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途上国ビジネスの実現可能性を探るスリランカフィールドワーク

アイ・シー・ネットは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(Keio Business School=以下KBS)がエグゼクティブMBAプログラムの一環で実施している「海外フィールド」という科目において、渡航準備から現地フィールドワークまでのアレンジやサポートをしています。2015年以来、これまでにケニアやエチオピア、インド、メキシコなど様々な国で実施してきました。今回は、2024年7月に実施したスリランカでの様子を、担当の山田より紹介したいと思います。

山田 太地
バックパッカーとして世界を旅し、多彩な文化と経験を積んだ後、2018年に日系IT企業に入社。アフリカにおけるビジネス展開の責任者として、ザンビアやケニアの拠点を統括し、現地での豊富なビジネス経験を積む。2021年にアイ・シー・ネット株式会社入社以降、途上国の社会課題をテーマにした課題解決型プログラムのプロジェクトマネジメントなどを数多く手掛ける。

フィールドワーク概要

今回、さまざまな企業の中核人材の方が29名参加しました。KBSの「海外フィールド」は、新興国や途上国市場の動向について綿密な事前学習を行い、新規ビジネスの仮説を構築し、その仮説を携えて現地で実地検証を行います。現地調査では市場の将来性のみならず、貧困などの深刻な社会課題を直視することも重要な学びのひとつと捉えられています。

当社には、世界約150ヶ国における事業実績があり、途上国の現地情報やコネクション、現地経験に強みがあります。当社の持つ強みとKBSの取り組みは親和性が高く、途上国でのフィールドワークの協働は今年で10年となります。

今回ツアーに参加したKBSの皆さん

フィールドワーク内容

今回フィールドワーク先としてスリランカを選んだ理由は、人材が優秀で、治安が良く、親日国であり、日本企業がビジネスをしやすい土壌があることが挙げられます。また、当社の現地拠点(拠点一覧)がありコネクションやノウハウがあることも安心して活動を実施するうえでの決め手となりました。

渡航する国が決まると、その国に精通した専門家による説明を行います。スリランカの概況について知っていただき、そのうえでスリランカが抱えている社会課題についてどのようなビジネスモデルがあれば解決できるのか4つのグループに分かれて仮説を立て、さらに深掘りしてビジネスモデルを立案します。

渡航後は、立案したビジネスの実現可能性の検証を行います。現地調査ではユーザーインタビューをしたり、様々な機関へのヒアリングを行います。スリランカと言えばセイロンティーが有名ですが、紅茶局に訪問して現地情報のインタビューをしたり、紅茶農園と工場に訪問してビジネスプランの実現に必要な情報収集の場を設けたりしました。ビジネスプランの中間報告会では、投資局を訪問し壁打ちしてもらう機会も設けました。報告会後には、現地ビジネスパーソンの方々と参加者が有志で懇親会を開催し、公式の場では聞けない本音を聞く機会としても印象深い時間になりました。

紅茶農園と工場に訪問してインタビューを実施
紅茶局に訪問し現地情報を収集

現地活動中、コミュニケーションは英語を使っていましたが、現地の言葉(シンハラ語)を話せるアイ・シー・ネットのスタッフが同行していたので、地方など英語が通じにくい場所でもスムーズに調査を進めることができました。

現地滞在の最終日にはビジネスモデルの最終報告会があります。現地で得た情報をもとに仮説が大きく変わったチームもありましたが、全てのチームのビジネスモデルが、日本で立案したものよりも実現可能性が高いものとなりました。

現地コネクションを活用し、スリランカ投資局でビジネスプランの総評会を実施

最後に

ビジネスモデルを立案し実地検証を行うことがフィールドワークの目的ではありますが、日本企業の中核人材の方たちが、途上国を肌感覚で知ることができるのも大きな収穫です。途上国ビジネスの面白さやリアリティを知識として持つだけでなく、実際に現場で経験することは、ビジネスを成功させるために重要な要素だと思います。

過去の参加者の中には、現地渡航したことでビジネスチャンスを感じ、立案したビジネスモデルに本気で取り組んだ方もいます。こうしたフィールドワークを通じて少しでも多くの日本企業が途上国で事業を展開していってほしいですね。そして当社としては、これからも途上国の専門家として、途上国ビジネスの展開支援に貢献していきたいと思います。

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