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非日常の、日常

離島で暮らし始めて、思ったことがある。
離島での暮らしは、私にとっては非日常だ。
けれど、この土地で暮らしている人たちにとっては、当たり前にそこにある日常。
とはいえよそから来た私も、朝起きて顔を洗ってご飯を食べて働いて…というありふれた日常生活を送る。
なんだか、とても不思議な感覚だ。
全く新しい環境なのにも関わらずぐっすり眠れているし、ご飯もしっかり食べられている。
人は、引かれた線を勇気を出してひょいと飛び越えれば、案外やっていけるのかもしれない。

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今日は大人数の予約が重なり、とても忙しい日だった。
しかし、近隣のホテルの派遣さんや、島の別のお店の人など、助っ人が多く来てくれたため、昨日同様早めに仕事を終えることができた。
バタバタして大変だったが、なんとか乗り切ることができてホッとした。
実は、1つミスをしてしまった。
しかし、ガツン!と怒られることはなく、「まだちゃんと教えてなかったことだからね…!」とフォローの言葉までいただいた。
さらにまた別の方に、分からなかったことを詳しく教えてもらった。
しっかり反省し、次に生かしていこう。偉いぞ私!

今日も朝は大雨だったのに、退勤する頃にはまあまあ晴れていた。
部屋に掃除機をかけてスッキリしたところで、出かける準備を始める。
行き先は、昨日から気になっていた温泉に決めた。

入浴料は500円。
露天風呂まであって、非常に気持ちよかった。
ここに来るまでの道も、まさに「森」という感じで自然に溢れていて、ふと立ち止まり振り返れば海が見える。
さらに、温泉に浸かりお湯の流れる音を聴く。
まさに自然の恵みのフルコースである。
少し系統は違うが、千と千尋の神隠しに出てくるような「湯屋」を連想して、ワクワクした。
受付のおばさんがとても感じがよく、島にいる間に何回か行こうと思った。

住まわせてもらっている家から少し内陸へと歩いても、振り返れば海が見えるので、ああ、島に来たのだな、という実感が沸々と湧いてくる。

にゃんと、昨日同様またしても野良猫に遭遇。
体制を低くして、目を合わせないようにゆっくりと動く。
側から見ればかなり不審者だが、猫に警戒されたくない。
近くで可愛い姿を見せておくれ、という気持ちで近づいた。
それにしても、思いの外たくさんいて驚いた。
誰かが餌をやっているのだろうか。
見たところ耳に切れ目が無いので、去勢手術やワクチンはまだなのだろうと思う。
周りを見ると、6〜8匹ほどの野良猫が確認できた。
これはどんどん増えてしまうのでは…と不安になったが、私1人ではどうすることもできない。
今日、野良猫をたくさん見たとご夫婦に話してみよう。
何か気になることが聞けるかもしれない。

私の他にも、住み込みで働いている女の子がいる。
夕方ふと窓の外を見ると、彼女がベンチでご飯を食べながら海を見ていた。
ただ、じっと海を見つめていた。
4つくらい上の彼女は、来月島を出て、海外へ働きに行くらしい。
そのために昼も夜も働いている。
ぶっきらぼうだけれど、すばやくて正確な仕事ぶりが、根本にある真面目さのようなものを感じさせる。
彼女は、海を見ながら何を思っていたのだろう。
なぜだかすごく、気になってしまった。
どうしてもスピードより丁寧さ重視になってしまう私は、彼女にとっては煩わしいかもしれないが、少しでも仕事ぶりを認めてもらえるよう、頑張りたいと思った。

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明日も、雨が降っていなければ散歩しようと思う。
もちろん仕事を頑張ってから、の話だ。
昨日より今日、今日より明日、出来ることを増やしていけたらいい。
自然の中での暮らしは、寂しさや嫌なことを、あっという間に拭い去ってくれるような安心感がある。
今日も、ぐっすり眠れますように。

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