恋愛難儀
1人でいることに慣れてしまった。
1人でいることの楽しさを、楽さを、知ってしまった。
ふと、恋人なんていらないのかも、なんて思うのに、結局「1人で生きる」ことに振り切れない自分がいる。
でも、仕方ないと思う。
だってまだ私は24歳で、きちんとお付き合いした人も1人だけ。
妥協するにも早すぎるし、1人で生きていくのだとシャッターを下ろすのだって早い。
なんだかんだ、これからのきっといい出会いに恵まれるのではないかという淡い期待を抱いてしまっているのだ。
今日は、回らない寿司屋さんに行った。
マッチングアプリで知り合った人と、だ。
とてもいい人だったし、紳士的だったけれど、次会いたいかと聞かれると、すぐに「はい」と答えられない自分がいる。
初めて付き合った人は学生時代に知り合った人だし、それから2年間という長い月日を過ごした。
だから、社会人になってからの恋愛の仕方が、全くもってわからない。
学生の頃と違って、居住地、仕事、年収、見た目、性格、車の有無、結婚観、子どもが欲しいか…などなど嫌でも見てしまうプロフィールと、擦り合わせていかなければいけない部分が山ほどあるような気がする。
けれど、まずは話していて楽しいか、一緒にいて落ち着くか、などというシンプルな感情を大切にするべきのような気もしている。
難しく考えば考えるほどわからないし、シンプルに考えようとしても雑念がたくさん湧き上がってきて、そんな自分に嫌気がさす。
それでも今日は、真摯に相手に向き合って、いい時間を過ごすことができたと思う。
帰り際、LINEを交換しませんかと言ってもらったけれど、うまく断ることができなかった。
マッチングアプリをやっていると、自ずと複数人と同時に話すことになる。
その中で、特定の誰かとLINEを交換することに少し抵抗があった。
また会いたい、もっと話したいと心から思えたのなら、きっと即答できたのだと思う。
けれどお相手は、もし他に気になる人ができたら、自分のことはいいから、その人のところへ行ってくださいとまで言ってくれた。
とても優しい人だ。
なんて心の広い、侍のような人なんだろう、そう思った。
しかし私は、マッチングアプリに疲れてしまっていた。
複数人と同時にメッセージのやりとりをし、何人かと電話や、会う約束を取り付け、それを繰り返すだろうということが。
まだ会ったのは1人だけれど、これから先もこういう事が続くのかと思うだけで、うんざりしてしまった。
いい人だった「けど」…と、どこか引っ掛かる部分があれば、関係を次の段階に踏み出せない。
理想が高いのかもしれないし、前の人と比べてしまっているのかもしれない。
それでも、それでも私は、誰かと一緒になりたいのか。
1人でもいいんじゃないのか。
私は、どうしたいのか。
今日はぐるぐる考えすぎて、疲れてしまった。
今日会ったお相手とはきっと、これ以上深い関係になることはない。
しかし今日という日を過ごしたことで、自分の行動を変えてみようという決意が生まれた。
ただただ「出会いがない」と嘆くのは、ただただマッチングアプリを続けるのは、何か違うような気がした。
まず、変えられるところから変えてみようと思う。
恥ずかしいのでここには書かないけれど、思いつくあれこれを試してみるつもりだ。
私はよく、行動力を人から褒められる。
まだまだ、やれることはある。
だってまだ、私は24歳なのだ。
今日という日を、会ってくれた相手の方との出会いを、美味しいちらし寿司と落ち着く喫茶店を、しっかりと脳みそに刻み込んで、自分勝手で自由な私は、また新たな1歩を踏み出すことにする。