Vision Proは学校を変える!
さて、今回はVision Proが学校に入ってきたらどんな学校になるのか考えてみたい。まず、ゴーグルの大きさはメガネ型くらいまで小さくなってと仮定してだが。
目のいい人がメガネをかけるのには少し抵抗があるかもしれないが、目のいい人でもサングラスをかけることもあるし、体育の時間には帽子をかぶるという発想で行けば授業中にVision Proをかけて授業を受けるというのもそう違和感がなくなるかもしれない。
当然これから先も、学校では一斉授業、協働学習、個別学習という学習のパターンは変わらないと思うので、それぞれのパターンでみていこう。
それではVision Proをかけて授業開始。
まず一斉学習。
子どもたちがVision Proをかけて起動すると、目の前には空間電子黒板が浮かび上がる。今までの電子黒板は大きいと言っても60型くらい。しかし、Vision Proがつくる黒板は映画館のスクリーンくらいの大きさも表現できる。
教師をやっていた頃、この黒板全体が電子黒板になればどれほど使い勝手がいいだろうと思ったが、それが現実のものとなる。
これで、先生の黒板の字が汚いとか、文が曲がってるとか、チョークの粉が飛ぶなんて言う問題もなくなる。
ちょっとそれたが、空間電子黒板には板書内容や従来の電子黒板の動画内容なども同時に表示できる。今までは挿絵をA3でカラー印刷して黒板に貼り付けるという作業も必要ない。事務員さんから先生カラーのトナーは高いんですから使い放題使わないでくださいとお叱りを受けることもない。
黒板の内容はデジタルだから保存でき、いつでも呼び出しできる。昨日こんな学習したねととすぐ記憶を掘り起こせる。
空間電子黒板は当然共有になっているので、子どもたちの考えを転送してもらってすぐに表示させることができる。まあ、この作業は今の電子黒板でもできるが、大画面で比較しながらというのは今の環境では課題がある。
空間電子黒板を使用すれば、子どもたちが板書をする時間も省けるし、板書した内容はキャプチャーすれば、ノートを取る必要がない。まとめる力はまた他の学習で行えば良い。子どもは家に帰って今日の授業の板書を呼び出して復習することもできる。一斉学習という形は変わらないが、空間で子ども全員を表示させながらすぐに、子どもの学習状況を表示させることも可能だろう。それが大画面と様々なコンテンツを同時表示させることができるというのが大きな違いだ。
次に協働学習
当然顔を見ながら学習する場面は大事なので、そこは臨機応変だが。Vision Proでは空間に各課題の部屋が用意される。そして、アバターとなってその部屋に入っていく。環境問題を考える場面では、3Dのゴミの島が現れる。問題を自分ごととして考えるには、やはりリアルさは大事だろう。Vision Proの圧倒的な画質はそうしたリアルさを通じてより学習が深められるだろう。当然、音声やチャット機能を使って目の前で討論するなんてことは今までの環境ではできなかった学習だろう。
今でもタブレットを使った協働学習は行われているが、実はタブレットの画面が小さくて、模造紙感覚で学習したいという時もあるかもしれない。しかし、空間コンピュータでは画面の大きさを自由に変えられ、いくつも表示できるので、まさに空間模造紙を使っての学習っていうのも可能だろう。
パワポではページを送って情報を提示することになるが、空間模造紙では、一枚で必要な情報を提示できる。これは今までできなかったことだ。
また、他の学校との交流ができれば、今まではmeetやzoomの画面共有で行っていた学習が、より臨場感を持って学習できるのではないかと思う。
最後に個別学習
個別学習ならわざわざVision Proをかける必要はないだろうと思われるかもしれないが、実は3Dのゴーグルを利用したことがある人はわかるかもしれないが、3Dゴーグル画面をみると、本当に目の前で教えてくれている錯覚に陥る。ただ今までの画質は荒く、現実味に欠ける部分があったが、Vision Proが噂通りであるなら本当に家庭教師がそばにいて教えてくれているような感じで学習できるだろう。まあ、これはコンテンツによるものが大きいとは思うが、あと数年もすればAI家庭教師ができる。ということは、学校でもAI教師が補修的に教えるということも当然ありうる話である。それが、臨場感をもって教えてくれる。肖像権の問題がかかわるが、好きな芸能人が教師になって教えてくれれば、子どもの学習は飛躍的に伸びるかもしれない。まだ、こうした研究はないので、例えば、いろいろと問題にはなっているが、ジャニーズのメンバーがアバターの家庭教師として教えた場合、学力はどう変化するのかなんて言う研究もこれからありうるかもしれない。肖像権の問題でいえば、自分で好みの生成AIのアバターを選択して教師にすることもありうるだろう。まさに、これからは子どもが先生を選ぶ時代になってくるのかもしれない。
ざっと3つの学習形態でVision Proの可能性を探ってきた。実物を見て学習、これにまさるものはないとは思うが、アメリカの学習をするのにわざわざアメリカには行けないし、縄文時代の学習で縄文時代に行くというのは現実的に無理ではあるが、コンテンツが充実すれば、臨場感をもって学習でできる環境がやっと現れたといっても過言ではないだろう。
この来年度以降Vision Proから様々なコンテンツが生まれるだろうから、10年後、そのコンテンツをもとに新たな学習が生まれることは想像に難くない。
実際にVision Proを使って見ないと何とも言えないが、価格も安くなり、より性能もよくなれば、空間での学習というのは新たな学びの場として定着していくのではないだろうか。これにAIが結びつけば、今GIGAで学校が少しづつ変化しようとしている以上の大インパクトを与えることになるのではないかと思う。その大インパクトがやってくるのは10年も待たずにやってくるだろうが、文部科学省はそれを見越した学習指導要領を作成することができるだろうか。今や学校は社会から1週遅れの学びの場になりつつあるが、子育て支援待ったなしと同じように国際社会に遅れない子どもたちを作るのも待ったなしなのかもしれない。
最近思うのは、かつてのソニーは世界の人々に夢を与えた。その時代に生きてきたものとしては、日本からもっといいデバイスを生む人間が生まれてくることを期待したい。そのためには、学びの場はもっと変化しなくてはいけないだろう。こうした機器を取り入れていち早く実践するのは私立学校だろうから、さらに公立と私立の学びの格差は広がるのだろうけど、異次元の子ども支援、こうした環境にもぜひお金を使ってもらいたいものだ。
さて、Vision Proが活躍するその時、ICT支援員は何を支援するのか。空間ICT支援員となって、空間を飛び回って支援していくことになるのだろうか。(笑)(続く)
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