新作落語『はらわれ』 春風亭㐂いち
色々な御商売がございまして、中で平和を守る地球防衛軍という。これがなかなか大変な御商売でして、日夜怪獣から我々市民を守るという、、、
「ギヤーーオォォ~!」
「隊長、ゴモラがまた現れました!」
「何!ハヤタ隊員ただちに出動だ!」
「ギヤーーオォォ~!」
プシューー!ギュィ~~~ン!
「ハヤタ君、こんな時になんなんだがね、、、やはり私は君と娘の咲子との結婚を許すわけにはいかないんだ」
「隊長!どうしてですか?僕はきっと咲子さんを幸せにしてみせます」
「君はそういうがね、、、口でいうのは簡単なんだよ。妻を早くに亡くした私は、男手一つであの子をここまで育ててきたんだ。私がいうのもあれだが、こんないつ死ぬかも知らない仕事をしている男に咲子をやるわけにはいかんのだよ」
「隊長!そんなのあんまりです!」
「やめなさいハヤタ君!今を任務中だ!操縦が乱れるじゃないか」
「隊長!」
「やめなさい!あ、しまった!」
ギュィ~~~ン!
「ギヤーーオォォ~!」
「しまった、一瞬の不覚だ!くそっ!」
「バクバクバク!ギヤーーオォォ~!」
「、、、う、う、、ここは?はっ、、ハヤタ君、ハヤタ君!」
「た、隊長。我々は一体?」
「どうやらここはゴモラの腹の中の様だ」
「そんな、じゃあ我々は食べられてしまったんですか?」
「そうの様だな」
「そんな、、、くそ、私が操縦していればこんなことには、、、」
「ちょっと待ちなさい、それじゃ私が操縦を誤ったみたいじゃないか。ハヤタ君、君が私に
飛び掛らなければ、こんなことにはならなかったんだぞ」
「隊長こそ、あんな時に咲子さんとの結婚を許さないだなんて言わなければ!(泣)」
「、、、まぁこうなってしまっては仕方がない。、、、じゃあもう、あれをやりなさい」
「え、なんですか?あれって?」
「いやもう、いいから、そういうの。シュッとやりなさい」
「なんですか、それ?」
「君もあれだな、白々しいな。わかってるんだよ。君が、ね、あれだって」
「え、なんか、よく分かんないです。なんすか、それ?」
「だから、、もういいからそういうの。今はそういうことを言ってる場合じゃないんだよハヤタ君!早く変身しなさい」
「え、変身ってなんですか?」
「だから、、、あのねハヤタ君、実はもうねみ~~~んな知ってる、みんな」
「え、ちょっとよく分かんないな」
「なんなら隊員じゃない人も知ってる、一般の人も。みんな。君が、ね、知ってる」
「、、、、じゃあ隊長は、僕が、僕が、、それを知ってて、、、、そんなひどいや」
「ハヤタ君、だから早く、泣いてる場合じゃないから、どこにあるんだぃ?変身できる、あの棒状のやつは?」
「やめてください!穢らわしい!じゃあもうこの際だから言わせて貰いますけどね、今までほぼほぼ僕がやっつけてきたじゃないですか、怪獣!それ分かってたんなら昇格とか給料上げるとか、なんかあるでしょ?それをなんですか、知らないふりしてて『今日もありがとう』みたい感じで見送ってさぁ!」
「それに関しては、すまないと思ってる。昇格や特別手当も今、検討中だ。決定次第、報告するつもりだった」
「そんな都合のいいことばかり言って!信じられませんね」
「頼むハヤタ君、変身をしてくれ!」
「、、、、咲子さんとの結婚を認めてください」
「き、君!それとこれとは話が別じゃないか」
「別じゃないね!それを認めてくれれば変身してやってもいいですよ、どうしますか隊長さん?」
「君って男は、、、稀代の悪だな」
「なんとでも言うがいいさ!さぁどうする、娘を取るか、人類を取るか。どっちにするんだムラマツさんよ!」
「く、、、やむを得ん。娘はやる変身してくれ!」
「その言葉を待ってたぜ!シャワッチ!」
「ギヤーーオォォ~!、、、グギギギギギギ、、、」
「みんな見て!ゴモラの様子がおかしいわ」
するとゴモラのお腹が破れ、中からシュッワッチ!
「では隊長、いやお父さん!腹を割って話しをしましょう!」