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まいにち無職#20「無職のお給料日」

無職20日目。
記念すべき20日目は、なんとお給料日である。
前職の最後のひと月のお給料が振り込まれた。
これで、会社との縁が完全に切れたという感じがした。
ありがとう、会社。世話になったな、会社。
会社に所属することがいかに重要であるか、無言の圧力のようなものを感じる。
「会社員にあらずんば、人間にあらず」とでも言われている気分だった。
それくらい、日本は会社社会だと思う。

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午前中はリゾートバイトに向けての準備と、いつも通りの家事をこなした。
銀行とスーパーにも行き、脳内で1つ1つタスクにチェックマークをつけていく。
今日は母が午後まで仕事なので、私1人分のご飯を作る。
献立は、鯖の照り焼き、厚揚げの煮物、サーモンとアボガドのポキ、キャベツとオクラのナムル。

大好物の鯖は、いつも味噌煮か塩焼きか、カレーにして食べることが多い。
照り焼きといえばぶりのイメージだが、今回は鯖で試してみた。
霜降りをして、油を引いて焼いて、適当にお醤油、酒、みりん、ラカント(甘味料)を加えて味をつける。
味噌煮の時と同様、ネギと生姜も入れてみた。
そして、白ゴマのトッピング。
鯖で照り焼きってどうなの?と思っていたが、甘じょっぱいタレに絡んだ鯖が、これまた美味しいのなんの。新たな発見であった。
分厚い厚揚げにハマってしまった私は、今日もサブのおかずにチョイスした。
小山のようにこんもりとしたフォルムが可愛い。
さらに、アボガドとサーモンの組み合わせにもしっかりとハマってしまった。
「まいにち無職」には、あれ?これ前も作ってなかった?というおかずが頻繁に登場する。
私は何事も、ハマるとしばらく繰り返す性分なのである。
キャベツとオクラのナムルは、鯖とサーモンの魚臭さを消してくれた。
ごま油と塩のみのシンプルな味付けなので、味覚がリセットされて良い。
今日も自分ウケ最高の、大満足ごはんであった。

お茶を飲んで一服しながら、友人と電話でたらたらと話した。
つくづく、人と話すことの大切さを実感する。
声を出して笑うと、心の温度が上がり、なんだか元気になるような気がする。
ムスッとした顔で延々とパソコンを打っているよりも、接客業をしていた時の方が、ある意味心が常に潤っていた。
接客は接客でものすごく面倒くさい一面もあるけれど、お客さん1人1人とやりとりをする中で、こちらがエネルギーをもらってしまうような、そんなシーンに出会うことも多かった気がする。
表情が動かないと、感情も動かない。
電話対応すらないデスクワークは楽だったけれど、心の温度は常に低かったのだと思う。

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先日ライブに行った「なきごと」の音楽を聴きながら、身だしなみを整えた。
母が仕事で家にいない時は、いつも大声で歌ってしまう。もちろん窓を閉めて(笑)
午後はよく行くブックカフェに、リゾートバイトへ旅立つ前の最後の挨拶に行こうと思っていた。
雨が降り出しそうな天気の中、いつもの道をてくてく歩く。
下手すると週1くらいのペースで通っている場所なので、1ヶ月とはいえ行けなくなるのは寂しい。
入店すると、カウンターに常連のおじさんが1人いるだけだった。
私もカウンターに腰を下ろし、今日はハイボールを注文した。
飲みやすいという銘柄のウイスキーを、炭酸で割ってもらった。
それをちびちび飲みながら、絵を描いた。
このお店は、マスターの落ち着いた雰囲気と、壁一面の本、そしてマスターのセレクトであろう店内BGMが混ざり合って、唯一無二の空間が出来上がっている。私はこの場所が好きだ。

私はよく紅茶を飲むので、今日はこんなイラストを描いてみた。
我ながら可愛く描けたなあと思う。
マスターのお店では、ダージリンやアールグレイの他に、少し珍しい紅茶も飲むことが出来る。
お酒の種類も豊富だが、コーヒーや紅茶、ソフトドリンクも迷うくらいの種類がある。
お酒を飲む人も飲めない人も、さらにいうと本を読む人も読まない人も、どんな人でも楽しく、くつろげるお店だと思う。
私が北海道へ旅立つことを告げると、マスターは冗談かもしれないけれど「寂しい〜」と言ってくれたので、また1か月後、お土産と思い出話を持って遊びに行こうと思うのであった。

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最後のお給料日を迎えた今日、銀行に行って貯金分と使う分の振り分けをしている時、もう20日たったのか…と軽く驚いた。
あと5日で無職も卒業だ。
あっという間だったようにも感じるし、1日1日丁寧に生きたな、という感じもする。
無職ではあるがお給料日だったので、おつとめ品ではあるが、晩御飯に美味しい桃を食べた。
夕方から降ってきた雨が、私に頭痛を呼んできてしまったようなので、今日は考えことはこれくらいにして、湯船にしっかり浸かろうと思う。
明日は歯医者を予約したので、今の天気も相まってちょっぴり憂鬱な無職であった。

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