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~第233回~「自然と須佐之男命」

自然の恵みは時に災害と隣り合わせでもあります。
自然界が私たちにもたらす恩恵も災害も、人の力が及ばない存在です。
そのため古来、日本人は自然に対し畏敬の念を持って接すると同時に、多くの恵みを与えてくれる有り難い存在として感謝して生きてきました。
武蔵一宮氷川神社の主祭神・須佐之男命は、この自然の良さと怖さの双方を伝える神様です。

須佐之男命は八岐大蛇退治や国宝・草薙剣(天叢雲剣)を発見した神として、また、日本で初めて和歌を詠まれた神としても知られています。
それと同時に、民間信仰としては自然現象を司る神、疫病退散の神としても知られており、その御姿は神話で知ることができます。

日本神話において須佐之男命は、母親のイザナミが恋しいと子どものように泣き叫んでいました。
そのために青々とした山も枯れ果て、悪い神々があふれ出し、あらゆる災いが起こり周囲に広がっていきました。
山が枯れる…つまり須佐之男命の神話は自然災害の恐ろしさを伝えています。

またある時、須佐之男命は自身に食べ物を差し出してくれたオオゲツヒメを斬り倒してしまいます。
ですが、結果としてオオゲツヒメの体から生まれたのは私たちが主食としている様々な穀類でした。
稲をはじめ、穀類は刈り取らねば食べることは出来ません。
須佐之男命は穀類の収穫についても私たちに教えてくれます。

自然を司るということは、自然の中で発生する疫病にも関わるということ。
ですから疫病退散の祈りも須佐之男命への祈りに込められるようになりました。

私たち日本人の自然界への畏怖と感謝の心。
須佐之男命の神話はそういった日本人の心の顕れでもあるのです。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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