~第209回~「祭礼つれづれ」
5月は9日の「御鎮座祭」に続き、21日に「道饗祭(みちあえのまつり)」を行いました。
御鎮座祭は御鎮座の日を寿ぎ、益々の御神威を願って行い、道饗祭は疫神掃却の神事として、本殿祭の後、神楽殿にて斎場祭を行いました。
道饗祭は神祇令に季夏・季冬の祭祀とされる祭です。
季夏・季冬と書くと分かりづらいと思いますが、要は古く毎年6月と12月に京城の四隅において行われた祭りでした。
疾疫がある時は京の都に限らず、諸国にて臨時で執り行われました。
「京の都にかぎらず」と書きましたが、そもそも京で行われた祭りであるためです。
『令義解』では卜部(うらべ)らが京の都の四隅道上で祭るもので、外から来る鬼魅が京師に入らぬよう、予め道に迎えてもてなすものとしています。
このおもてなしをする場を「饗庭」(あえば)と言います。
姓氏研究家・森岡浩氏によると、地名やそこに住んでいた「饗庭」氏も各地に残り、結果、現在も名字にもなっているそうで「現在は関東南部に多い名字で、千葉県に最も多い」そうです(参考/神戸新聞2022年7月2日)。
名字にも関わりがある道饗祭ですが、『延喜式』巻第八には、道饗祭の祝詞が記されてあり、そこには高天原に起源を発する神事と書かれています。
道饗祭は日本の神世より伝わる祈りでもあるのです。
同じく神世から今に至るまで私たち日本人を災厄からお護りくださる須佐之男命を主祭神とする武蔵一宮氷川神社は、令和10年(2028)御鎮座2500年祭を迎えます。
これまでの2500年、これからの2500年。
神への祈りと感謝の心を変わらずに抱き続けたいですね。
〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕
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