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34日後に新刊を出す植本一子(2024/10/28)

天気が悪いだけで元気が出ない。朝起きて、ランチ(今時珍しい500円のワンコイン寿司)の約束をしていたよっちゃんに延期したいと連絡。会えばそれだけで楽しいし、今よりも元気が出るのはわかっているのだけど、そもそも誰にも会いたくないような気持ち。おとといの夜のことがまだ尾を引いている。よっちゃんにも話を聞いてもらいたかったのだけど、このことを話すのにも力が出ないというか。完全に何かを奪われてしまったような。

数年ぶりにマックのデリバリーを注文。朝マックでいつも注文するあまじょっぱいやつを食べ、特に元気が出るわけでもなく、むしろちょっと落ち込むような気さえする。村上春樹の小説とエッセイを交互に読みながら、本があって良かったと思う。孤独を感じる時、今までは人にどうにかしてもらおうと思っていた。むしろ、孤独は人でないと癒せないとさえ思っていたふしがある。でも今回、人から傷つけられたことで、一気に人間というものが嫌になってしまった。たったひとりの人からの言動であり、その人だけを嫌いになればいいだけなのに、あんなふうに傷つけられる可能性があると思うと、もう怖すぎて殻に閉じこもってしまいたくなるような。そんな孤独にも、本は寄り添ってくれる。孤独に人は効かない、本は孤独のためにある……と、こう考えてしまうのも天気のせいが大きいのだろう。きっと数日経てばまた人を求める気持ちが出てくる。

うずしおからLINEが届き、池袋の映画館で『ユリイカ』と『CURE』が上映されていることを教えてくれる。私の好きな映画ランキングを作ったらどちらもトップテンに入る作品で、一度は映画館で観たいと思っていた。ユリイカは明日の上映を残すのみで、撮影終わりに行けるかどうか、4時間の上映におしりが耐えられるかどうか。

本を読むことにも疲れたので、気晴らしに料理。明日映画に行くことを想定して作りおきを用意する。里芋の煮っ転がし、こんにゃくのピリ辛炒め、青梗菜の塩炒め。冷蔵庫のありものの野菜でシチューを煮込みながら、久しぶりにカウンセリングに行こうと思いつく。約半年前に行ったのが最後で、通うのをやめることを前向きに決めたのも自分だったけれど、この前の出来事で、まだまだ傷は癒えていなかったというか、自分の中に今も大きく、醜く置いてあることがわかった。これを抱えながら生きていくのはかなり厳しいものがある。それに気づけたことが、今回傷をえぐられたことの唯一の良い面かもしれない。

とくさんから送られてきた馬の動画を繰り返し眺めていると、ふと「馬は私を一人にしない」と思った。



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植本一子
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