白子(しらす)干について
こんにちは。ictmと申します。
私は、春の季語である白子干を
ごはんにたっぷりかけて食べるのが好きです。
今回は、角川学芸出版編『俳句歳時記第五版春』
角川学芸出版、2018年
62頁以下62頁に載っている
「白子干」という季語について紹介いたします。
「鰯の稚魚をさっと茹でて塩干したもの。
一名にじゃこと呼ぶのは稚魚のなまったもので、
しらうおその他の稚魚が混じっているため。
乾燥してくるとちりちりと縮れるので
ちりめんじゃことも呼ばれるようになった。」
次に「白子干」という季語が
使われている俳句を紹介いたします。
「昨日今日波音のなし白子干」
清崎敏郎が作った句です。
続いて句について私の推測を書きます。
この句には、昨日今日と時間軸をはっきり書くという
読み手を混乱させない工夫があると感じました。
そして波音のなしという言葉の選択によって
読み手の視覚に自分が見ている海の範囲や波が立っていない事を訴えていたり、
聴覚にも波音がしていないという事を伝えたりしていると思います。
波音のなし白子干というふうに韻を踏んでいることで句に勢いがつき、
声に出して読んだ時リズミカルになるのではないかと思います。
なぜ、作者が句のリズムを整えたかったのか気になったので、調べたところ
(注1)天候の悪い日、波のある日、漁が少なそうな日は、一隻も船がでない
ということが分かりました。波音がしないことは、白子漁が行われている証で
作者にとってうれしいことだったのでしょう。
さらに、句の最後に体言止め(名詞または代名詞で終わる形)で
季語である白子干をしっかり描き、目立たせる計算がなされていると感じました。
最後に私が、「白子干」という季語を
使って作った句を紹介いたします。
「どこまでも制限のなし白子干」
この句は、私が塩分を気にしてかけるのを躊躇している白子干を思いきりかけたら
食感はどのように変化するのかということを考えて作りました。
文法を考えつつ自分の伝えたい事が伝わる表現を模索していきたいです。
(注1)