【コラム】フィットネスジムと冷凍冷蔵倉庫市場

簡易型ジムのチョコザップがあちこちで開業していますが、最近はチョコザップ以外のフィットネスジムの開業を見かける機会が増えました。チョコザップの積極的な営業スタイルと相次ぐ開業がフィットネスへの興味を喚起し、さまざまな客層の潜在的なニーズを掘り起こした結果、フィットネス市場そのものが拡がっているように感じます。

最近の物流分野で勢いがあるのは冷凍冷蔵倉庫です。品質が向上した冷凍食品の販売は伸びていますし、酷暑による貨物の品質劣化の懸念もありますので、常温を含めた冷凍冷蔵倉庫へのニーズが拡大しているのは間違いありません。また、老朽化した冷凍冷蔵倉庫やフロン規制への対応から建替えの必要性も生じています。

弊社調べでは、主要なプレイヤーが運営する賃貸型の冷凍冷蔵倉庫(常温含む)はすでに100物件近くありますが、これまでは特定テナント向けに開発されたBTS型物流施設が大半で、テナント募集がされることはあまりなく賃貸市場に出回ることも少なかったです。しかしながら、この半年ほどは冷凍冷蔵仕様のマルチテナント型物流施設の開発発表が相次ぎ、賃貸型の冷凍冷蔵倉庫の認知度が急速に高まっています。

冷凍食品などを扱う低温物流自体が堅調とはいえ、日本国内は人口減少社会に突入していますので、低温物流ニーズそのものが大幅に拡大することは想定しづらく、結局のところ、冷凍冷蔵倉庫でも“自社所有”ではなく、“賃貸”という選択肢が認知され活用されるかどうかが、不動産投資市場として成長するかどうかの分岐点となります。

これまでになかったようなスケールの冷凍冷蔵倉庫の大規模開発がありますので、供給過剰の懸念が少し拡がっているようですが、冷凍冷蔵倉庫でも“賃貸”という選択肢が取りやすくなければ、ドライ貨物をメインに取り扱う物流会社が低温物流業界へ新規参入しやすくなりますし、すでに参入した企業の業容拡大にも賃貸物件の活用は寄与します。フィットネス市場と同様に、潜在的なニーズを掘り起こせるかどうかが肝で、これから各地で立ち上がる大規模な冷凍冷蔵倉庫は、いやが応でも目に入り、それに合わせたPRやネット記事も増えてきます。しばらくは認知度向上→新たな客層の拡大→賃貸型の冷凍冷蔵倉庫市場の拡大という好循環が見込めると弊社では予想しています。


本稿は株式会社一五不動産情報サービスが運営する、開発が相次ぐ賃貸物流施設に関する情報を集約したウェブサイト「一五蔵」のメールマガジンで投稿されたコラムです。
一五蔵
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