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その日の夜、エラはなかなか寝つけなかった。一日中働きづめで体は疲れているが、明日街に行くことを考えると緊張して目が冴えてしまうのだ。 エラは生まれてこの方、一人で街に行ったことがない。小さい頃に両親と訪れたことは何度もあるが、御者や侍女が一緒だったし、街の中でも貴族達が集まるような場所しか足を運んだことがなかった。 自分にできるのがろうか。そんな不安が頭をもたげ始める。しかしエラは同時に、今までにない高揚感も感じていた。何かが起きそうな気がする。そんな期待めいた予感が彼女