根絶することを目的とした、立法措置を含む措置を講じること(ロシア連邦)。
6.114 政府に公共放送の内容を規制する権限を与えている放送法第4条を廃止または改正すること(アメリカ合衆国)。
6.115 人権をさらに促進し保護するために、非政府組織を含む市民社会との対話を継続すること(ブルガリア)。
6.116 政治的言説やソーシャルメディアにおいて、過去の人道に対する罪の歴史を美化したり歪曲したりすることをやめること(朝鮮民主主義人民共和国)。
6.117 人権に基づくアプローチを通じて、出生率の低下、高齢化、都市化を含む差し迫った人口問題と人口動態の変遷に対処すること(マレーシア)。
6.118 少子化、人口高齢化、都市化を含む差し迫った人口問題と人口動態の推移に人権に基づくアプローチを適用すべく、国際人口開発会議(ICPD25)ナイロビ・サミットの公約を実行し、同時に、ライフコース・アプローチによる経験の共有と政策実施の加速のために国際社会と協力すること(南アフリカ)。
6.119 ICPD25で行われた、少子化、人口高齢化、都市化を含む喫緊の人口問題と人口動態の推移に人権に基づくアプローチを適用するという公約を実施し、国際社会と協力して経験を共有し、ライフサイクル・アプローチによる政策の実施を加速すること(パナマ)。
6.120 女性と少女の性的搾取を含む人身売買を撲滅するための包括的な法律を制定すること(ナイジェリア)。
6.121 各国、国際機関及び市民社会組織との緊密な連携や協力によるものを含め、人身売買を撲滅する努力を継続すること(タイ)。
6.122 人身売買を撲滅するための法執行当局のためのリソースと訓練を増やすこと(アゼルバイジャン)。
6.123 立法レベルおよび実務レベルで人身売買を撲滅することを目的とした措置を強化すること(ベラルーシ)。
6.124 少女と女性の性的搾取と人身売買を撲滅するための執行および検察のメカニズムを強化すること(ガンビア)。
6.125 人身売買、特に女性と子どもの人身売買を撲滅するためにメカニズムを強化するための措置を推進すること(パキスタン)。
6.126 人身売買、特に女性と子どもに関する人身売買を撲滅するための努力と措置を強化すること(セルビア)。
6.127 人身売買と性的搾取に効果的に対処し、加害者に責任を負わせること(中国)。
6.128 人身売買の防止、被害者の保護および加害者の訴追を含む人身売買を撲滅するための努力を継続すること(グルジア)。
6.129 人身売買を撲滅するための努力を強化し、起訴につながる適切な捜査を通じて、人身売買を犯罪とする特定の法律を採択すること(ケニア)。
6.130 不処罰を減らすための措置と、被害者中心のアプローチから人身売買の事例を調査することで、人身売買を撲滅する努力を継続すること(ペルー)。
6.131 加害者を裁判にかける努力や子どもの人身売買に対する罰則の強化など、人身売買を撲滅する努力を強化すること(キプロス)。
6.132 子どもの人身売買に対処する努力を強化し、加害者に責任を問えるようにすること(ガーナ)。
6.133 性的搾取を目的とした人身売買や国内での強制失踪の増加といった社会悪の実践をすべて撤廃すること(朝鮮民主主義人民共和国)。
6.134 職場での虐待から従業員を保護する努力を継続すること(スーダン)。
6.135 国際社会の正当かつ正当な懸念を真摯に受け止め、核汚染水を開放的、透明的かつ安全な方法で処分すること(中国)。
6.136 関連する国際規約の批准に続く効果的な措置を開発することにより、経済的、社会的及び文化的権利の促進及び保護を強化すること(カメルーン)。
6.137 国際公約の持続可能な開発目標、特に教育、健康、衛生、貧困削減に関連する目標に引き続き焦点を当てること(アルジェリア)。
6.138社会的弱者を支援する国家プログラムを効果的に実施すること(ウズベキスタン)。
6.139 COVID-19が貧困層や弱者に与える影響に対処するための効果的な手段を講じること(アゼルバイジャン)。
6.140ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成と気候変動への対応など、これらの目標を達成するために、「持続可能な開発目標推進センター」を支援すること(アラブ首長国連邦)。(
6.141 清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する人権を憲法および法的レベルで取り入れ、自然災害およびその他の災害の被害者に対する核放射線の影響に対処すること(コスタリカ)。
6.142 医療へのアクセスを含め、国際的な規範と基準に完全に一致させるべく刑務所と拘置所の状況を改善すること(チェコ)。
6.143 刑務所の状況を改善するための措置を強化し、受刑者の医療衛生と精神衛生に対する保護を強化すること(パキスタン)。
6.144 清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する権利と、それに関連する他の権利への影響を保護し促進するための関連する国内法を強化し実施すること(フィジー)。
6.145 性的および生殖的な健康とリプロダクティブ・ヘルス/ライツへの普遍的アクセスを確保すること(アイスランド)。
6.146 COVID-19パンデミックまたはその他の公衆衛生緊急事態への今後の対応が少数民族やその他の疎外された集団に対して差別的でないことを確保すること(マレーシア)。
6.147 包括的な立法と政策改革を通じて、中絶と避妊を含む、女性のための安全で適時かつ安価な性と生殖に関するヘルスケアへのアクセスを確保すること(ノルウェー)。
6.148 人間の健康への害と環境破壊を最小化する核廃棄物の代替排出や貯蔵方法の研究、投資、利用を強化すること(サモア)
6.149 少なくとも12年間の無償の初等及び中等教育を保証する規定を国内法に盛り込むこと(ルクセンブルク)。
6.150 初等及び中等教育の無償化の方向での措置を引き続き追求すること(モーリシャス)。
6.151 移民に対する社会的差別によりよく対処し、差別なく住宅、教育、保健医療、雇用機会への平等なアクセスを確保すること(ベトナム)。
6.152 非差別、包摂、男女平等に関する公共政策を伴った、移民を含む日本に居住するすべての子どもたちに無償の初等及び中等義務教育を確保し、拡大するための法律を採択すること(ブラジル)。
6.153ジェンダーに基づく暴力を含むあらゆる形態の暴力に対する法的保護を、特に学校において、強化すること(ブルキナファソ)。
6.154 異なるカテゴリーの人々の基本的権利を国民がよりよく理解することを目的とした啓発を継続、強化すること(ブルンジ)。
6.155 雇用、教育、サービスへのアクセスにおけるアイヌ、琉球、沖縄に対する差別を撤廃し、土地と天然資源に対する彼らの権利を守るための現在の努力を強化すること(ペルー)。
6.156 雇用、教育、サービスへのアクセスにおけるアイヌに対する差別を撤廃するための努力を強化し、土地、天然資源、文化、言語に対する彼らの権利を保護するための措置を講じること(コロンビア)。
6.157 国の教育カリキュラムを見直し、教師があらゆる年齢の生徒にとって適切な、科学に基づく包括的な性教育を提供することを確保すること(コスタリカ)。
6.158 国際基準に沿って、学校の内外でCSEを実施すること(アイスランド)。
6.159 未成年者が父親、母親又は法定後見人の支援を通じて、教育過程に積極的に参加し、自律的に権利を行使する能力を認めること(キューバ)。
6.160 気候変動への適応及び災害リスクの軽減のための枠組みにジェンダーの視点を統合するための更なる措置を検討すること(ブータン)。
6.161 包括的な環境影響評価を実施すること(マーシャル諸島)。
6.162 国内外での持続可能な開発目標の実施に対する支援を継続すること(スーダン)。
6.163 国際的な関与の中で、特に経済的、社会的、文化的権利に関連するSDGsの推進に焦点を当て続けること(マレーシア)。
6.164 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた戦略を継続すること(エルサルバドル)。
6.165 国連憲章に反し、国民のさまざまなカテゴリーの社会的経済的権利を害し、持続可能な開発目標の普遍的達成を阻害する一方的な強制的措置の適用を控えること(ベラルーシ)。
6.166 日本に本社を置く多国籍企業がいかなる人権侵害も行わないことを確保するために、「ビジネスと人権に関する国連指導原則の実施のための国内行動計画」の実施を継続すること(エジプト)。
6.167 2020年に承認された日本の行動計画の枠組みの中で、人権とビジネスに関連する称賛に値する努力を継続すること(モーリタニア)。
6.168 ビジネスと人権の領域における称賛に値する努力を継続すること(モンゴル)。
6.169 清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する人権を法制度に組み入れること(スロベニア)。
6.170 フォーラムの独立評価から独立科学専門家が要求したすべてのデータを遅滞なく提供し、このデータが適切に提示されることを確保すること(マーシャル諸島)。
6.171 国際的義務、特に福島第一原発の放出計画に関する包括的な環境影響評価を含む海洋法に関する国際連合条約を完全に遵守すること(サモア)。
6.172 太平洋諸島フォーラムの独立評価で容認できる措置であると結論づけられない限り、放射性廃水を太平洋に排出する計画を中止すること(マーシャル諸島)。
6.173 放射性廃水を太平洋に排出する計画を中止し、提案されている排出に関する進行中の独立評価について太平洋諸島フォーラムとの対話を継続すること(フィジー)。
6.174太平洋への放射性廃水の排出が許容できる措置であるかどうかの評価を進め、自ら検証するため、太平洋諸島フォーラムの独立した科学専門家が要求したすべてのデータを完全に開示すること(フィジー)。
6.175 福島第一原発の原子炉の廃水投棄に関するいかなる決定も、適切な国際協議が行われるまで延期することを検討すること(東ティモール)。
6.176 情報格差を含む太平洋島嶼国からのすべての懸念に対処し、排出が人間や海洋生物に与える影響について検証可能な科学的データが得られるまで、太平洋での放射性廃水の排出を控えること(サモア)。
6.177 排出された汚染廃棄物および物質の安全性について、さらに満足のいく科学的証拠を提供することなく、福島原発からの核汚染排水および核汚染廃棄物を福島から太平洋に排出しないこと(バヌアツ)。
6.178 福島第一原子力発電所の事故が、子どものがんの蔓延を含む健康に及ぼす影響を評価し、放射線に曝されたすべての人、特に女性と子どもに、無料で定期的かつ包括的な医療を提供すること(パナマ)。
6.179 放射性廃棄物によって生じる害から太平洋の海洋の人々と生態系を守るような排出計画の代替案を開発し、実施すること(マーシャル諸島)。
6.180 福島第一原子力発電所事故の影響を受けたすべての避難民に対する努力と支援を継続すること(サモア)。
6.181 人権保護に貢献するため、後発開発国や開発途上国への支援と人道的、開発的支援の提供を継続すること(イエメン)。
6.182 女性に対する差別の包括的な定義のための法律を制定すること(ガンビア)。
6.183 女性と少女に対する差別を撲滅する法的規定を強化すること(キプロス)。
6.184 職場における女性の進出を促進するための包括的な政策の確立に向けた努力を継続すること(トルコ)。
6.185 ジェンダー平等の推進と性的マイナリティの保護のための政府政策の推進を継続すること(キューバ)。
6.186 政治的経済的空間におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントの促進のための努力を継続すること(カナダ)。
6.187 議会、行政、司法における女性の割合、特に上級職の割合を高める努力を継続すること(ブルガリア)。
6.188 第5次男女共同参画枠組計画に定められた、特に政治的経済的生活への女性の参加の増加を促進するための政策の実施を加速すること(ジブチ)。
6.189 女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、完全な男女平等を確立するための努力を高めること(ガボン)。
6.190 男女平等の推進と保護のための努力を継続すること(スリランカ)。
6.191 女性に対する差別を撤廃し、女性のエンパワーメントを促進するための措置の実施を継続すること(モルディヴ)。
6.192 政治的及び公的生活への女性の参加を拡大するための努力を強化すること(イラク)。
6.193 国家計画に定められた男女平等と女性のエンパワーメントに関する目標達成に向けた措置の実施を強化すること(ラオス人民民主共和国)。
6.194 公共部門の意思決定における女性代表を増やすための措置を講じること(リトアニア)。
6.195 教育、職位、公職への平等なアクセスを確保しつつ、あらゆる分野への女性の参加を改善するため、2020年の男女共同参画基本計画の実施を加速すること(ドイツ)。
6.196 男女共同参画基本法に定める基本原則に従い、政治、経済、行政を含むあらゆる分野への女性の参画を一層促進するための努力を強化すること(ギリシャ)。
6.197 意思決定過程への女性の参加を含む第5次男女共同参画基本計画の実施を加速すること(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)。
6.198 アフガニスタンの事実上の権力者とのいかなる関与も、アフガニスタンの人々の人権、特に女性と少女、その他の脆弱な集団の権利を尊重し支持することを条件とすることを確保すること(アフガニスタン)。
6.199 公共および政治生活への女性の平等な参加を確保するため、男女共同参画基本計画の実施に向けた努力を強化すること(バングラデシュ)。
6.200 ジェンダー平等をさらに強化し、促進するための政策の強化を継続すること(シンガポール)。
6.201 様々な領域における女性の参加の促進を通じて、男女平等を保証するための努力を継続、強化すること(エルサルバドル)。
6.202 同一価値の労働に対する男女間の完全な同一賃金の達成を視野に入れ、必要な法改正を行うことを検討すること(ペルー)。
6.203 雇用の分野における男女間の差別と男女間の賃金格差に対処する努力を継続すること(ブルネイ・ダルサラーム国)。
6.204 雇用と賃金における男女格差を是正すること(ナイジェリア)。
6.205 女性の権利とサービスおよび不妊治療へのアクセスを保証するための措置を採用すること(チリ)。
6.206 政府の補助金を通じて、生殖年齢にある女性が質の高い最新の避妊薬を、利用可能、アクセスが容易、かつ価格を手頃にして、緊急避妊薬を医師の処方箋なしに薬局で入手できるような努力を加速すること(オランダ)。
6.207 第5次男女共同参画基本計画の効果的な実施を確保し、特に政治参加においては勿論のこと、職場や教育においても不平等な機会に対処することによって、女性のエンパワーメントと男女平等を促進するための法的枠組みを強化すること(エストニア)。
6.208 必要とするすべての人が安全で安価な、そして尊重された中絶ケアへのアクセスを確保するため、母体保護法を改正すること(ルクセンブルク)。
6.209 男女平等を確保するためにその法律を見直し、刑法の212条から214条を廃止し、母体保護法の14条を改正して中絶を非犯罪化し、普遍的な医療の問題としてそれを含め、配偶者の同意の要件も削除すること(メキシコ)。
6.210 配偶者の同意を必要とせず、すべての女性が安全な中絶を受けられるようにし、女性の政治参加と職場におけるエンパワーメントの拡大に向け、さらなる前進をすること(デンマーク)。
6.211 刑法における犯罪としての中絶を削除し、配偶者の同意を必要としない安全かつ合法的な中絶へのアクセスを確保するために母性保護法を改正すること(ニュージーランド)。
6.212 中絶を非犯罪化し、配偶者の同意を必要とせず、安全で適時かつ安価な中絶医療へのアクセスを保証するために母体保護法を改正すること(アイスランド)。
6.213 科学技術分野の高等教育に入学し、修了する女性の割合を増加させるための措置を継続すること(インド)。
6.214 女性の働く権利の実施と女性のための有利な労働条件の整備に向けた努力を強化すること(インドネシア)。
6.215 労働市場における女性の状況と選出された機関における女性の低い代表性を改善するための差別撤廃措置を強化すること(イスラム共和国))。
6.216 特に、労働時間と仕事量、意思決定の地位へのアクセスを含む男女間の権利の平等、報酬に関して、国際基準に従った労働基本権を確保するための努力を倍加すること(パラグアイ)。
6.217 原発事故の影響を受けた女性が経済的自立を達成するのを支援するイニシアティブを開発し支援すること(チャド)。
6.218 脆弱な集団、特に女性、子ども、外国人の保護を目的とした国家的機構の確立を追求すること(ガボン)。
6.219 女性と子どもに対する暴力に対処するための優れた努力を継続すること(カザフスタン)。
6.220 女性と子どもに対するあらゆる形態の暴力と虐待の防止、撲滅、監視のための努力を継続すること(リトアニア)。
6.221強姦や性的暴行を構成する対象の範囲を拡大し、被害者の保護を強化するため、刑法を改正し、強制性交罪と擬制性交罪を非合意性交罪に置き換えること(スウェーデン)。
6.222 非合意性的行為を性犯罪として含めるよう刑法を改正すること(アメリカ合衆国)。
6.223 ドメスティックバイオレンス、夫婦間レイプ、近親相姦を明示的に罰する規定を含む、女性に対する暴力に適切に対処できるよう刑法を改正すること(ベルギー)。
6.224 関連法の制定や他の措置により、ジェンダーに基づく暴力と、移民、女性、マイナリティに向けられたものを含むあらゆる形態の差別を撲滅する努力をさらに強化すること(フィリピン)。
6.225 政治的生活や公的生活における平等な代表権、ドメスティックバイオレンス、夫婦間レイプや近親相姦の犯罪化を含め、すべての女性の人権が保護されることを保証すること(コスタリカ)。
6.226 女性と子どもをあらゆる形態の暴力から保護する努力を継続すること(ブータン)。
6.227 夫婦間レイプを犯罪化し、意識向上キャンペーンを含め、女性に対するドメスティックバイオレンスを防止するためのさらなる措置を講じること(イスラエル)。
6.228 子どもの権利に関する包括的な法律を採択し、子どもの権利条約に法律を完全に調和させるための措置を講じること(ポーランド)。
6.229 子どもの権利条約に従った子どもの権利に関する法律の採択を確保すること(アフガニスタン)。
6.230 サイバー空間における子ども、プライバシーおよび個人の権利をよりよく保護するためのさらなる措置を講じること(トルコ)。
6.231 家庭環境を奪われた子どもの状況に関する現行の国内法を見直し、強化すること。その際、子どもの家族から分離を判断するための司法監督義務化の導入を検討し、それにより子どもの権利の完全な享受を保証すること(ウルグアイ)。
6.232 自殺、特に若者の自殺を防止するための措置を引き続き強化すること(アンゴラ)。
6.233 両親の離婚後の未成年者のケアに関する国内法を更新するため、家族法に関する小委員会の取り組みを強化すること(キューバ)。
6.234 子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃に向けた取り組みを継続すること(グルジア)。
6.235 子どもの性的搾取及び犯罪的搾取を撲滅するための更なる措置を講じること(イスラエル)。
6.236 1980年の「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を履行するための努力を継続すること(イタリア)。
6.237 性的搾取と虐待の被害者である子どもに烙印を押す行為を撲滅するための啓発活動を実施する努力を継続すること(ケニア)。
6.238 子どもの性的搾取や犯罪的搾取を撲滅するための法律を強化すること(マレーシア)。
6.239 成人および子どもの自殺を撲滅するために必要なメンタルヘルスの措置を講じること(パラグアイ)。
6.240 デジタル領域で行われるものを含む児童ポルノ及びその他の形態の性的搾取や虐待を撲滅するために、2022年の「児童の性的搾取等に係る対策の基本計画」を効果的に実施すること(フィリピン)。
6.241 すべての体罰を完全に禁止し、あらゆる場面でその慣習をなくすための措置を強化すること(ポーランド)。
6.242 両親の共同監護を認めるよう法律を改正し、離婚の際には双方の親が子どもとの接触を続けられるようにすること(スペイン)。
6.243 少年司法制度を子どもの権利条約および他の適用可能な基準に完全に適合させること(チャド)。
6.244 女性と子ども、民族的、社会的、性的マイノリティ、障害者を含む日本社会のすべての構成員の人権の保護を強化するため、包括的な反差別法を採択すること(スウェーデン)。
6.245 2021年の障害者差別解消法の改正法の発効に向けて必要なあらゆる措置を講じるとともに、このグループが政治的、経済的生活のあらゆる分野にアクセスできるようにするための努力を継続すること(リビア)
6.246 障害者、特に精神障害者の地域生活の促進に関連するプロジェクトの支援を継続すること(アラブ首長国連邦)
6.247 障害者と高齢者を含む脆弱な人々に対する適切な社会的支援を確保すること(ベラルーシ)。
6.248 一般市民と障害者の双方を対象とした反差別意識向上キャンペーンを実施する上で、利害関係者との連携を強化すること(ボツワナ)。
6.249 障害者が職場は勿論のこと学校においても引き続き同じ特権を享受できるようにすること(ブルネイ・ダルサラーム国)。
6.250 教育に関する法律、政策、行政の取決めを改善することにより、障害のある子どもたちのインクルーシブ教育をさらに推進すること(ブルガリア)。
6.251 国の教育政策、法律、行政規定の枠内でインクルーシブ教育を認め、障害のある子どもの普通学校へのアクセスを保証し、分離教育や障害者の高等教育に存在しうる障害を排除すること(アルゼンチン)。
6.252 障害者の日常生活及び社会における包括的な支援を提供する努力を継続し、様々な形で適切な支援を提供すること(トルクメニスタン)。
6.253 子どもたち、特に少女と障害のある子どもたちに質の高い教育を確保するために、あらゆる必要な措置を講じ、追加的なリソースを割り当てること(インド)。
6.254 障害者の自律性と社会生活への参加を完全かつ体系的に支援することを目的とした具体的措置を講じること(ブルンジ)。
6.255 障害者の権利の完全な享受、特に教育とサービスへのアクセスを確保するためのさらなる措置を採用すること(イスラエル)。
6.256 2014年に批准した障害者の権利に関する条約、2014年に批准した国際的な子の奪取の民事面に関する条約、女性に対する暴力撤廃のためのキャンペーンの強化のそれぞれの履行を通じて、子ども、女性、障害者の権利の促進と保護において達成した進歩を継続すること(カメルーン)。
6.257 心理社会的障害を持つ人々に対する人権の規定を保護するための継続的な努力を継続すること(ギリシャ)。
6.258 障害者の虐待、特に障害のある女性の性的虐待の報告例に対して、効果的な措置をとること(イラン(イスラム共和国))。
6.259 障害者を含む脆弱な集団の権利を促進し保護するための努力を継続すること(ラオス人民民主共和国)。
6.260 障害者を含む社会のすべての層を取り込むために、教育部門を改革し、発展させる努力を継続すること(リビア)。
6.261 特別手続によって表明された懸念を考慮し、貧困の中で暮らす人々、障害者、ひとり親家庭とその子ども、高齢者の最低限の社会的保護を保証するための措置を講じること(ベネズエラ(ボリバル共和国))。
6.262 国の法律と政策を障害者権利条約に調和させ、障害のある子どものインクルージョンのための包括的戦略を設定すること(ポーランド)。
6.263 障害に基づく偏見と差別を撤廃するために一層の努力をすること(カタール)。
6.264 障害問題に関する政策の強化を継続すること(シンガポール)。
6.265 日本国憲法で既に認められている少数民族の効果的な社会統合の政策を引き続き実施すること(ブルンジ)。
6.266 性的指向、性自認および性表現、性的特徴に基づく保護を含む包括的な反差別法を可決し、同性婚の法的承認を提供すること(アメリカ合衆国)。
6.267 性的指向および性自認に基づく差別に関するものを含む包括的な差別禁止法を採択すること(チェコ)。
6.268 差別、とりわけ人種、性的指向、性自認および性特徴に基づく差別を禁止する包括的かつ強制力のある反差別法を制定すること(ベルギー)。
6.269性的指向と性同一性を超えた人の権利を、特に、性同一性障害特例法(2003年)の改正を通じて、促進し保証する法律を採用すること(ウルグアイ)。
6.270 法定の年齢に達した生物学的に同性および/または同一ジェンダーの人々の合意婚に対する市民権を認める規制の枠組みを採用すること(アルゼンチン)。
6.271 性的指向および性自認に基づく差別を法律で禁止し、同性婚を認め、強制不妊手術を企図する性同一性障害に関する法律を廃止すること(メキシコ)。
6.272 LGBTIの人々の権利を保護し促進するための、そして、国家レベルで同性婚を認めるための包括的な差別禁止法の実施に努めること(オーストリア)。
6.273 性的指向と性自認に基づく差別を撤廃し、国家レベルで同性パートナーシップを承認し、同性婚を許可するため、さらに努力すること(カナダ)。
6.274 性的指向に基づく差別に対処するための措置を講じ、国家的に同性婚を許可すること(デンマーク)。
6.275 LGBTQIコミュニティのメンバーに対する差別を防止すること(ドイツ)。
6.276 同性婚を合法化すること(アイスランド)。
6.277 「同意のない性交」を性犯罪として認め、性行為の同意年齢を引き上げること(アイスランド)。
6.278 法的な性別認定プロセスにおけるトランスジェンダーへの強制的な不妊手術を廃止すること(アイスランド)。
6.279 反差別法を立法化することにより、性的指向と性自認に基づく、特に同性の家族に対するあらゆる差別を撤廃すること(アイルランド)。
6.280 人種、民族、性的指向、性自認を理由とする差別を禁止するために、ヘイトスピーチ解消法の範囲を拡大すること(オーストラリア)。
6.281 第三者による性的指向および性自認の無許可の開示を含む、プライバシーに対する恣意的または不法な干渉からLGBTI者を保護するための法律の制定を検討すること(マルタ)。
6.282 性同一性障害者法を改正し、同性パートナーシップを異性パートナーシップと同等に法的に認めることを含め、性的指向と性同一性に基づく差別に対処するための措置を講じること(ニュージーランド)。
6.283 女性、LGBTQI者およびマイノリティが、効果的な救済へのアクセスを含め、社会および政治に完全かつ平等に参加できるよう、差別、嫌がらせおよびヘイトスピーチに対する執行機構が強化されることを確保すること(ノルウェー)。
6.284 性的指向、性自認および性的嗜好に対するいかなるものも排除する。
6.284 性的指向と性自認に基づくあらゆる差別を撤廃し、新たに設置された国の平等機関とともに差別禁止法を立法して示すこと(南アフリカ)。
6.285レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックスの人々に対する差別を、特に、治安部隊の間での意識向上キャンペーンと、彼らに対する差別と暴力行為の調査や処罰を通じて、撲滅することを目的とした措置を採用し続けること(ドミニカ共和国)。
6.286 マイノリティ、移民、難民の権利を促進すること(カメルーン)。
6.287 難民と移民の保護のための政策の強化を継続すること(エジプト)。
6.288 出入国管理及び難民認定法がすべての移民の保護を明記し、彼らが効果的な手続き上のセーフガードにアクセスでき、拘束の理由や合法性を法廷で争えるようにすること(スペイン)。
6.289 マイナリティ、外国人、移民労働者に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための努力を継続すること(ネパール)。
6.290 移民、難民、庇護希望者の子どもたちの教育を受ける権利を確保するための努力を継続すること(インドネシア)。
6.291 強制送還政策を国際人権法に合致させ、移民行政拘留を制限することを含め、移民の権利の保護を強化すること(ブラジル)。
6.292 入国管理センターでの外国人の長期拘留を真剣に検討し、当局が移民拘留センターにおける苦情処理を操作するのを防止すること(イラン(イスラム共和国))。
6.293 外国人労働者及び研修生に対して完全な保護と支援を提供するための措置を講じ、派遣当局と協力することにより、外国人労働者及び実習生の働き甲斐のある人間らしい労働条件や生活条件を確保するための努力を強化すること(タイ)。
6.294 移民労働者の保護のためのさらなる措置を講じ、技能実習生プログラムの監視を確保すること(スリランカ)。
6.295 外国人雇用管理指針に関する意識向上および教育活動を通じて、移民労働者およびその家族の保護を強化すること(ブルキナファソ)。
6.296 人種差別を犯罪化するための法改正を行うのは勿論のこと、マイノリティと移民に対する人種差別の表現とヘイトスピーチにも取り組むこと(コスタリカ)。
6.297 移民と難民の経済的社会的権利を強化し、保護すること(パキスタン)。
6.298 移民の拘束に最長期間を設け、最後の手段として用い、すべての亡命申請が迅速かつ適切な扱いを受けることを確保すること(コロンビア)。
6.299 福島原発事故の避難民を国内避難民として認定し、住居、健康、生活、子どもの教育に関することを含む彼らの人権の保護を確保すること(オーストリア)。
6.300 国内避難民の安全、健康、権利について、人々が強制や金銭的な強要なしに福島原発の周辺に戻る前に、さらなる科学的証拠を入手し、提供すること(バヌアツ)。
7. 本報告書に含まれる全ての結論及び/又は勧告は、提出国及び/又は審査対象国の立場を反映したものである。これらは、作業部会全体として承認されたものと解釈されるべきではない。

附属書

代表団の構成

省略

[訳者註]普遍的定期的レビュー the universal periodic review,UPR
普遍的定期的レビューは、国連人権理事会の創設に伴い、国連加盟国(193ヶ国)すべての国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして盛り込まれた制度。国連憲章、世界人権宣言、当該国が締結している人権条約、自発的誓約、適用されうる人権法が審査基準となり、約4年半のサイクルですべての国が審査される。

[訳者註]市民的及び政治的権利に関する国際規約 International Covenant on Civil and Political Rights
「市民的及び政治的権利に関する国際規約」とその「第一選択議定書(First Optional Protocol)」はともに1976年に発効した。「第二選択議定書(Second Optional Protocol)」は1989年に採択された。
「規約」は移動の自由、法の前の平等、公正な裁判と無実と推定される権利、思想および良心と宗教の自由、意見と表現の自由、平和的な集会、結社の自由、公務および選挙への参加、少数民族の権利の保護などを規定している。また、恣意的な生命の剥奪、拷問および残虐な品位を傷つけるような取り扱いおよび刑罰、奴隷と強制労働、恣意的逮捕もしくは抑留および私生活への恣意的干渉、戦争の宣伝、人種的もしくは宗教的憎悪の唱道を禁止している。「第一選択議定書」は、規約に規定される権利を侵害されたと主張する個人に請願の権利を与えている。「第二選択議定書」は、死刑廃止の実質的義務を確立したものである。

[訳者註]ネルソン・マンデラ・ルールズ Nelson Mandela Rules
正式名称「国連被拘禁者処遇最低基準規則 United Nations Standard Minimum Rules for the Treatment of Prisoners」。受刑者の基本的な権利と尊厳とともに、全ての人々の安全と福祉も守ることを趣旨としている。受刑者の処遇に関する基準を定めるこのルールは、1955年の第1回国連犯罪防止刑事司法会議で採択され、2015年に改定され、現在は刑務所管理のグッド・プラクティスの調和を図る画期的な規則となっている。条約ではないため、法的拘束力を有するものではないが、可能な限り充足に努力すべき国際的基準とされる。不条理で過酷な27年間の長期投獄に屈することなく、南アフリカの大統領となったネルソン・マンデラ氏に敬意を表して「マンデラ・ルールズ」と名付けられた。

[訳者註]イスタンブール条約 the Istanbul Convention
正式名は「女性に対する暴力と家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約 The Council of Europe Convention on preventing and combating violence against women and domestic violence」。2011年5月11日にトルコのイスタンブールで署名された女性に対する暴力と家庭内暴力に反対するための欧州評議会の国際人権条約。この条約は、暴力の防止、被害者の保護、加害者の免責の撤廃を目的とする。

[訳者註]女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women,CEDAW
略称は女子差別撤廃条約。男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としている。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会的活動における差別の撤廃のために適当な措置を講じることを求めている。

[訳者註]全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約 International Convention on the Protection of the Rights of All Migrant Workers and Members of Their Families
この条約は、搾取や差別といった不当な扱いを受けたり、劣悪な待遇の下で働くことを余儀なくされている外国出身の移住労働者の権利の擁立と確保を目的に1990年12月18日に国連総会で採択された。

[訳者註]1989年の先住民及び種族民条約(第169号) the Indigenous and Tribal Peoples Convention, 1989 (No. 169) of the International Labour Organisation
本条約の適用対象について、先住民・種族民としての自己認識が適用集団を決定する一つの基本的基準、とされる。
政府は、関係住民の参加を得て、これら住民の権利を保護し、当該住民の元の状態の尊重を保証するための、調整され、かつ系統的な活動を進展させる責任をもつ。本条約に規定される諸権利を含め、関係住民の人権及び基本的自由を侵害するあらゆる形態の暴力及び強制が禁止される。政府は、関係住民に直接影響するおそれのある法的または行政的措置を検討する場合には常に、適切な手続、特に当該住民の代表的団体を通じた手続等を経て、当該住民と協議する。この他開発過程と関係住民の権利、就職と雇用条件、職業訓練、手工業・農村工業、社会保障、衛生、教育、土地など重要な規定が含まれる。

[訳者註]無国籍者の地位に関する1954年条約 the 1954 Convention relating to the Status of Stateless Persons
無国籍者の待遇に関する基準の規制をとくに目的とした唯一の国際条約である。したがって同条約は、脆弱な立場に置かれたこの集団の保護を確保する上で決定的重要性を有する。

[訳者註]無国籍者の削減に関する1961年条約 the 1961 Convention on the Reduction of Statelessness
国内法の整備によって無国籍の発生を防止するための原則や法的枠組みについて規定している。

[訳者註]教育における差別撤廃条約 the UNESCO Convention against Discrimination in Education
教育での差別を禁止するために、1960年12月のユネスコ総会において採択された条約。人種,皮膚の色,性別,言語,宗教,民族あるいは社会的出身,経済条件,出生などを根拠とする差別,除外,制約,優先を禁止し,教育の質,制度,機会などに差別を設けることを禁止している。

[訳者註]文化表現の多様性の保護と促進に関する条約 the Convention on the Protection and Promotion of Diversity of Cultural Expressions
略称は、「文化多様性条約」。文化多様性に関して拘束力のある国際法であり、ユネスコの条約である。文化多様性条約は、2005年にパリで開催された第33回ユネスコ総会において採択された。

[訳者註]児童の権利条約の通報手続きに関する選択議定書 the Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on a communications procedure
正式名は「子どもの権利条約第3選択議定書」で、2014年4月14日に発行された。これにより、9つある人権条約の全てが通報制度を備えることになった。この議定書を批准した国では、権利侵害にあった子どもが直接国連子どもの権利委員会に対して申し立てをすることができるようになる。申し立てに対しては、国連が調査をした上で、当該政府に対して救済措置を行うように求めることができる。

[訳者註]経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約 International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights、ICESCR
1966年12月16日、国際連合総会によって採択された、社会権を中心とする人権の国際的な保障に関する多国間条約である。同月19日にニューヨークで署名のため開放され、1976年1月3日に効力を発生した。日本語では社会権規約と略称される。同時に採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約、B規約)に対してA規約と呼ばれることもあり、両規約(及びその選択議定書)は併せて国際人権規約と呼ばれる。

[訳者註]障害者の権利に関する条約 Convention on the Rights of Persons with Disabilities
あらゆる障害者(身体障害、知的障害および精神障害など)の、尊厳と権利を保障するための条約である。この条約は、21世紀では初の国際人権法に基づく人権条約であり、2006年12月13日に第61回国連総会において採択された。
2013年12月4日、日本の参議院本会議は、障害者基本法や障害者差別解消法の成立に伴い、国内の法律が条約の求める水準に達したとして、条約の批准を承認した。日本の批准は2014年1月20日付けで、国際連合事務局に承認されている。

[訳者註]ハーグ国際養子縁組条約 Hague Convention on Protection of Children and Cooperation in Respect of Intercountry Adoptions, 1993
正式名称は、ハーグ「1993年 国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約」。子、実親、将来の養父母の保護を強化し、条約締約国間での養子縁組において国際的に認められた規則と手続きを確立する条約である。この条約は、国際養子縁組が子の最善の利益のために行われ、子が愛にあふれた家庭を恒久的に確保できるよう、締約国に枠組みを提供する。

[訳者註]あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination、ICERD
人種の違いを理由にする差別を撤廃することを定める多国間条約である。略称は「人種差別撤廃条約」。1959年から60年にかけてのネオナチの行動に対して国連人権委員会の小委員会が決議を採択したことを受け、国連総会は1963年に人種差別撤廃宣言を採択し、1965年12月21日に本条約を採択した。

[訳者註]核兵器の禁止に関する条約 Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons
2017年7月7日に国際連合総会で採択され、2021年1月22日に発効した。
この条約は、将来的な核兵器の全廃へ向けた、核兵器を包括的に法的禁止とする初めての国際条約である。対象は核兵器で、原子力発電やX線撮影装置などの平和目的での原子力の保有は禁じていない。前文において被爆者の苦痛に対する憂慮と共に、国際人道法と国際人権法の原則が、核兵器廃絶に関して再確認された。この条約の特徴は、核兵器または核爆発装置を所有、保有、管理していた締約国が申告を要する点にある。なお非締結国への法的拘束力は無い。

[訳者註]国連人権理事会特別手続き UN Special Procedures
人権理事会の特別手続きは、人権擁護の最前線に立つ。人権侵害を調査し、個々のケースや緊急事態に介入する。独立した人権の専門家で構成され、テーマ別もしくは国別に人権に関する報告を作成し、助言を与える。
特別手続きには個人(「特別報告者」もしくは「独立した専門家」と呼ばれる)と5人のメンバーから構成される作業部会とがある。5つの国連地域グループ、すなわちアフリカ、アジア、ラテンアメリカ・カリブ海域、東欧、西欧のそれぞれのグループから1人の5人で構成される。特別手続きは人権理事会によって任命され、個人の資格でその任務を果たす。「任務保持者(mandate holders)」の独立した地位はその任務を公平に果たすためには不可欠である。特別手続きの在職期間は最高6年と限定されている。
特別手続きは関係する国を訪問し、人権侵害の可能性のある個々のケースやより幅広い懸念について通報を国に送り、テーマ別の研究を行い、かつ専門家による協議を開催し、その結果を公表し、国民意識の向上を図り、かつ、技術協力について助言する。毎年、人権理事会に報告し、また任務の多くは総会に報告される。

[訳者註]パリ原則 the Paris Principles
正式名称は「国家機関の地位に関する原則」。1993年12月の国連総会で決議。この原則には、国連加盟国が国内人権機関を設置するために求められる要件や役割、機能などが明記されている。
このパリ原則の中で、また国内人権機関を設置する上で、「独立性」の確保最番重要になる。、国内人権機関は人権を保障するため、行政や国の法律をチェックし、必要に応じて意見を述べることが重要な役割であり、政府や特定の政党、また地方の影響を及ぼすものではなく、あらゆる機関から離れ、独立して行動することが必要不可欠となる。主たる独立性は、①権限と責任からの独立性、➁構成の多様性、③財政の独立性、④任命の独立性、である。

[訳者註]人種差別撤廃委員会 Committee on the Elimination of Racial Discrimination,CERD
国連の人種差別撤廃条約に基づき設立された独立した人権団体である。正式名称は「人種差別の撤廃に関する委員会」。国際連合の名前を冠して記載される事も多いが、独立性が条約に明記してあり、厳密には国連の機関ではない。
人種差別撤廃委員会は、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(ICERD)の8条および14条を根拠に設立された。条約国の相互選挙をへて委員を選出し、委員は個人もしくは団体からの人権侵害の申告を受け付け、条約加盟国が条約違反していないか監視し、時に勧告し懸念を表明する。委員の任期は4年、選出数は18人であり2年毎に選出する。なお、人権侵害の審議にあたり当事者国の委員は、その審議に関与できない。

[訳者註]代用監獄 Daiyo Kangoku
勾留中は、本来拘置所において身体拘束を受けるべきものであるが、勾留決定後も警察署の留置場にて引き続き身体拘束がされることが一般である。この勾留をしている留置場を代用監獄という。
従来、監獄法という法律により、監獄の代わりに留置場を用いることができると規定されていたが、現在は、監獄という名称はなくなり、「刑事施設」という呼称になったため、代用刑事施設ともいう。世界的に見ても代用監獄(代用刑事施設)制度を容認している国は珍しく、虚偽の自白、人権侵害、冤罪の温床となっているとの指摘もされている。

[訳者註]国際人口開発会議(ICPD25) International Conference on Population and Development
1994年にカイロで開催された国際人口開発会議から25年となる2019年の11月12~14日の3日間、ナイロビ、ケニヤッタ国際会議場(KICC)で開催されたサミット。

[訳者註]リプロダクティブ・ヘルス/ライツ reproductive health and reproductive rights
リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、「性と生殖に関する健康・権利」と訳され、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議において提唱された概念。今日、女性の人権の重要な一つとして認識されている。
具体的に言うと、人々が政治的、社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利のこと。

[訳者註]CSE Comprehensive sexuality education(包括的性教育)
ジェンダー平等や性の多様性を含む人権尊重を基盤とした性教育。性教育・性の学習を保障することは性の権利(セクシュアル・ライツ)であるとする国際的潮流の中で使われてきた。1999年に世界性科学学会(現:性の健康世界学会)で採択された「性の権利宣言」では、包括的性教育を人は誰もが受ける権利があるとした。2009年には、ユネスコが中心となり『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(2018年に第2版)を作成。包括的性教育の目的を「自らの健康・幸福・尊厳への気づき、尊厳の上に成り立つ社会的・性的関係の構築、個々人の選択が自己や他者に与える影響への気づき、生涯を通して自らの権利を守ることへの理解を具体化できるための知識や態度等を身につけさせること」とし、その論理的根拠と、教育を効果的に進めるための内容や年齢段階別の学習目標を提示。自らの経験と情報を組み合わせて理解する学習者を中心に据えたアプローチが特徴となっている。

[訳者註]持続可能な開発目標(SDGs) Sustainable Development Goals
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものである。

[訳者註]ビジネスと人権に関する指導原則 the United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights
ビジネスと人権に関する指導原則は、2011年に国連人権理事会で承認された、全ての国と企業が尊重すべきグローバル基準。法的拘束力はないが、企業に焦点をあてて様々なステークホルダーとの議論の末にまとめられたこの原則は、高い説得性と正当性を持って数多くの議論やガイドラインに影響を及ぼしている。

[訳者註]海洋法に関する国際連合条約 the United Nations Convention on the Law of the Sea
海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して1982年4月30日に第3次国連海洋法会議にて採択され、同年12月10日に署名開放、1994年11月16日に発効した条約である。

[訳者註]太平洋諸島フォーラム the Pacific Island Forum,PIF
太平洋諸島フォーラムは、1971年8月、第1回南太平洋フォーラム(SPF:PIFの旧名称)首脳会議がニュージーランドのウェリントンにおいて開催されて以来、大洋州諸国首脳の対話の場及び地域協力の核として発展してきた。オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジーなど15か国・2地域が加盟し、政治・経済・安全保障等幅広い分野における地域協力を行っており、事務局はスバ(フィジー)にある。毎年1回総会を開催し、最終日に総会コミュニケを採択している。

[訳者註]第5次男女共同参画基本計画 the Fifth Basic Plan for Gender Equality
「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会~」は、男女共同参画社会基本法に基づき、令和2年(2020年)12月25日に閣議決定された。
当該計画では、政策・方針決定過程への女性の参画拡大について、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める」こととされている。また、それぞれの分野において、具体的な取組を総合的に実施することによって、政府全体で達成を目指す水準として、89項目の成果目標が設けている。

[訳者註]母体保護法 the Maternal Protection Law
母体保護法(ぼたいほごほう、法令番号は昭和23年法律第156号)は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する堕胎罪の例外事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする法律である(同法1条)。1948年(昭和23年)7月13日に「優生保護法」として公布され、1996年の法改正で名が改められた。

[訳者註]刑法第212条~214条 articles 212 to 214 of the Penal Code
胎児を生理自然の分娩期に先立って人為的に母体外に排出する行為ないし,胎児を母体内で殺す行為を内容とする犯罪を堕胎罪と呼ばれる。堕胎罪には,自己堕胎罪(刑法第212条)のほかに,同意堕胎罪(同第213条),業務上堕胎罪(同第214条),不同意堕胎罪(同第216条)が規定されている。

[訳者註]児童の性的搾取等に係る対策の基本計画 the Basic Plan on Measures against Sexual Exploitation of Children
2021年9月に開催されたG7内務・安全担当大臣会合において、児童の性的搾取等対策に係る認識、課題及び具体的な取組についての発表があり、成果文書が取りまとめられた。同成果文書においては、児童の性的搾取等は国境を越え、爆発的な規模で発生し続けており、児童の心身に有害な影響を及ぼす犯罪であって、グローバルな対応が必要であることが確認された。また、同成果文書の確実な履行や、産業界がその役割の一翼を担うこと等もうたわれた。
そこで、引き続き、多角的かつ包括的な対策を総合的に進めることにより、家庭、職域、地域等あらゆる場面において性的搾取等から児童が守られる社会の実現を目指し、「子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)2022」が策定された。

[訳者註]障害者差別解消法 the law to eliminate discrimination against persons with disabilities
正式法律名は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」。平成28年(2016年)4月から施行された法律で、名前の通り、障害者を理由とした差別の解消を目指す法律である。障害者差別解消法は、障害者基本法の基本的な理念を具体化するものとして位置づけられており、主な内容は、障害者基本法の第4条の3つの項目、①障害を理由とした差別的な行為を禁止する、➁社会的なバリアを取り除かないために権利を侵害することを防ぐこと、③国などによって障害に関する啓発や知識を広げる取り組みをおこなうこと、に基づいている。

[訳者註]インクルーシブ教育 inclusive education
インクルーシブ教育とは、すべての子どもが国籍や人種、宗教、ジェンダー、障害のあるなしにかかわらず一緒に学べる教育のことを指す。
国連が2006年に採択し、日本が14年に批准した「障害者の権利に関する条約」に基づき、日本政府は国連から「障害児を分離した特別支援教育の中止などを求める勧告」を受けている。

[訳者註]性同一性障害特例法 the Law on Special Cases of Gender Identity Distortion
GID特例法。正式名称は「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」。性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者について、家庭裁判所の審判により、法令上の性別の取扱いと、戸籍上の性別記載を変更できるようにする法律で、2003年7月10日に国会で成立、2004年7月16日から施行。
戸籍上の性別記載を変更できるようにするためには以下の五つの要件を満たす必要があると定められている。①20歳以上であること、②現に婚姻をしていないこと、③現に未成年の子がいないこと、④生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること、⑤その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。「未成年の子がいないこと」という要件があるのは日本だけで、欧米の多くの国では、要件なしに性別変更が認められている。

[訳者註]同性(same sex)と同一ジェンダー(same gender)の違い
「Gender」は「通常、1つの性別に関連する行動的、文化的、または心理的特性」であり、「Sex」は「多くの種に見られ、雌と雄にそれぞれ区別される2つの主要な形態のいずれか」と定義されている。言い換えれば、「Gender」は、個人が想定する男性、女性、または性別間のバリエーションのアイデンティティであり、「Sex」は生物学的な区別である。
例えば、女性の生物学的特徴(生殖器など)を持って生まれた人は、通常、自分自身を女性であると認識する。ただし、例外もある。例えば、男性の性別を選択し、実際には女性の生物学的性特性を持っている人や、その逆の人もいる。これに基づいて、ノースカロライナ州では、同一ジェンダーで、生物学的に異性のカップルは合法的に結婚することができる。男性は自分を女性と認識し、外見もそのように見えるかもしれないが、生殖器官が互いに異なるため、女性の恋人と結婚することが許可されている。

[訳者註]合意婚 consensual union
結婚していないカップルが長期に渡って同居すること。

[訳者註]ヘイトスピーチ解消法 the hate speech elimination Act
正式名は、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」。2016年(平成28年)6月3日施行。
本邦外出身者(外国人)に対する不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)の解消に向けた取組を推進するため、基本理念および国と地方公共団体の責務を定めるとともに、国や地方公共団体が相談体制の整備・教育の充実・啓発活動などを実施することについて規定する日本の法律である。

[訳者註]出入国管理及び難民認定法 the Immigration Control and Refugee Recognition Act
出入国管理制度(日本国への入国、帰国、日本国からの出国、外国人の日本国在留に関する許可要件や手続、在留資格制度、出入国在留管理庁の役割、不法入国や不法在留に関する罰則等)、並びに難民条約及び難民議定書に基づく難民認定制度等を定めた日本の法令。所管官庁は、法務省である。

[訳者註]外国人雇用管理指針 the guidelines on the management of the employment of foreigners
外国人が日本で安心して働けるようにするために、事業主が外国人に対してどのような支援を行えば良いかという内容について、指針としてまとめたもの。具体的な支援の内容としては、①外国人の待遇を良くすること、②外国人にとって働きやすい環境作りに努めること、③外国人の日常生活や社会生活に対する支援、④企業が外国人を解雇した場合に再就職の援助を行うこと、が挙げられる。平成31年(2019年)4月より「外国人雇用管理指針」が改正され、賃金や労働時間などの主要な労働条件を、母国語など、外国人労働者が理解できる方法で明示・説明することが事業主に求められるようになった。

(了)


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