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~第113回~「茅(ちがや)の話」
夏越しの大祓での茅の輪くぐりは、スサノオノミコトの神話に由来する全国で行われる神道儀礼です。
茅は粽(ちまき)にも用いている植物で、もともと殺菌や防腐の効果があります。
また、尖った葉は邪気を防ぐとも信じられてきました。※氷川神社の粽は真菰で作ります 茅は信仰の中だけではなく、私たち日本人の生活に欠かせない存在。
茅は耐水性が高いため、茅の茎は屋根を葺くのに好適な材料として重宝されました。
その屋根は茅葺屋根と言います。
2020年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、この茅葺屋根を始め日本の宮大工らが継承する「伝統建築工匠の技」を無形文化遺産に登録するよう勧告しました。
茅は神事だけでなく、私たち日々の生活をあらゆる面から支えてくれる植物で、茅の技術は世界的にも評価されているのです。 さて、その茅を用いる茅の輪くぐりについて。
武蔵一宮氷川神社の茅の輪で用いる茅は、地元に自生している見沼の茅を用いています。
見沼の田んぼの中で茅を管理し、その田んぼから刈ってきて茅の輪を作っております。
刈った茅は約一週間ほど時間をかけて乾燥させ、その後、茅で編んだ紐と竹と麦わらで真ん中の芯の部分を作り、その周りに乾かした茅を紐でしばり完成させます。 さらに氷川神社では、一つではなく二つ作ります。
全国の多くの神社では、茅の輪は参道の真ん中等に一つだけ設置されていますが、武蔵一宮氷川神社では神橋の真ん中と、帰り道である下向道にそれぞれ設けてあります。
主祭神のスサノオノミコトは祓いの神であり、茅の輪神事の由来の神様ですので、それだけ念には念を入れて大祓行事をするのです。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕