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澤田知子『狐の嫁いり』/目は旅をする035(写真の未来形)
澤田知子 『狐の嫁いり』青玄舎/東京都写真美術館刊
2006年に、大阪の現代アートの拠点だったキリンプラザ大阪で澤田知子の写真展『MASQUERADE』をプロデュースした。それ以来、事あるごとに彼女の写真を興味深く見続けてきた。
彼女の作品は、まず1998年に大学の卒業制作として発表された『ID400』(写真集は2000)をあげなくてはならない。僕もその写真集で彼女を知ることになったのだが、これは今を持ってしても傑作だと思う。
『ID400』は実に新鮮で、それまでの「写真」についての考えを変えた。作品は澤田が化粧や髪型、ファッションを変えて、街中にあるオートマットの証明用写真機で撮影したモノクロ写真である。そのコスチュームプレイのそれぞれは、写真として単純に面白いが、そのこと以上に、その写真が機械によって自動的に撮影され、なおかつ「証明写真」という社会における認証システムを批評しているところにあった。
この写真がキャノン写真新世紀特別賞や、第29回木村伊兵衛写真賞そして、アメリカの国際写真センター(ICP)の「インフィニティー賞」を受賞したことでもその重要性がわかると思う。
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