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地域で支える、みんなで支え合う

昨日の夜、母から電話がかかってきた。
「今日ミサオおばさんの所に行った?」
ミサオおばさんとは、父の姉である。
つまり私の叔母なのだが、1年に1回電話で話すくらいの関係だ。
叔母は街の運動施設に毎日歩いて通っている。

母の話はこうだった。
「あなたが今日、運動施設に来て、そこのスタッフの方達と話をしていたと言うのよ。子供たちも独立して結婚したという内容だったと言うから
合っているし、そんなこともあるのかと思って。」

続けてこんな話もしていた。
「それから、なんか変なことを言っていたの。息子が転勤になると言うんだけど、転勤先が線路の向こう側って言うのよ。小田急線の駅が近いからそっち側に住むって。(小田急線は叔母が住んでいる地域には走っていない)」

なるほど。
ついに来たか。と思った。
叔父はだいぶ前に亡くなり、今は独身50代の息子と住んでいる。
ここから激増すると思われる家族構成だ。
しかし良かったことに、息子は福祉施設の管理職として働いているのでプロである。ひとまず安心だ。


私も仕事柄、高齢の方と接することが多いので、傾向はよくわかっている。
皆さん、同じような行動をとるようになる。
会員証を探す、会話の内容がいつも同じになる、行動が遅くなる、などなど。
そのうち症状が進み、通えなくなる。

その度、どうして症状が出たのかと考えてしまう。
どんな人にそのような傾向があるのか。
私の経験上ではあるが、社交性のある人、勉強する人、精神が安定している人は認知症になりにくい。

特に社交性というのは一番難しく、一番重要だ。しかし人とのコミュニケーションが苦手な人は多いし、ストレスが発生するので一番避けたいと思われるだろう。
だからこそ、地域の運動施設に行ってみて欲しい。
毎日そこで会う人たちと挨拶を交わして、体を動かすだけで認知症の発症は一歩遠ざかる。

また、会話の中から興味のあることが出て来れば勉強する気になる。
本を読んだり、講座を聴きに行ったりと、幅が広がる。
心身ともに充実する毎日になる。

入会時、気難しくて全てにおいて否定的だった人が、数ヶ月で明るくなり、大きく変わることはザラにある。運動施設にはそういう力がある。

先のミサオ叔母さんの性格は、気難しくてケチ節約家で人嫌い。10円安い牛乳を求めて2キロ先のスーパーに歩いて買いに行く人だ。専業主婦でありながら家を新築したときはキャッシュで払ったという。そして、いつも人の文句ばかり言っている。文句を言いながらも10年以上、運動施設に通っているので発症が今で済んだのかもしれない。毎日文句を言われ続けている(であろう)施設のスタッフさんには頭が下がる。

病気になることは、老化するのだから当たり前だ。
しかし発症を遅らせることは可能である。
本人も頑張ってもらわないといけないし、周りが必要以上に手を出さずに見守ること。人ごとではない。

今日は、知らんふりしてミサオ叔母さんに電話してみようと思う。







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