「アジアは一つ一つ」という話
「アジアは一つ一つ」という話
かつて、岡倉天心は「アジアは一つ」だと述べました。
本当にそうでしょうか。
平和を祈りつつ、少し考えてみましょう。
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ようこそ。門松一里です。静かに書いています。
"という話"は、調査資料(エビデンス)を使った「思考の遊び」――エンタテインメント(娯楽)作品です。※虚構も少なからず入っています。
※本当はノワール作家です。
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岡倉天心は明治の文人です。
思想家といってもいいでしょう。
書籍は、岡倉覚三(かくぞう)という本名で出版されています。
日本の美術史に残る人です。
そうした偉大な人でも恋に落ちて、不倫で人生を変えてしまいました。
お相手はよりにもよって、パトロン九鬼隆一男爵の奥さんです。
一番手を出しちゃいけない人に手を出すのが人間です。#blackjoke
当然のことながら失職します。
それで設立されたのが、日本美術院です。
なお、九鬼隆一の四男が『「いき」の構造』を書いた九鬼周造です。
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1903年(明治36年)、岡倉天心は著書『The Ideals of the East』(東洋の理想)のなかで「アジアは一つ」だと述べました。
孔子の儒教や釈迦の仏教が共存している時点で、日本でさえ一つではないのですが、あえて「アジアは一つ」だと言い切っています。
これが、汎アジア主義につながっていきます。
汎ナントカ主義は聞き覚えがあると思います。
日本の隣国であるロシア連邦は、汎スラヴ主義をかかげウクライナに侵攻しました。
特別軍事作戦ではなく、戦争です。
けれど、ロシア国内でこの作戦を「戦争」と言うと捕まってしまいます。先日、プーチン大統領自身も自分で「戦争」と言ってしまっていましたが……。
スラヴ民族は偉大な統一民族であったことなどありません。同じように、アジアが一つにまとまったことなどありません。
一方で、欧州は一つだと考えられないこともありません。基本的にキリスト教です。今は英国が離脱してしまいましたが、EUでは通貨も一つです。
ロシアの愚行によって、欧州がNATOとして一つにまとまってしまったのは皮肉です。
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2023年1月10日(火)の #報道1930 で、杉山晋輔前駐米大使は「ヨーロッパは1つ、アジアは1つ1つ」――「ヨーロッパは親和性(アフィニティ)があるが、アジアはバラエティがあり、親和性が低い」と述べています。
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国にしても民族にしても思想にしても、何か一つだけを選ぶというのはとても恐いことです。
一つを選ぶと対局にあるものを排除しようとしますから。
けれど、そんな簡単なことにはなりません。
ヒトという生物は複雑ですから。
生き物ですから群れるのですが、あるていど思考が高くなると孤独を愛するようになります。
これは別に他を排除している訳ではなく、排除されて孤立している訳でもありません。
相手との安全な距離をとっているだけです。
そうした意味では、杉山晋輔前駐米大使が語っているように日本が対話することが重要です。
前の戦争から学んだ日本国は、いきなり暴力で訴えることもしないのですから、話しやすいのです。
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ご高覧、感謝です。 サポートによる調査資料(エビデンス)を使った「思考の遊び」――エンタテインメント(娯楽)作品です。 ※虚構も少なからず入っています。