~第65回~氷川風土記 「神楽土鈴の話」
神社で受けられる御札・御守り等を「授与品」と言います。
そのような授与品をホームページでも紹介しておりますが、その中に「神楽土鈴」があります。
神社と鈴は深い関わりがあります。
日本の音具(発音道具)の中で最も種類や数が多いのは鈴と言われております。
古墳時代(4~6世紀頃)頃の鈴も見つかっており、大陸から朝鮮半島経由で製作技術が日本へ伝わってきたようです。
鈴のその涼やかな音色は、いつしか魔除けの効力があると信じられるようになりました。
そもそも鈴は「金」と「令」から成り、「ひざまずいて神のお告げを受けている人の形『令』」と「神様を呼び、また送り出すときに用いる『金』属(楽器)」を表しており、また「涼しげな音の鳴る金属」を意味するとも言われていますので、古代から神と寄り添う楽器であったようです。
全国各地の神社にも、拝殿の中央に銅や真鍮製の大きな鈴が吊られておりますが、これも音色の呪力が信じられているからこそ。
この鈴の清々しい音色で参拝者を敬虔な気持ちにするとともに、参拝者を祓い清め、神霊の発動を願うものです。
巫女が神楽を舞う際にも神楽鈴を用います。
古くは巫女が神楽を舞うことにより神憑りして人々に神の意思を伝えており、鈴はこのために必要なものとされていました。
また、神楽舞の後に参拝者に対しておこなわれる鈴振りの儀は、祓い清めの意味があります。
御守りなどの授与品に鈴が用いられるのは、魔除けや厄除けの呪力を信じた古代日本人の心が今に伝わっている証なのです。
氷川神社の神楽土鈴は全部で9種あり、いずれも可愛らしい鈴です。是非一度ご覧下さい。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕
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