宝くじ魔法学校
「当たってる」
あの日、サンタ服のおじいさんから買った宝くじは下二桁は33だった。スマホに表示されている番号と一致していた。
「魔法学校合格書?」
せっかくだから、と発送手続きを済ませると1週間後、トナカイが窓を叩き割って入ってきた。
「どうぞ」
トナカイのソリで空を飛んでいると、周りには俺の他にも無数のトナカイが見えた。着いた場所はグリーンランドだった。
「あ〜はいはい」
魔法学校とは、サンタを育てる学校だった。宝くじが当たった俺たちは、サンタ養成学校に入学した。そして30年という月日を重ねた頃には、俺たちのアゴにはふさふさと真っ白な髭が生えていた。
「世界中の人に夢を配れるんだ」
卒業式を終え、先輩と初仕事に向かうと、先輩が降り立ったのは名古屋駅の前だった。
先輩は紙切れの束を渡した。『年末シャンボ宝くじ」と書かれていた。
「よく見とけ」
一枚いかがですか、と声をかけまくる先輩。何度無視されてもへこむ様子をみせなかった。