いちご農家になるための補助金①
こんばんは。翔です。
これまででいちご農家になるためには基本的に3000万円以上の資金が必要という事が明らかになりました。
そして、新規就農の際に利用できる補助金や融資がいくつかあるということも訪問したいちご農家さんから学びました。
そこで今回は新規就農者が借りることができる補助金について調べてみました。
補助金についてまとめているサイトはいくつもあったので、調べることは比較的容易でした。大体まとめるとこんな感じ☟
①農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)
A:準備型
B:経営開始型
②強い農業・担い手づくり総合支援交付金
地域担い手育成支援タイプ
③荒廃農地の再生等に活用可能な事業〜都道府県、市町村単独事業〜
④ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
⑤IT導入補助金
⑥小規模事業者持続化補助金
⑦地域雇用開発助成金
今回はまず、①農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)について紹介したい。
①農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)について
農業次世代人材投資資金には準備型と経営開始型の2種類ある。
準備型
”都道府県が認める道府県の農業大学校等の研修機関等で研修を受ける就農希望者に、最長2年間、年間最大150万円を交付”
引用:農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金):農林水産省 閲覧日:2020年4月3日
経営開始型
”新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまで最長5年間のうち、経営開始1~3年目は年間150万円、経営開始4~5年目は年間120万円を定額交付”
引用:農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金):農林水産省 閲覧日:2020年4月3日
一般に脱サラして新規就農を志す方が多い。そういった方が農業の研修をして、経営が軌道に乗るまでの期間をサポートしてくれるという補助金である。
しかし、これらの補助金を利用するにはそれぞれ以下の要件を満たす必要がある。まずは準備型の要件がコチラ。
準備型の交付対象要件
① 就農予定時の年齢が、原則49歳以下であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
② 独立・自営就農または雇用就農を目指すこと
③ 親元就農を目指す者については、研修終了後5年以内に経営を継承するか又は農業法人の共同経営者になること
④ 都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
⑤ 常勤の雇用契約を締結していないこと
生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
⑥ 原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
⑦ 研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること
(注1)返還の対象
① 適切な研修を行っていない場合
交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合
② 研修終了後
1年以内に原則49歳以下で独立・自営就農又は雇用就農しなかった場合
準備型の交付を受けた研修の終了後、更に研修を続ける場合(原則2年以内で準備型の対象となる研修に準ずるもの)は、その研修終了後
③ 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合
④ 親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合又は農業法人の共同経営者にならなかった場合
⑤ 独立・自営就農者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合
(注2)交付対象者の特例
国内での2年の研修に加え、将来の農業経営ビジョンとの関連性が認められて、海外研修を行う場合は交付期間を1年延長する
交付主体
都道府県、市町村、青年農業者等育成センター、全国農業委員会ネットワーク機構
引用:農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金):農林水産省 閲覧日:2020年4月3日
準備型の交付対象要件の中で特に注目すべきは、研修が必要となること。
そして研修中、サラリーマンやアルバイトで雇用されることはできないため、交付される150万円で1年間の生活費を賄わなければならないという点である。
また、第二の人生として就農を夢見る50歳以上の方は受給の対象外となることも押さえておきたい。
そして、前年の世帯所得が600万円以下でなくてはならないため、共働きの世帯や、親と同居している場合は給付されないケースがあるので要注意である。
次に経営開始型の要件がコチラ。
経営開始型の交付対象要件
① 独立・自営就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること
② 独立・自営就農であること
自ら作成した青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている状態を指し、具体的には、以下の要件を満たすものとする
農地の所有権又は利用権を交付対象者が有している。
主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りている。
生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引する
交付対象者の農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理する。
また、親元に就農する場合であっても、上記の要件を満たせば、親の経営から独立した部門経営を行う場合や、親の経営に従事してから5年以内に継承する場合は、その時点から対象とする。
(親元に就農する場合は、新規参入者と同等の経営リスク(新規作目の導入や経営の多角化等)を負い経営発展に向けた取組を行うと市町村長に認められること。)
③ 青年等就農計画等※が以下の基準に適合していること
独立・自営就農5年後には農業(自らの生産に係る農産物を使った関連事業 <農家民宿、加工品製造、直接販売、農家レストラン等>も含む。)で生計が成り立つ実現可能な計画である。
〇農業経営基盤強化促進法第14条の4第1項に規定する青年等就農計画に農業次世代人材投資資金申請追加書類を添付したもの
人・農地プランへの位置づけ等
④ 市町村が作成する 人・農地プラン (東日本大震災の津波被災市町村が作成する経営再開マスタープランを含む。)に中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置付けられることが確実であること)。
または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること。
⑤ 生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していないこと。また農の雇用事業による助成金の交付又は経営継承・発展支援事業による補助金の交付を現に受けておらず、かつ過去にうけていないこと。
⑥ 原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
(注1)交付対象の特例
① 夫婦ともに就農する場合(家族経営協定、経営資源の共有などにより共同経営者であることが明確である場合)は、夫婦合わせて1.5人分を交付する。
② 複数の新規就農者が法人を新設して共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円を交付する。
(注2)以下の場合は交付停止
① 原則として前年の世帯所得が600万円(次世代資金含む)を超えた場合
② 青年等就農計画等を実行するために必要な作業を怠るなど、適切な就農を行っていないと市町村が判断した場合
(注3)以下の場合は返還の対象
交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合
交付主体
市町村
引用:農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金):農林水産省 閲覧日:2020年4月3日
経営開始型の注目すべき点は、前年の世帯所得が600万円(次世代資金含む)を超えた場合、交付停止となることだ。これを元に簡単に計算してみよう。
(農業所得)=600万円(世帯所得)-300万円(配偶者or同居の親の所得)
-150万円(次世代資金)
= 150万円
つまり、配偶者や同居の親といった稼ぎ頭がいる場合、農業所得が150万円を超えた時点で交付が停止されてしまうことになる。
また、配偶者や同居の親がいない場合は農業所得が450万円を超えた時点で交付停止となる。(次世代資金を最大の150万円もらっている場合)
さらに、元々共働きで前年の世帯所得が600万円の場合も交付されないので注意したい。
ここまで調べてみると、低所得の若者や、独身者を対象とした給付金であることがわかる。
新規就農者は減少傾向なのだからもう少し手厚いサポートが欲しいところではあるが...。
知っておきたい落とし穴
ここで農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)の落とし穴を紹介したい。
それは、農地の借用についてである。
農業次世代人材投資資金を利用する場合、農地は交付対象者が所有(借用)していなければならない。しかし、準備型による研修期間中の農地借用は”就農”とみなされてしまうため不可能となる。(果樹などの収穫までに年数を要する作物に関しては例外となる場合がある。)
就農するためには事前準備が必要となるため、農地を所有して土づくり(露地栽培の場合)やハウスの設営(施設栽培の場合)を行いたいところ。しかし、経営開始型が始まってからそれらを着工しなければならないとったところが、落とし穴となる。
おわりに
農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)は令和3年に改定したばかりなので、今回の内容は新規就農を志す方は是非チェックしておきたい内容だろう。
次回は②強い農業・担い手づくり総合支援交付金について調べようと思う。