見出し画像

名詞とnounの違い ーnounは名詞では無い 冠詞と名詞について2ー

英語のnounは日本語で『名詞』とされています。
OXFORD wordpower DICTIONARY for learners of Englishによると
"a word that is the name of a person, place, thing or idea: 'Jane', 'London', 'table' and 'happiness' are all nouns."
とあり、確かに日本語の名詞の意味とまったく同じです。
しかし、もし、日本語と同じ意味であれば、名詞というのはモノの名前であり、モノそのものであるから、一つの物質に対して「可算名詞」、「不可算名詞」二つの意味があるはずがない(物質を辞書で引くとたいてい両方載っている)。なぜなら、それは「数えられるモノ」、「数えられないモノ」と同意だからです。一つのモノに対して二つのモノがあるということはあり得ないという疑問が示されます。

さらに
マーク・ピーターセン著「日本人の英語」によると
「a(an)は、まるでアクセサリーのように正しく付けられるモノであるかのように思われるが、本当は逆である、ちゃんとした意味を持っていたのは"a second glass of the old Madeira"のglassではなく、そのaである」※Madeira:ワインの一種
「aという言葉で意味的カテゴリーをたててから、それに適切な名詞を探していくのが英語の思考プロセス。したがって、名詞にaを付けるという類の考え方は役に立たないどころか、その理解を妨げる」
とまで言っています。
つまり、モノはnounにない。実体はnounにないと言うことをネイティブが示唆しています。

ロス典子著「ネイティブの感覚で冠詞が使える」p73では
"Give me water!"では何を言っているのか分からず通じない。"Give me some water!"で、はじめてネイティブは水が欲しいんだなとわかる。waterの前に何も限定詞を使わないと、頭の中の抽象化しているイメージの水になってしまい意味が通じなくなります。というように解説しています。

ということは
an apple
some pieces of apple
some apples
some water
a cup of water

実在化しているのはnounの前にある限定詞ということになり、nounはラベルみたいなものと言うことになります。
日本語でも「一本の」と言ったら、細長い棒状のものを想像し、そのあとに「電柱」や「鉛筆」で実在化するのと同じようなものなのです。

いやいや、そんなはずはない。
「ちょ、待てよ」とキムタクでなくても言いたくなります。
例えば
久野暲/高見健一著「謎解きの英文法 冠詞と名詞」の例文の
There's lettuce, cucumber, apple, carrot and mushroom in this salad.

デイビッド・セイン著「英文法、ネイティブが教えるとこうなります」にも
She put (some) apple on top of the yogurt.
というネイティブが書いた例文があるではないか。
それだけではない、英和辞典、英英辞典もしくは絵辞典のCOLOUR VISUAL DICTIONARYはりんごの説明に絵や写真が示され、その真下に限定詞がないappleだけが記され、普通に実在しているモノでも、限定詞なく用いているではないか!

このことは、別の項目記事で後述する日本語と英語とのものの認知の違いの時に詳細しますが、簡単に説明すると以下の通りです。
(非常に都合の良いこじつけのように思えますが、後述する認知の違いについて、この『状況』と言うことが英語の物質認識に極めて重要な現象なってきます)

There'sーは話者と聞手は同じ現場にいて同じサラダボールを見ていて、ソレが両者ともわかる。
次文は、女性が持てて半固体のヨーグルトの一番上に乗せられる食べ物のリンゴということが状況としてわかる。
辞典については、実体のモノの説明といよりも、モノの概念の説明なのです。事実、よく流れてくるインスタ動画での単語説明にネイティブが、例えば、キッチンルームにて、指でさしてthe refrigerator、とかthe microwave、・・・etc。別のネイティブが公園でテーブルを指しa table、上に載っているりんごをan apple。一方、インスタ動画に文字apple、tableという無冠詞nounを書き加えて(単語を表示させ)発音を披露しています(時には文字ではなくて吹き出しで写真や絵を載せて)。これは、キッチンルームにいるという状況が、話者だけでなく視聴者にもわかり(キッチンルームには冷蔵庫や電子レンジは一台ずつしかない=the)、公園でテーブルやりんごが実在している(状況が視聴者にもわかり)から不定冠詞で示し、その後nounを提示しているのです。一方、画面上から実在していない、文字や吹き出しの絵には限定詞は用いていません。これは、辞典での概念説明と同じことなのです。

つまり、実体は限定詞であり、noun単体では体を表さないと言えます(これだけで、このような結論を導くのは早計だということは重々承知ですが、それは後述する項目で補完します)。

それでは、nounが名詞でないとすると、本記事最初のOXFORD英英辞典のnounの説明と矛盾するではないか!!
これは、物質の認識が、もっと、もっと根源的に日本語と違うということを意味していることに他なりません(これも後述する項目で補完します)。

結論
『noun≠名詞』であり、日本語の名詞では『名は体を表す』が、英語の『nounは体を表さない』

※言葉の二重基準(ダブスタ)問題について
nounを従来のように『名詞』とすると、言葉の概念に二重基準が存在してしまうことになり、理解不能に陥る重大な問題を孕むことになります(ワナにかかる)。なぜなら、日本語の名詞の意味でnounをくみ取ろうとすると、言葉の意味の判別基準が違うために理解を深めようとすればするほど、日本語の名詞の概念が邪魔をし、混乱してしまいます。それじゃ、反対に、英語の視点からnounの本質的意味を確立しようとすると、今度は日本語の名詞の概念の修正を強いることになるからです。
この言葉の二重基準を克服するためには、片方の基準をきれいサッパリ忘れ去るか、全く別物として認識し直すしかありません。
となると、日本語ネイティブの我々には、後者しか選ぶ道はありません。
つまり、名詞とnounは全く別物として認識し、その上で(英語の目で)物質を捉え直すしか無いのです。
いままでのように、日本語の名詞と英語のnounを同一視すると、理解不明の「混乱の螺旋」から抜け出せなくなるのです。
この重大なダブスタ問題を、まったく問題としないのは、極めて一部のギフテッドだけです。

ここまで読んでくれてありがとう。
お疲れ様でした。
あなたに幸あれ!!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集