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18日後に新刊を出す植本一子(2024/11/13)

朝から訳あって墓参り、まったく知らない人の。そのまま自転車で9時半オープンのバゲット屋さんへ朝食を買いに行く。ハムチーズサンドと板チョコサンドを注文、バゲットの値札に「今の僕のすべてです」と書いてあり、もちろん1本購入。昨日の夜も思ったけれど、11月の中旬とは思えないくらいの暖かさで、乾いた空気と日差しが気持ちいい。大きな公園を通りかかって、画家の狩野岳朗さんがいないかなと目で探す。狩野さんの出没ポイントが近くにあるのだ。数年前の夏に一度、そこで待ち合わせておしゃべりをしたことがある。公園には大きな白いボルゾイ(立ち上がったら人間と同じサイズ)を5匹も散歩させている人がいて、思わず2度見する。帰り道にある青木さんちに板チョコサンド差し入れ。

家に戻って日記書き。お昼に食べようと思って適当に作った弁当を、テスト週間で昼前に帰ってきた娘に譲り、13時前に家を出る。今日は14時からカウンセリングを予約しているのだ。約半年ぶりの再開で、どのルートで行こうか迷いながら北参道まで。乗り換え時にエスカレーターで左側に立つ時、毎回砂鉄さんのことを思い出す。本当は右側のレーンも立つことを推奨されているけれど、自然と右側は歩く人のために空けられている。大阪に行けば左右が逆転する。砂鉄さんは右側に立つ運動を時々しているとラジオで言っていて、自分には怖くて真似できない、とせめて毎回左側に立つようになった。前は平気で右側を登っていた。自分も砂鉄さんと同じように行動できたら、と思うけれど、勇気がわかない。だから最近はそんな自分から目を逸らすように、階段を使ったりもしている。

そんなふうに自分の行動を律するきっかけになる言葉をくれた人が何人か思い浮かぶ。ECDから聞かされたスティービー・ワンダー前座事件もそのひとつで、私はこの話を後世に語り継ぎたい(『かなわない』のどこかに書いてあります)。

カウンセリング。事件に巻き込まれたことについて、時間が経ち、もう一度向き合う気持ちになったのだと思う。自分の話を聞いてもらう場の重要さを改めて感じる50分だった。先生と進んでいけば、きっと回復できるだろう、と安心している。直接のことは書いていないけれど、事件後の自分について書いた今回のエッセイ集をこうして作ることが出来たのも、きっと大きな一歩のような気がする。

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