見出し画像

看護師経験を活かした開発コンサルタントとしての今

アイ・シー・ネットでは、専門的な知識を持った人や、特定の国に精通している人、多様な経験やスキルをもった人など、世界中のさまざまな現場で活動している人たちを「現場ビト」とよんでいます。それぞれの現場で、どう強みを活かし、どんな想いで、世界の課題解決に取り組んでいるのか、コーポレートサイトにて紹介しています。今回は、9月に新たに追加された当社コンサルタントの船水について紹介します。

船水綾乃
看護大学で看護師・保健師資格を取得。卒業後は総合病院の脳外科・神経内科、ICU病棟で約5年間勤務した後、JICA海外協力隊で看護師隊員としてホンジュラスで子どもから高齢者まで、住民の健康に関する啓発活動に従事。大学院でグローバルヘルス・公衆衛生学(MPH)を学び、2021年アイ・シー・ネットに入社。ホンジュラスやパキスタンの保健分野に係るプロジェクトで業務経験を積んでいる。

保健医療の国際協力への道

中学生のころ、学校の授業で途上国の保健医療について学ぶ機会があり、赤ちゃんやお母さんが適切な医療を受けられずに命を落としている事実に衝撃を受けました。何か自分ができることはないかと考え、看護師だった母の影響もあって看護の道に進むことを決めました。国内の病院で5年間、看護師として経験を積んだ後、JICA海外協力隊の看護師隊員としてホンジュラスで2年間活動。協力隊に参加するまでは旅行以外の海外滞在の経験はなく、スペイン語も全く話せませんでした。

協力隊時代の活動は、母親に子どもの栄養や病気の予防についての指導や、小中学校における啓発活動や教師への研修、高齢者や慢性疾患を抱える住民の家庭訪問などをしていました。当時、ホンジュラスでアイ・シー・ネットがJICAの技術協力プロジェクトを行っており、保健分野のコンサルタントと話したりその活動を見学させたりしていただく機会がありました。小さな医療施設のスタッフから中央省庁の官僚まで、あらゆる関係者へ働きかける姿が印象的で、医療システムそのものを改善する開発コンサルタントの仕事に関心を持つようになりました。

協力隊時代。手洗いの啓発活動の様子

帰国後は、協力隊の活動で感じた自分に足りない部分を、学問を通して深めたいという考えもあり、大学院へ進学。その後インターンを経てアイ・シー・ネットに入社しました。医療分野のNGOや病院を通じて被災地や途上国の現場で医療支援をする道も考えましたが、課題の根本的原因となっている保健システムや政策を変えたいという想いが強く、それが実現可能な開発コンサルタントになる道を選びました。

アイ・シー・ネットでの仕事

現在はホンジュラスと、パキスタンでJICAの技術協力プロジェクトに従事しています。ホンジュラスでは、高血圧や糖尿病が増えており、そこから合併症で亡くなられる方もいます。自覚症状が少なく健康診断の機会がないことからも、気づいたら重症化しているというケースがよくあります。そうしたことがないよう、病気についての知識や早期治療・予防の重要性などを広める啓発活動に取り組んでいます。パキスタンのプロジェクトでは母子保健サービスの強化を目指しています。新生児や妊産婦の死亡率が非常に高いという課題があるので、妊婦や乳児が村の小さな医療施設でも適切な対応がされるような仕組み作りをしています。2つの国で合わせて年間6か月くらいは現地で活動をしています。1回あたりの出張期間は短いときで3週間、長いときは2か月くらいになります。

最近はJICAの民間連携事業で医療関係の企業の海外展開支援のプロジェクトにも従事しています。医療分野も、今後は民間企業と一緒に課題解決していくケースが増えていくでしょうし、ODA以外にもどんどん挑戦していたきいと思っています。ODAのプロジェクトと課題へのアプローチの仕方が違うことも多いですが、社会課題解決という目的は同じですし、日本が持つ技術やサービスを世界に広げていくことにやりがいを感じますね。

ホンジュラスで実施した医療従事者研修の参加者たち

今後のキャリアについて

日本で看護師・保健師として働いていた現場経験は今後も活かしていきたいですが、保健分野にもさまざまなテーマがあるので、専門家としての幅と深さを広げていきたいです。中でも関心の高い非感染性疾患と保健システムの専門性は一層深めていきたいと思っています。そしてゆくゆくは、プロジェクトマネージャーとして、途上国の保健医療を良い方向へリードしていきたいと思っています。