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音楽に連れられて。アイルランド一人旅。〈3〉

2日目。朝起きても、初日の夜にやってきた嵐がまだおさまっていなかった。後に、この嵐でアイルランド国内で観測史上最強の風が記録されたことを知る。西部ではその被害も大きかったという。

アイルランド全域に警報が発令されていた。

ホステルの1階にあるカフェは、嵐に足止めされ、時間を潰すほかなくなった人たちでいっぱいだった。わたしも、この日は教会や図書館、お城など、Dublin市内をあちこち観光する予定だったけど、施設は軒並み休業ということで、諦めて昼前までゆっくりすることにした。

冬に入りフィンランドではあまり見かけなくなったカモメ。あなたたちここにいたのね。

旅先ではいつもカメラといっしょに、時間の許す限りまちなかを散歩する。ホステルを出て、嵐が大方おさまり、静かなDublinの中心市街地を歩いた。Dublinはチェーン店が多かったり、路上がきれいとは言えなかったり、正直なところ街並みにはあまりときめかなかった。だから写真がとても少ない。

かろうじてカメラロールに残っていたDublinの街並み。

夜は耕三さんに便乗して、TRAD FESTのプログラムとして開催される教会でのコンサートへ行くことにしていたので、それまで、食事をとりつつ、目的なく歩いて時間を潰した。パブがひしめくTemple Barと呼ばれるエリアでは昼からライブが行われていた。音楽が漏れ聞こえてくるパブにふらっと入り、何かノンアルを頼もうとすると、冷蔵庫を確認した上で、ないと言われてしまった。水でもいいのだけど、本当に何もないのか…。アイルランド人にとっては、ビールが炭酸水みたいなものなのだろう。

それにしてもギネスのきめ細やかな泡がうつくしい。

夕方、教会でのコンサートの前に、これもまたTRAD FESのプログラムで開催されていたギグへ。前日の学びを活かし、ハーフポンドのギネスにポテトをオーダー。演奏が始まる様子がなかったので、店員さんに尋ねると、2階にステージがあるといい席に案内してくれた。

この日はTRAD FESの開催日だったけど、きっとイベントに関係なくセッションが行われ、ふらっと飲みに行けば、毎日どこかしらで生の音楽が聴ける。とてもうらやましい。途中まで楽しんだところで、コンサートの時間が迫ってきて、次の会場へと移動。ライブのはしごってなんて贅沢なんだろう。振り返れば、4日間の旅で5、6か所のパブをはしごした。

教会でのコンサートでは、パブでの賑やかなセッションとは打って変わって、神聖な会場の空気にふさわしい、女性5人組の天使のような歌声に浸り、すっかり心が浄化された。

ところで、2泊目に宿泊したホテルwren urban nestがとてもよかった。いつも旅行は節約、節約でドミトリーかAirbnbで我慢するけど、それなりに長旅になるので1泊だけ満足できそうなところをとっていたのだ。それが大正解。ホテル全体のナチュラルなデザインがわたしのタイプだったのが大きい。アメニティのシャンプーやボディソープもいい香り。部屋にサービスで置かれているコーヒーや紅茶もローカルなものだった。いつかまたDublinに来ることがあれば、頑張って全泊ここに泊まりたい。

快適なベッドでDublin2日目の夜を過ごし、翌日からは旅の後半の拠点、Galwayへ。Googleマップでホテルのすぐそばに早朝からやっているカフェを見つけて、翌朝はそこでスコーンをテイクアウトすると決めて、眠りについた。

〈4〉へつづく>>

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Eriko Sugita
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