【書評】ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール)
最近で一番痺れた本だった。紹介してくれた友人に感謝したい。新規事業を志す方には、必ず一度は読んでいただきたい一冊である。
ティール思想のキーワード。
本書で何度も繰り返されているキーワードは、「隠れた真実の存在」。世界のどこかに誰も見出していない革新的なイノベーションが存在すると信じて、そこにチャレンジすることを推奨している。
ティールの本質的な主張は、輝かしい才能と限られた人生の時間を小金稼ぎに浪費するのではなく、世界を進歩させるようなプロジェクトに投資するべきだ、というスタンスである。
裁判官を目指し、夢敗れた経験から、競争は何も生まないと悟ったティール。彼はそこから、競争のない新しいマーケットを切り開くイノベーションを追い求めることで成功した。それを凝縮した一文が以下である。
これには痺れた。「競争に打ち勝ち、利益を得る」という一般的なビジネス思想とはまるで逆の考え方だ。
「売れる、売れない」ではない。「世界を変えるか、変えれないか」。
そして、ここには、ピーター・ティールをはじめとしたペイパル創業者たちが「ペイパルマフィア」と呼ばれる所以が垣間見得える。テスラのイーロンマスクにも同じものを感じる。彼らは世界を変えるテクノロジーを信奉しており、そこに自身の人生を懸けている。
私は、これまで事業開発において、負けない戦い方、再現性のある勝率の高い戦法の構築を目指してきた。しかし、本書の「テクノロジーでイノベーションを起こしてブルーオーシャンを作ろうぜ」という正論かつ刺激的なメッセージには心震えた。
テスラ、スペースX。この本を読むことで、これらの企業のやり方と目指すものが全て繋がって理解できる。
本書は、自分の仕事の意義を改めて問い直すきっかけとなるに違いない。
最後にお気に入りの瀧本先生の序文を引用したい。
ぜひ、多くの人に一度は読んでいただきたい一冊である。