在宅勤務の功罪
在宅勤務が始まり、怠惰な時間を貪るための己の四畳半に於いて、
労働に勤しむことに慣れてきた。
寝転ぶためのソファーでのPC作業は疲れるので、
フジロック用の折りたたみチェアを使い、なんとか凌いでいる。
ひさびさに職場に出勤すると、PCの画面の大きさに、
この画面で映画鑑賞したいと思うとろくでもないことを考え、
椅子の座り心地の良さにうっとりさえする。
出勤前ぎりぎりに洗濯物を干したり、退勤後洗濯物を畳める幸せ。
時間があるので、八百屋さんやお肉屋さんで買い物できる幸せ。
難しい顔しても暑かったら裸足で仕事できる幸せ。
これまで娯楽のみに使用されていた私のマックも今では労働を課せられている。
単語の予測変換は仕事の用語で溢れ、仕事以外の時間にそれをみて、
ひとり鳥肌が立っている。
在宅勤務ならではの功罪がそれぞれある。
在宅勤務による労働のせいなのか、関係ないのか、
私がマックに遊ばれているのか、言葉を変換するときに、
絶対その選択肢はないだろうという変換を提案してくるマックさん。
メール本文に「放念してください」という文言を打っていたら、第一候補が法然。
確かに私は仏像が好きだけど、ビジネス文章で法然がでてくるなんて
お寺関係か歴史関係の人しかありえない。
法然してください。
南無阿弥陀と唱えよ、そうすれば死後に極楽浄土にいけるという意味だろうか。
第二候補がこれ。
豊年してください。
つまり、昨年までは農作物の実りが悪くて、大変でしたね。
今年こそは豊年になるように、とお天道様にお祈りするという意味だろうか。
どちらも有り得ない。
そして、第三候補がようやくこれ。
放念してください。
正解なのだか、この流れでこの言葉を眺めると、催眠術にでもかけられ、
放念するよう言われている気分がするから不思議。
念を放つ。かなりの超能力が必要そうだ。
こんなことを書いているとまたマックが学習し、
法然を出してくるような気がしてならない。
私のマックさんよ、この件はご放念ください。