140字小説コンテスト 秋の星々「長」 時計・最新式・前髪
140字小説コンテスト、秋の星々2024 テーマ「長」に応募した作品です。3編!
1
彼の家に行くと必ず柱時計の鐘の音を耳にする。その時計が鳴らす音は女性の声に似ていた。
ぽん、ぽん、ぽん……
今日も鐘が時を告げた。その間だけは、どれだけ話しかけても彼から返事はない。彼と過ごす時間が長くなるほど鐘の音は数を増す。どうすれば、この音から彼の心を奪えるのだろうか。
2
魔王討伐隊の旅は長く険しい。魔国に入ってからは暗闇が続いていて、俺たちの体は疲弊していた。足取りが重くな