
おっちょこクロニクルその3【よく口にネギが付いている人】
大事にとっておこうと思った乳歯も恋人からもらった指輪もアッと洗面所に流してしまう。
それが私。
よもぎは食べ物のカスがよく口周りに付いてしまう。
坂本龍馬もそうだったらしい。
ネギだけなく、米粒、ソース、マヨネーズ、カレー、胡麻などバラエティに富んでいる。人よりも顔面の吸着力が高いのかもしれない。
学生時代、初めての就職活動で大手牛丼チェーンを束ねるS屋のグループ説明会に参加した時のこと、早朝小腹が減ってMドナルドでテリヤキMバーガーを食べてから会場入りした。
最前列で誰よりも店長になる気満々でアピールし、代表のおじさんが語る度に頷きながら一心に見つめていた。
休憩時間にトイレに寄って鏡を見て唖然。
頬から顎にかけてソースがベッタリ付着していた。逃げる様に会場を後にしながら、人事の人は照り輝いたソースがリズミカルに上下する様見て、哀れに思ったのだろうかと赤面した恥ずかしい記憶。
久しぶりに友人のA子とご飯を食べた時のこと
「あ、よもぎ口にネギ付いてるよ」
「うん。ああ、とれた?」
「とれたとれた。よもぎは相変わらず何か付いてるね」
「ん??」
「どうしたA子?」
「よもぎ。ネギなんてないよ今日のごはん」
「へっ!?嘘でしょ」
「ほら」
「ほら!」
「ほらあっっ!!」
やっぱこれネギだよね。」
「ネギだねこれは。」
「なんでネギが...?」
「いつから?」
「え?いつからだろ。」
「....」
こうしてよもぎは昼食べた物を夜に思い出すのである。
未だ牛丼チェーンの店長には成れていない。
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