久しぶりの、あたりまえだった一日
久しぶりに外の世界に触れた。
朝7時、アラームの音で目が覚める。少しぼうっとしながら、後ろ髪をひかれつつベッドから抜け出して簡単に朝食を済ませる。洗顔後コンタクトをつけてからメイクする。8時、買ってから初めて広げる日傘に少しときめきながら、駅までの道を歩く。電車には座れないまま、地下鉄から地上へのぼりながら、澄んだ青が広がる空が見えて、また少し嬉しくなった。
いつも当たり前の景色だったのに、なんだか特別な日のような気がした。
駅前のイタリアンのお店には「6/1から営業再開します」の貼り紙。お寿司屋さんと焼き鳥屋さん、ずっと気になってるうどんのお店はまだ営業前の時間。
6月1日から業務が本格的に再開する。運用はまるっきり変わる。以前と同じままではいられないのだ。
昨日はどしゃ降りの雨に雷まで鳴ったのに、今日は居心地のいい青空だった。最近の東京の天気は、地元の北陸の天気に似ているなあと考えることが多い。晴れてるのに雨が降ったり、荒れたと思ったら快晴になる。
一日外に出て働いただけ。前と同じことなのに、久しぶりだとなんだか特別な日のように感じた。
仕事を終えた帰り道、うどん屋さんに数人のお客さんがいる。焼き鳥屋さんはテイクアウトを用意していた。お寿司屋さんにも明かりが灯っている。
いつとどおり電車に揺られ最寄り駅へ。地下鉄から階段をのぼって見えた地上には、晴れた一日があたたかなピンクの夕焼けになって、夜が混じりながら近づいていた。