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あなたは「かわいい」の妖怪ですか。

Hey Monster それホントにかわいいの?
Hey Monster ひとりの時もその笑い方なの?
Hey Monster その黒目はどこ向いてんの?
Yeah Pretty Monster
(平井堅 『かわいいの妖怪』)



イヤホンからランダムに流れてきた1曲に、つい「言い得て妙!」と叫びそうになった。

「かわいいの妖怪」、私たちの悩みを一言で言い当てるのに最高の言葉だと思う。





今の時代には「かわいい」が溢れすぎている。

インスタを開けばお洒落で可愛い人たちの写真がいっぱい、街に出ればキラキラのアクセサリーや最先端の服がいっぱい。

誰にだって「かわいい」の門戸が開かれている、そう思えばいい時代なのだけど。

植物が水をもらい過ぎると根腐れをおこすのと一緒で、否応無く押し寄せてくる「かわいい」の波は時に人を圧迫してしまう。

個性的なものはたくさんあるけど、ありすぎて自分は何が好きなのか、何が良いものかわからない。選べない。

だからみんなの言う「かわいい」を必死で追いかけて、流行の服を着て、いつの間にか見た目に関する個性が薄まっていく。

そう感じたことはありませんか。

私は幸いなことに軽度の「かわいいの妖怪」程度だった。決して容姿が整っているわけでも、お洒落のセンスがあるわけでもない。ただそれほどこだわりがなかったのと、環境がそうさせたんだと思う。

私の周りには容姿について語り過ぎる人がいなくて、それぞれ好きなように好きな格好をしていた。良くも悪くも無関心。だけどそれがどれほど幸せなことだったのか、今ならわかる。

それに私が中高生だった時代には、まだSNSがあまり普及していなかった。スマホを持っているクラスメイトも少数だったし、TwitterやInstagramもそれほど流行っていなかった。

「かわいい」の情報過多になる場面が少なかったのだ。

しかし今はどうだ。中高生どころか小学生の頃から身近に腐るほどの情報源があって、雑誌を買ったり東京に買い物に出るなど特別なことをしなくても「かわいい」が勝手に降ってくる。

もうお腹いっぱい、食べるのをやめよう。そう思えるまでに、少なくとも私は20代中盤くらいまでの時間を要した。「うちはうち、よそはよそ」は肝っ玉母ちゃんの定番の台詞だけど、10代の若い子に「受け入れろ」というのは難しい話。

押し寄せてくる「かわいい」の波に押し負けないように流行の服で防御して、無難で浮かない髪型で擬態する。話に置いてかれないように逐一インスタチェックして、細い子を見てダイエットをする。

無理していませんか。

もちろん好きで楽しんでお洒落をしているなら構わない。でも、もしも「かわいい」が足枷になっているなら、外してあげてもいいんじゃないかな。





私が唯一好きだと言えるユーチューバーさん、整形アイドル轟ちゃん。整形自体には特に興味はないけど、彼女の話は純粋に感心すること、聞いていて前向きになれることが多いから好き。

そんな彼女の書籍「可愛い戦争から離脱します」。

総額1000万円にもなる整形を繰り返してきた彼女の過去は壮絶で、どれだけの辛い思いをしてきたんだろうなぁと考えてしまう。

そして同じことで悩んでいる人はきっとたくさんいると思う。

轟ちゃんが自分自身をどう思っているかは分からないけど、私は彼女を可愛いと思うし、前向きにお洒落を楽しむ彼女を見るととても安心する。

女の子は世間の「かわいい」の濁流に流されすぎて、自分の「かわいい」に気がつけていない人が多いのかもしれない。

努力している女の子は魅力的だけど、ゆるりと脱力した笑顔の女の子だって充分素敵なのに。





なんだかすごく上から目線のような文章になっていたら嫌なのだけど、私は純粋にそう思う。

自分自身も「もっとキレイだったら」とか「スタイルがよかったら」と思わない訳じゃないけど、心にゆとりがある時の「かわいい」が一番楽しい気がするから、私はそうやって生きていきたい。






早くあなたがあなたの「かわいい」に気づけるといいですね。




✳︎


ちなみに紹介した書籍「可愛い戦争から離脱します」は、note上で試し読みができるそうですよ。私もそこで知りました。(SNSをマメにチェックする方じゃないので直前まで知らなかった…!)

「かわいい」に悩んでいる人は開いてみると良いのでは✳︎

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