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ある診療所での話

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これもまだ小学校入学前、それよりももっと前の保育園時代かもしれない。
何かあると連れて行かれる診療所での話。

昔なので診察室と待合室がカーテン一枚で仕切られただけの、中で診察している人とのやり取りがダダ漏れ状態のところ。今では考えられない。

午後診、一番に見てもらいたい毒子に連れられ早めに待合室で待っていると、最初は私たちだけだったが、後から私よりも小さい男の子とその母らしき人が入ってきた。

男の子はじっと黙って待っている事が出来ず、待合室に備え付けられているテレビを見たいといい、自分で電源を入れにいく。昔なのでリモコンではなく、ガチャガチャと回してチャンネルを合わせている男の子に向かって、

「ボクだけが見たいんじゃないのよ!」
と突然キレる毒子。

男の子もその母と思われる女性も、しばし呆然としていて、突然の毒子の口撃に何も言えずにいたら毒子が私に向かって、「見たいのある?あるなら言いなさい!」とフッテきた。

私はその男の子が付けた番組で良かったと思っていたし、なにより、小さな自分と変わらない男の子に向かってキツイ言い方をする毒子に対して恥ずかしい気持ちになった。「別に見たいものはない」と言ったのを覚えてる。

私のために、毒子が男の子をたしなめた?それは違う。
毒子は自分を蔑ろにして、自分に断りもなく勝手にテレビを独占したことへの怒りしかない。

周りからすれば、なぜ毒子にわざわざ許可を取らなければならないんだ、と思うだろう!
そう。それが正しいのだが、毒子にそれは通じない。

毒子の特徴その2:自分に許可を取らないとキレる。

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