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SNSに蔓延するお金配りアカウントの目的

こんにちは。アイシーティーリンク株式会社の吉野です。

私ごとで恐縮ですが、13年前に建てた家の外壁が傷んできた為、外壁塗装工事を依頼しました。神様は意地悪なもので、お金が飛んでいくタイミングを笑っちゃうくらい被せてくるんです。エアコンから異音がする、電子レンジの調子が悪い、トースターが焼けムラを起こす、炊飯器の内釜塗膜が剥がれてくる、極め付けはトイレの水漏れと、立て続けに出費がかさんでいます。
あぁ・・空から札束でも降ってこないかな、と考える今日この頃です。

そんな中、インターネット上のSNS(特にTwitter)では通称「お金配り」という妙な行為が4年ほど前にスタートしました。元ZOZOの社長である前澤さんが始めたこの企画、フォローしてRTするだけで100万円をプレゼントするという太っ腹企画で、社会現象ともなりました。


元祖お金配りアカウント

単なるお金配りではなく社会実験だと言われました

後にこの企画は単なるプレゼントだった訳ではなく、人は突然お金を受け取ったらどの様に行動するかを分析するかも社会実験だったと明かしましたが、この企画を真似た偽アカウントが寄生虫みたいに雨後の筍みたいに湧いてきました。勿論二番煎じでフォロワー獲得の為に真似たケースもありますが、4年ほど経った今もこれらのアカウントは衰退するどころか活発化しています。何故お金配りなど自分達に利益のない事をするのでしょうか。

最近ニュースを騒がせている「特殊詐欺」。古くはオレオレ詐欺と呼ばれていましたが、これらの詐欺犯人グループが数年前からTwitterやInstagramを通じてこれらのお金配りアカウントを運営し、応募者を募っているそうです。

お金配りアカウントは犯罪への誘導だった


ここから下は実際に発生した例です。

「フォローとRTで2万円プレゼント!」といったように現実味のある金額を配るアカウントを見つけたAさんはすぐに応募しました。すると「あなたは当選しました。振込先と連絡先を教えてください」というDMが届きました。

舞い上がってしまったAさんはすんなり振込先や連絡先を教えました。直後に口座にお金が振り込まれてきました。しかも桁が2桁も違う200万円も。
Aさんはさすがに怖くなりましたが、すぐにDMが届き「振込額の桁を間違ってしまった。お詫びとして10万円はプレゼントするので、残りの190万円を返金して欲しい。手違いを防ぐ為手渡しでお願いしたい」と言われました。

間違って振り込まれた金額は返金すれば横領罪にもならないし、それで10万貰えるならと考え、Aさんは口座から指定された190万円を下ろして待ち合わせ場所で手渡し、Aさんは10万円を手に入れました。しかしAさんは特殊詐欺の出し子として後日逮捕されました。接見禁止で誰にも会えず、口座売買を行った事で一生銀行口座が作れないブラック扱いとなりました。
何故でしょうか。

振り込まれたお金は実は詐欺の被害金だった


実はこの話、当選して振り込まれたお金は詐欺被害者のおじいちゃん、おばあちゃん達のお金だったのです。犯人が銀行口座を指定して振り込ませると口座の持ち主から足がつくので、ネットで募集した無関係な人の口座を借りてその人(この場合Aさん)が出し子にさせられてしまったのですね。

この仕組みを絵にまとめました。

知らないうちに特殊詐欺の「出し子」にされてしまう

このように、巧みに仕組まれた流れにまんまと騙されてAさんは犯罪者となってしまいました。

美味しすぎる話には必ず裏があります。


「特殊詐欺」と呼ばれるこれらの犯罪ですが、お金配り以外にもSNS上には「闇バイト募集」と称して様々なバイトが紹介されています。特に判断力のない未成年(高校生など)が餌食とされている実態があります。先日発生した銀座での白昼堂々と行われた強盗事件も、この闇バイトに応募した高校生でした。お小遣いが足りないからではなく、気軽に応募できて高額の報酬が得られると思いがちな「闇バイト」には絶対に応募しない事はもちろんの事ですが、それに比べると「みんな気軽に応募しているから」という理由でお金配りアカウントをフォローしてRTしてしまう危険性について知っておく必要があります。

私は首都圏の小中高校からSNSの安心安全な使い方について授業を行う活動を始めて今年で9年目となりますが、日々進化するこれらの危険性について最新情報を交えて授業を行なっています。年頃のお子様を持つ保護者の方には十分に注意していただくと共に、この犯罪は誰でも「心に隙を作ったらつけ込まれる」事柄である事を理解し、注意して欲しいと願います。

それでは、また。

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