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君はペルーから来たPOVホラーの快作『シークレット・マツシタ/怨霊屋敷』を知っているか #居石信吾の映画実況雑記
いや、自分もFilmarksのレンタル開始一覧を眺めていたらたまたま見つけたんですけども。
今、明かされる衝撃の事実。 それは、実在する幽霊屋敷で起こった…。
南米ペルー共和国の首都リマに、伝説の幽霊屋敷が実在する。かつて日系人の一家が住んでいたその屋敷は“マツシタ邸”と呼ばれ、現地の人々に口にすることさえ忌まわしいと恐れられている。凄惨な事件の現場となり、数々の超常現象の目撃が報告されているその屋敷に、ある撮影チームが潜入し、そして消息を絶った。これは、失踪事件から6か月後に発見された、ビデオデータに記録された信じられない出来事の全貌である…。
POVホラーのテンプレみたいなあらすじだが、日系人の屋敷という点が気になって視聴を決めた。
それがあんなことになるなんて、その時は思ってもみなかったのでした……。
以下の文にはネタバレが含まれていますのでご注意ください。
マツシタ邸
物語の舞台となる廃屋。韓国のPOVホラーの傑作、コンジアムに出てくる病院と違いこっちは首都のど真ん中にあるのであまり怖い雰囲気はない。
大学の卒業制作のため三人の若者+霊媒師のおっさんがここに潜入する。PROの霊媒師がウェイ系の若者に同行するのも割と珍しい気がした。
潜入前に関係者へのインタビューが流れるのだが、注目すべきは日系オカルト研究家のタイラ=サンの語る屋敷の来歴だ。マツシタ邸に住んでいた家族は、どうやら主人が妻の浮気現場を目撃したことでブチ切れて、間男諸共妻子を殺害したらしい。そしてその後主人は日本の伝統的作法に則り切腹(ハラキリともいう)によって自らの命を断つことを選んだ──。
……ん? マツシタ邸がいつから建っているのかは出てこないのだが、外観からして精々半世紀前くらいだろう。なのにハラキリて。まずここでぼんやりとした違和感を覚えたのである。
マツシタ邸建設以前にはヨーロッパから来た女性医師が住んでいたが、魔女であるとの噂が立ち、魔女裁判にかけられて殺されたらしい。ペルーにもあったんだ魔女裁判。
ちなみにこのタイラ=サン、上記の凄惨な事件を満面の笑みで語るのでちょっとヤバい。
そして潜入したスタッフたちは手際よくカメラを設置していく。早速マイクにノイズが混じったり、不気味な子供部屋で割とはっきりと人影が映り込んだりと、愚かな若者達が悲惨な目に遭いそうだという期待は高まっていく。
死
そして事件は起こった。部屋を探索していた所、スタッフが一枚の写真を発見したのだ。マツシタ家の家族写真である。その写真の裏には、なんとボールペンで「死」の漢字が書き込まれていた! だが全員ペルー人なので、当然漢字が読めないのでスルーである。
んん……?
霊媒師のおっさんが写真から情報を読み取ろうと念を込めたところ、突然発火! 閉じきってあるはずの邸内ににわかに霧が立ち込め、電球は突如破裂して真っ暗に。さあ盛り上がって参りました!
仲間全員が合流し、別の部屋に逃げ込む。一旦落ち着いたところで部屋の中を改めて捜索すると、床板を踏み抜いてしまう。壊れた床を調べると、なんと床板には「死」の漢字が書き込まれていた! だが全員ペルー人なので、当然漢字が読めないのでスルーである。
んんん……!?
この映画、何かがおかしいぞ。この時点で怖さより面白さが勝ってしまったのだが、さらなる衝(笑)撃が俺を襲う。
床板を剥がした下には、古びたカタナが一振り。そしてなんとその鞘には「死」の漢字が書き込まれていた! だが全員ペルー人なので、当然漢字が読めないのでスルーである。
待ってくれ!!
なんのだこの「死」推しは! そりゃ日系人が住んでいた屋敷だけどさ! 「呪」とか「怨」とかでなく「死」一本槍で押し通すのはなんなんだよ!
この後出口が封鎖されていたり(サイレントヒルの裏世界みたいだね)、真っ暗な中赤ん坊の鳴き声が響いてきたり、とんでもないポルターガイストが起こったりと色々怖いことがあるのだが、もう俺は次いつ「死」の漢字が出てくるかに完全に気を取られていた。
どうやらマツシタ家の皆さんは魔女の呪いに絡め取られているだけで悪い人たちではなかったらしい。その真実が明らかになると魔女さんの攻勢が本格化し、仲間が次々に攫われていく……。残ったのは一人……。あまり役に立たなかった霊媒師のおっさんも攫われたが、その際に空いた壁の穴の向こうにリーダーの女性スタッフが囚われているのを発見する。
今助けるぞ! 激しい拷問を受け泣き叫んでいた女性がこちらを振り返ると、なんとその額には「死」の漢字が書き込まれていた! だが全員ペルー人なので、当然漢字が読めないのでスルーである。
額に「死」はいかんでしょ。
もはや絵面は完全にギャグであるが、二人は真剣かつ必死である。さらには女性に魔女が乗り移って絶体絶命のピンチ……。
魔女は男性を食卓に連れて行くと(悪魔のいけにえみたいだね)、レコードを掛け始める。レコードからは何故か日本の能楽が流れ始めるが、そんな事よりも食卓には攫われたもう一人の仲間が居た。もちろんその額には「死」の漢字が書き込まれている。だが全員ペルー人なので、当然漢字が読めないのでスルーである。
予測可能、回避不能。多分今年一番笑った瞬間だと思う。
衝撃の魔女退治の結末は君の目で確かめてみろ!
ED
なんと、エンディングテーマが日本語であった。なんか和楽器多用してて、映画攻殻機動隊とかAKIRAみたいな雰囲気を感じたがいい曲である。歌詞は映画の内容とは一ミリも関係なかったけど。
いい映画なんです
コンジアムにとても雰囲気が近く、要所要所で怖いし映像もチープではなく気合が入っている。霊の見た目も怖い。
だが監督が「日系人が住んでいた屋敷」部分をフィーチャーし過ぎた余りにこんなことになってしまった。しかしペルー本国では興行成績初登場一位を取っているので、しっかりホラーとして大人気なようだ。
これほど自分が日本人であることを後悔したことはない。願わくば、ペルー人になってこの映画を観てみたいものである。
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