事業開発者を目指す人に30歳までに読んでほしいビジネス書籍 名著20選
事業開発をチームで進めていく中で、どうしても前提知識のばらつきが気になっていました。そこで、「みんな、これくらいは前提知識で必ず持っていてほしい」という書籍を一覧化して教科書指定したいと思い、これまで数百冊ビジネス本を読んできた中で、これはという名著をピックアップしました。事業開発、イノベーション、新規事業を行う人にとっての読むべき価値ある名著を紹介します。
イノベーションの理解
事業開発は、つまるとところイノベーションです。そのため、イノベーションとは何なのか?その基礎的な性質を理解しておくことが、必要になります。以下4冊は、イノベーションを考えるための「当たり前」を引き上げてくれる名著です。
1. ゼロ・トゥ・ワン
事業開発をやる前に読みたい最強のモチベーションアップ本。私はこれまで事業開発において、負けない戦い方、再現性のある勝率の高い戦法の構築を目指してきました。それとは全く違った考え方で「テクノロジーでイノベーションを起こしてブルーオーシャンを作ろうぜ」という正論かつ刺激的なメッセージに心震えます。テスラ、スペースX、この本を読むことで、これらの企業のやり方と目指すものが全て繋がって理解できると思います。
2. イノベーションのジレンマ
超名著。既存事業とのカニバリを恐れ、新規事業に乗り出せない抵抗勢力との闘争は、企業内でイノベーションに挑む方であれば誰もが直面する課題です。これをどう突破するのか、それをデザインすることが事業開発の仕事です。
3. SHIFT:イノベーションの作法
企業内イノベーションの実務に最も役立つ一冊。社内をコントロールしながら、手堅く成功を勝ち取っていくためのバイブルです。
4. スーパーストック発掘法
イノベーションを実行していく為には、スポンサーであるイノベーションへの投資家の考え方を知ることが非常に役に立ちます。成長株への投資法が参考になりますが、これはその中でも特に本質的な示唆をくれる一冊でした。
思考法
事業開発では、「仮説」「検証」の2つが最も重要な概念になってきます。しかし、意外とこの仮説検証のプロセスを「当たり前」だと認識している人が少ないように感じます。全ての科学は、仮説検証に基づいています。イノベーションを科学することで成功へ導いていくことが事業開発者としての仕事だと思いますので、その大前提である科学的なものの考え方を関係者全員が前提知識として共有しておくことが大切です。
5. 仮説思考
今ではもはや有名すぎる本ですが、仮説思考とは何かを明快に説明してくれる一冊です。事実と考察を分けるように、仮説と検証を明確に分けることで、社内での説明も驚くほど楽になります。
6. 論点思考
仮説思考とセットで読みたい論点思考。論点を分解して考えるべし。ただし、実務上は、論点整理や網羅性よりも、正しい方向性により速く進み出すことの方が重要となってくるので、実務家としては論点思考にハマりすぎないように気をつけています。
7. イシューからはじめよ
論点思考と仮説思考を一冊にまとめたような本。この三冊はセットで読まれることも多いです。少し内容が高度になるので、論点思考と仮説思考を読んでから、読み出すほうが理解がスムーズだと思います。
8. 科学的管理法
1911年に発表された本とは思えないほど、今読んでも示唆に富む内容です。鉄鉱石の運搬をいかに効率化するか?という課題解決から導き出された科学的管理法は、後述するトヨタ生産方式やデザイン思考とも共通する普遍的な成功の方程式が存在することを示唆していると感じました。
9. トヨタ生産方式
一番のオススメです。生産の効率化を研究していく上で、必ずたどり着く一冊。1978年に出版された本ですが、その本質的な内容は全く古臭さを感じないものです。トヨタ生産方式がいかに常識はずれで、一人の執念が数十年もかけて完成させた大イノベーションなのかを知るだけでも思うところがありました。
10. リーンスタートアップ
トヨタ生産方式(リーン生産方式)をスタートアップに応用することで考案された、今ではイノベーションの当たり前になったリーンスタートアップの概念。顧客の声を聞いて仮説を立てたら、すぐに検証してみる。後工程をスタートに最適化を考えていくトヨタ生産方式の本質を、事業開発に生かす超重要な概念です。
11. デザイン思考が世界を変える
デザイン思考は、人間中心のアプローチという説明の仕方をされますが、現場の観察を通じてニーズを見出し、それに応えるソリューションをデザインするという方法論です。全ては、①事実(顧客行動)を直接観察すること、②観察から得られた洞察に基づいて仮説を立て検証すること、この2点に帰結します。
12. ピッチ
プレゼン方法の書籍ですが、むしろデザイン思考の具体的な運用方法の説明書ではないかと思っています。どうやって仮説検証を進めていくのか、その間にどのような検証項目があるのか、その優先順位、が必要最低限で解説されています。必要十分な内容がシンプルにまとまっており、非常によく実務に応用が効くため、ここ数年で一番感銘を受けた本です。
13. 未来に先回りする思考法
あまり有名ではないかもしれませんが、「原理原則で考える」という大前提を学ばせていただいた本です。原理原則で考えることで、より本質的な見方ができるようになる(成功体験の再現性が高くなる)と思っています。
14. ストーリーとしての競争戦略
「良い戦略を作ればそれはストーリーになっている」「戦略はストーリーで語ることができなければならない」と多くの事例を交えて説明する名著です。ただ、ちょっと長いので、読むのしんどいです。「ストーリーが大切」と言う視点は、初めて読んだ時は衝撃を受けました。
リーダーに必要な素養
新しいものを提案していく為には、全体のデザイン、関係者との調整、強いパッション、そして何よりもリーダーシップが必要です。一旦戦場に出てしまえば、リーダーとして迷うことはできません。戦場へ出る前に、全てのリーダーに頭に入れておいてほしい知識を与えてくれる大切な本を紹介します。
15. 人を動かす
有名な古典であり、今も語り継がれる名著。当たり前のことが当たり前に大切なのだと再認識させてくれます。リーダーとして全てできるようになりたいと、定期的に見直しています。
16. 影響力の武器
「人を動かす」よりも、より戦略的に影響力を行使していくための方法論が学びたい方はこちらがおすすめ。
17. 経営は「実行」
実行がいかに重要か、そして実行に最も重要なファクターはリーダーであると、リーダーの重要性について語られています。すべのリーダーに読んでほしい、実行の重要性を再認識させてくれる一冊です。
18. 企業変革の核心
変革の成功プロセスを学ぶことは、事業開発にも役に立ちました。中でも反対者に対する対処法は、勉強になります。理性と感情の両方に訴える手法も理論だけでなく実行の場面で役立つ知識であり、様々な面で示唆に富む一冊です。
実行に役立つスキル本
事業開発を実行に移した時、「売れる」ために必要な実行スキルを教えてくる本です。実務で使える本を厳選しています。
19. ザ・モデル
これまで最も衝撃を受けた一冊です。これまでのなんちゃってBtoBマーケティング理論とは一線を画す本当に役に立つ実務理論だと感じています。最近の営業組織はすべてこの理論に基づき構築されているので、事業開発者にとっては、もはやマストバイな一冊だと思います。
20. 新規事業の実践論
新規事業のプロジェクト管理の具体的な手法が、体系だった理論として纏まっています。筆者がリクルートの新規事業創出プログラムを運営する中で培ったノウハウが詰まった一冊。この手の新規事業関係の本はハズレが多い中で、この本は本物中の本物です。
最後に
当たり前を引き上げること、これはすべての仕事にとって、最も難しく、そして最も地味に効果的な方法だと考えています。ここで紹介した書籍が、皆様の成功の一助になることを祈っています。
選外(旧選出本)
・ワークルールズ
Googleの人事制度を紹介した一冊です。多くの日本の大企業では、昭和な古い人事制度が創造性の足枷となっているのではないでしょうか。せめて自分のチームの生産性を高めたいと考えている事業開発担当者には役に立つ本だと思います。
・ゲーミフィケーション
体験デザインにゲームを組み込む考え方は、顧客体験のデザインに活かせます。インセンティブ設計する上でゲーム的要素を入れることは知っておきたいテクニックの一つです。