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お菓子の杜

年内最後の2連休、初日。
私と母は、杜の都仙台へと向かった。
私が世界で1番好きなお菓子屋さんが仙台にあって、そこに2人で行こうと計画を立てていた。
日に日に仕事が忙しくなってきて、今日まで心身ともに調子を崩さないか不安だった。
だから無事にこの日を迎えられてホッとしているし、年の瀬に会いたい人に会いに行けることを、とても嬉しく思う。
本格的に忙しくなる前に、与えられた休暇を楽しみ尽くすのだ。


9時半過ぎに降り立った仙台は、雪が全くなかった。
今朝、雪に埋もれてしまいそうだった青森の街からやってきた私たちの装いは、少しばかり浮いていたと思う。
しっかりめのダウンにマフラー、そして冬物のブーツを履いた私たちと、薄手の羽織に足元はスニーカーという仙台の人たちの姿の対比が、少し笑えた。
バスに乗って、早速お菓子屋さんへと向かう。
市内に2店舗あって、八幡町にある店舗はイートインスペースがあるので、そこで早めのランチにする予定にしていた。
お菓子だけでなく、ベーグルサンド、カレー、ハンバーグ、お稲荷さんなどなど、季節によってフードメニューも様々だ。
店長はすぐに「あ!」と私たちの姿に気付いてくれ、柔らかい絵顔で、快く出迎えてくれた。
木の温もりが感じられる店内に、季節の植物たちと、たくさんの素敵なお菓子たちが並んでいる。
何回来ても、心が踊る。
穏やかなBGMが流れる中、母とおしゃべりしながらお菓子を選んだ。
新幹線に乗る関係で朝ごはんを早めに摂ったので、11時頃だったが丁度良くお腹が空いてきた。
私が頼んだのはベーグルサンドのあんバターと、ピーナッツバターとりんごとタタンケーキ。
ドリンクは、限定のショコラショーにした。
ショコラショーとは、フランス語でホットチョコレートを意味する飲み物だ。

サクサクとモチモチ、どちらも持ち合わせたベーグルに、やさしい甘さのあんこと、動物性不使用のバターがサンドされている。
このお店で使っているものは全て完全無添加なので安心して食べられるし、作り手の想いや、細部までのこだわりを感じることができる。
ケーキは、生地の香ばしさとりんごの甘さに、ピーナッツバターが良いアクセントになっていて、ついつい笑顔になってしまう美味しさだった。
限定のショコラショーは、たくさんのスパイスが入っているのだろうという奥深い味わいで、甘さ控えめなのでスイーツにもよく合った。
食事が進むにつれて、冷えた身体がじんわりと温まるのを感じた。
それは温かいショコラショーだけでなく、心遣いに溢れた接客のおかげでもある。

お腹も心も満たされて退転した我々は、オーナーに会うため&お土産を買うために、五橋にある店舗へと向かった。
入店するとやはり笑顔で出迎えてくれ、夏ぶりに再開できた嬉しさが込み上げてくる。
平日のお昼時だったのをいいことに、オーナーと私と母と3人で、気付いたら1時間以上も話していた。
食べ物のことや家族のことから、仕事や政治、世の中の色々なことについてをあれこれ話して、意見を交わす。
波長の合う人たちと語り合うことは、心に良い刺激をもたらしてくれる。
オーナーは母を連れてきたことをとても喜んでくれ、母も嬉しそうで、そんな2人を見て私もやはり嬉しくなった。
こちらの店舗は人2人でいっぱいになるくらいの限られたスペースではあるが、見渡す限りたくさんのお菓子が並べられていて、選ぶのがとても楽しい。
八幡町の店舗では手に取らなかったものを注文し、たくさんのお菓子が入った紙袋を受け取ってほくほくした気持ちになる。
名残惜しい気持ちになりつつも、雪が溶けて暖かくなった頃、また遊びに来ますと約束し、退店した。
自分が大好きなお店に母と行けたこと、それをオーナーも母も喜んでくれたことが、改めてしみじみ嬉しかった。


天然渋川栗のチョコブラウニー

帰りの新幹線で、早速いくつかのお菓子を食べた。
どれもやっぱり美味しくて、身体も心も喜んでいると感じる。
包装がシンプルなのも、お菓子の良さが引き立っていて良い。
最高のお菓子たちと、素晴らしいおもてなし。
この2つを持ち合わせたこのお菓子屋さんが、私は大好きである。

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