マジックタッチについて/一日一微発見164
この数日、電車の中や仕事の合間に、『みみずくは黄昏に飛び立つ』を読んでいる。
川上未映子さんが村上春樹さんに超ロングインタビューしたもので、3年ほど前に出たけれど、僕が読んでいるのは、2019年の追加の最新インタビューが加わった文庫版である。
これから何回か書いてみようと思う。
僕は村上春樹さんの小説は好きだ。同時代感をとても感じるからだ(同世代感ではない)。
そしてこの時代の「小説」「物語」のあり方、力の創出について、とても共感する。
つまり、モノやコトに向かう手法に共感があるのだ。
まだ読み始めの方だが、「比喩」と「壁抜け」と「マジックタッチ」という重要なキーワードが出てくる。
僕らの時代はあまりヒロイックではない(とはいえ、世界的には、トランプやニューライトのように、強引にヒロイックなのだが)。
世界に偏在するモノと人間が、等価な時代なのだと思う。
おまけに、すべてのものは出そろってしまっていて、コロンブスの頃のような「未知の大陸」はもう地上には存在していない。
未知とは、ファンタジーなのだ。
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