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出社できないAさんとの面談

昨日はAさんと面談した。
敢えてお母さんと来てもらった。

精神科で「うつ病」と診断されたAさん。
私は、うつ病の人とあまり接したことがないのだが、鬱になるとお風呂に入るのが億劫になり、ヘアスタイルやメイクもできなくなると聞いたことがある。そのため、明らかに見た目が変わってくるという。

しばらく会っていなかったので、私も覚悟を決めて会ったのだが、Aさんは顔色も良く、綺麗な洋服を着て表れた。休日のお出かけみたい。
その様子から、状態は酷くはないんだと確認できた。

普段どんなことをして過ごしているか、などAさんの話を聞きつつ
お母さんの話も聞いた。私はお母さんのこともよく知っているので会話は弾んだ。コーヒーを飲みながらお茶会した感じ。

今回、こうなった原因はなんだろうねという話になった。
Aさんは職場の環境や人間関係には全く不満はなく、考えられるとしたら引っ越した新居との相性かもしれないと言った。
毎日足音が聞こえるし、誰かが家の中にいると。

お母さんも、子供の頃から色々なものが見える体質で、思春期の頃は周りに理解されず、悩みを抱えていたということだった。
二人とも、現実にあるはずのないものが見えたり、感じたりするという。
そしてAさんが新しく構えた新居が一番の原因ではなかろうかという結論だった。

あるはずのないものが見えたり、金縛りにあったり、という話はよく聞くが、それは脳の働きによるものなんじゃないかというのが私の個人的な考えだ。(もちろんそんなことはAさんには言っていない。)
だから本人は見えているし聞こえてもいるし感じている。そのくらい脳の働きは奥深いのだと思う。

ただ、重要なのは本人が感じていることを、自分自身でどう処理するのかということだと思う。霊感があるとかないとか、そういう話ではなく、どっちでもいいのだ。そう感じている現状を受け止め、自分自身で対処していくしかない。

家の相性が悪いというのであれば、引っ越しは現実的ではないということならお祓いはどうかね?とか。何にしても本人が自分で一歩踏み出して行動する所から、次の道が見えてくるものだと思う。

何なら、こういう取り止めもない話をする、一見無駄な時間こそがAさんにとって重要かもしれない。
自分の思いや考えを口に出すことは非常に大事で、それをお互いに肯定しながら聞き合うことで、だんだん落ち着くのではないかと思う。
こういう時間を設けられたら、引っ越しもお祓いも必要なくなるだろう。

そして、普段から私が思っていること。
「あなたはうつ病です」と言われた瞬間から、その人はうつ病患者になる。
うつ病患者になろうと行動していく。

「あなたはしっかり者でリーダーに向いている」と言われたらそのように振る舞うし、「甘え上手だね」と言われたら甘え上手になろうとする。

それが良い方向に向かうこともあるし、足かせとなって自分を苦しめることもある。そして誰にでも鈍感な部分もあれば敏感なところもある。
そんなことをひっくるめて自分だし、人間なんだわ。

なんていうことも話しつつ、2時間。
Aさんは終始笑顔で、お母さんもびっくりしていた。「家では全く笑顔がなかったから良かった」と言っていた。
私はお母さんにも気づきがあればいいなと思っている。

昨日の結論。
「リハビリするか。」
ということにした。
学校に行きづらい子がリハビリで保健室に行くのと同じように、とりあえず裏口から店に来てみる。それならお客さまとも顔を合わせずに済む。
お母さんと来ても良い。服装も自由。いつ来るかも自由。
チラシを折ったり、何か仕事はあるからそれをやる。
傷病手当は出さない。プレッシャーになるから。
雇用形態を変えて、完全にアルバイト扱いにする。

Aさんもお母さんも納得し、会社としてもシンプルで一番いい形に収まったと思う。
これから増えていくであろう、心の病を持った社員に対して、どう対応していくか。会社側としても余裕が欲しいよね。

Aさんは、今週1回来たいと言っていたが、どうだろうか。
ありのままを受け止めていけばいいとは思っている。





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