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とり憑かれるということ(ブルース・チャトウィンとヘルツォーク)/一日一微発見320

神保町の岩波ホールが54年の歴史を閉じるという。熱心に通い詰めたわけではないが、ハリウッド中心の映画とは異なる「眼」や「物語」を提供してくれる場がなくなるのは残念だ。

ラストショーでヘルツォークが撮ったチャトウィンの映画というのは、なんと奇妙な因果なのだろうか。

岩波ホールがなくなったとしても映画による世界の画一化に対するレジストは消えることはないし、続けなくてはならない。

さてお目当てのチャトウィンの映画である。
これは彼の生涯をヘルツォークが追走した映画である。『パタゴニア』や『ソングライン』にある時期に心奪われた人は日本にも沢山いるだろう。会場には、極端に若い人は少なかったが、岩波ホールは満席に近く、チャトウィンの人気の根強さが感じられた。

しかし結論から言えば、これはチャトウィンにとりつかれたヘルツォーク主演の映画であった。それがダメと言うのではなく、実に切実なものだった。それに圧倒されたといってよい。

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