【コラム】物流関連二法
物流関連二法が4月26日に参議院で可決・成立しました。具体的には「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(通称:物流総合効率化法)」と「貨物自動車運送事業法」の一部が改正され、一定規模以上の荷主には、中長期計画の作成や定期報告等に加え、物流統括管理者の専任も義務付けられました。また、物流業界の多重下請け構造への対策として、元請けに対し実運送体制管理簿の作成を義務付けました。
本改正では今後の人口減少社会に向けて、トラックドライバー不足等による物流停滞に対応していくために、荷主と物流企業に対して、アメとムチを用意して、その対策を促していく内容になっています。規制対象は荷主と物流業界になりますが、(物流)不動産業界の実務にも、いろいろと影響してくるでしょう。
まずは、法律名(通称)の変更が気になります。「物流総合効率化法」から「流通業務総合効率化法」に変わりますので、いわゆる物効法(ブッコウホウ)という略称が、どのように変化するのか(しないのか)、今から気になります。
もうひとつ気になるポイントは、物流業務の外部委託と内製化のバランスです。荷主の物流業務は、外部委託が積極的に推進される時期と、その揺り戻しで内製化に向かう時期があり、この数年は荷主が物流分野に積極的に関与するよう求められていますが、この物流関連二法はその流れを後押ししそうです。その一方、株式市場からの圧力を背景に、資本効率の観点からノンコア(非中核)事業は切り離す動きも増えており、物流子会社の売却はその典型的な事例です。相反する力学が荷主企業に及んでいますが、荷主企業それぞれで最適解は異なり、不動産戦略にも間違いなく影響します。これまで以上に、荷主と物流企業の関連性や協力体制などを丁寧に観察し、それぞれにコミュニケーションを取っていく必要がありそうです。兎にも角にも物流業界は課題山積していますので、しばらくはやりがいのある仕事がたくさんありそうです。
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